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金魚 13

 左側の生垣。手前から4本目の金木犀だけが枯れて葉をすっかり落としている。
 3本目と5本目の間。枯れた4本目の部分が窪みになっているのだ。
 その窪みに私は正面から気をつけの姿勢で嵌まり込んだ。
 路地に背を向けたまま、ボウルとお玉の二人組をやり過ごす。
 じっと立ち尽くす私の背中を二人の気配が通り過ぎていく。
 彼らの気配が建物の中に消えるまで、窪みの中で、じっと待つ。

 エントランスドアが開閉する音を確認し、私は、そっと路地へ戻った。


(つづく)




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