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7.共感価値から見えてくる社会的処方のあり方(鍼灸偏)

 「共感価値から見えてくる社会的処方のあり方」
 コロナとデジタル化が重なることで、人の価値観は大きく変化しています。特にモノがあふれる時代においては、早い・安い・便利といった利便性を追求した機能価値から、みんなから必要とされ応援される意味を求めた共感価値へとシフトしています。そして、その価値観の変化が、プロセルエコノミーや共感型経済という新しいビジネスモデルを創出しています。その流れは、ビジネスだけでなく、医療・健康においても重要な考えであり、我々が目指す社会的処方は共感型経済と言っても過言ではありません。そこで、共感価値について深堀していきます。

1. 自己承認を求める世代に何を提供するのか?
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「いいね!」やフォロワーが人気のバロメーターに
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  昨今、SNSの台頭により、世間に向けて情報発信を行うことが簡単になっています。そして、その発信のバロメーターとして、「いいね!」の数やフォロワー数を稼ぐことに一生懸命になることも多いような気がします。この「いいね!」やフォロワー数は、自己承認欲求を満たすための行為であり、マズローの欲求5段階では、精神的な欲求に分類されたかなり上位の欲求行動なのです。その意味で世間のニーズは、安全や生理的欲求のような物質・身体的欲求か社会的欲求から、所属欲求や承認欲求などの精神的欲求に変化していると考えられます。そして、この現象は情報を発信する人だけの承認欲求が高いのではなく、それに「いいね!」やフォローをするフォロワー自体も自身のSNSで発信をしている場合が多いことを考えると、フォロワー自体も承認欲求が高いことが予想されます。そう考えると、鍼灸治療は、物質・身体的欲求な欲求を満たすための手段として求められることが多いため、承認欲求が高いSNSのフォロワーを満足させるためには、物質・身体的欲求を満たす治療で引き付けるのではなく、何らかの工夫がないと難しいのかもしれません。その意味で、SNSという性質と身体をケアする鍼灸治療の相性は悪いような気がします。SNSの発信が鍼灸師向けの発信であれば話は異なりますが・・・。 (約1万文字)

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