金魚 14
ガラス扉の向こう側に階段をのぼっていく二人の姿が見えた。
彼らも由里さんの部屋に向かうのだろうか。
見たことのない二人だった。
由里さんの部屋には、どれだけの人間が出入りしているのだろう。
全員の顔と名前なんて私は把握していない。
私がいない時間帯のことは何も知らないのだ。
あの部屋に出入りする人間で私が知っているのは、橘、古泉、タケトの三人だけ。
その橘と、これから会う約束をしている。
(つづく)
次回予告「ティーソーダ 1」
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