金魚 11
「なくなっているかもしれない何か」
これを探し出すのは、とても難しい。
そんなことは不可能なのだから。
心配に、キリはない。
そんな私が、なぜか由里さんの部屋を後にするときだけは、後ろ髪を引かれるおもいに襲われることがない。
なぜだろう。
また、この部屋に来る。
そう思えるからかもしれない。
また来られるし、来たときには、ちゃんと、そうあって欲しいと思う状態で迎えてくれる。
そんな部屋だから、不安を感じないのかもしれない。
(つづく)
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