ティーソーダ 6
本気で拒絶したわけではない。
気にしないでほしい。
ひとこと謝っておくべきだろうか。
意を決して私が目を合わせると、橘が見つめ返してきた。
不敵な笑みを浮かべている。
前言を撤回すべきかもしれない。
橘に悪気はありそうだ。
警戒する私に向かって、意味ありげなトーンで橘はいった。
「つかぬことをお聞きしますが」
突然の前振りに身構えて、私は自覚を持って、思いきり眉根を寄せた。
そんな私の表情にはおかまいなしに橘は続ける。
「由里さんの部屋に金魚を持っていったのは、あなたですか」
(つづく)
「ティーソーダ」は「金魚」のつづきのおはなしです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?