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クラフトSAKEがアツい。

日本酒が好きな方にも、そうでない方にも
是非知っていただきたいのが「CRAFT SAKE」の世界。

どんな世界なのか、なぜ出来上がったのか
順を追って詳しくご説明していきます。


  1. 「清酒」と「日本酒」の定義

  2. 日本酒を管轄しているのは国税庁。「酒税法」で新規の清酒製造免許が認められていないわけ。

  3. 新規で参入できる方法とは

  4. 抜け道(?)になるのか、クラフトSAKE

  5. 全く新しいジャンルに育ったクラフトSAKE


1.「清酒」と「日本酒」の定義

酒税法上「清酒」として扱われるためには以下の3点を満たす必要があります。

①米、米麹、水を原料とすること。
(その他の原料は酒粕および政令で定められた添加物に限る→醸造用アルコールや発酵促進剤など)
②発酵後に「濾す」工程を加えること。
③アルコール分が22度未満であること。

それに加えて「日本酒」は
④国内産の米を使用すること。
⑤日本国内で製造すること。

という決まりがあります。
ですから①〜③を満たせば海外で造られても外国産米を使っても清酒です。
「日本酒」とは地理的表示GIとして使われています。


2.「酒税法」で新規の清酒製造免許が認められていないわけ

日本酒を管轄しているのは国税庁。
昔から酒税は貴重な財源だったので 酒類の需要の均衡を維持して過当競争を防ぎ 倒産する酒蔵がないように守られてきました。そして日本国内の日本酒の消費は右肩下がり。そのような「需要の無い状況では新規に酒蔵を増やす事はできません」ということなんですね。
また戦後は主食の米を守らないといけない、という意味もありました。
よって戦後に全くの新規で清酒製造免許がおりたところはありません。


3.新規で参入できる方法とは

でもいくつか新しい酒蔵ができたという話、耳にしたことありませんか?
そう。製造を休止している酒蔵や、もう廃業を決めた酒蔵から免許を譲り受ける方法、いわゆるM&A(買収、合併)ができるのです。

2017年に北海道上川町に誕生した酒蔵「上川大雪」は三重県の廃業を決めた酒蔵から免許を譲り受けました。

もしくは、今ある酒蔵さんに製造を委託する方法もありますね。現在、秋田県男鹿市で「稲とアガベ」という酒蔵をされている岡住さんは、まだ蔵が出来上がる前は群馬県の土田酒造さんに出向いて酒造りをしオリジナルの清酒を作って土田酒造製造として発売していました。

「清酒」の免許は認められていませんが、
「どぶろく」「リキュール」「その他醸造酒」に関しては、時間はかかりますが免許が取れます。
第一項でお伝えした「清酒」の定義。
もし清酒を造っている醪(もろみ)に、ハーブやシロップといった副原料を少しでも加えたら、それは「リキュール」になります。
また、日本酒を「濾す」工程を加えない=どぶろくだったら売れる。そんな方法で日本酒(的なもの)を造る方法も考えられるのです。

ここがクラフトSAKEのスタートです。
清酒として売ってはいけないから、
清酒を造った上で清酒っぽいものとして売ったわけですね。


4.抜け道(?)になるのかクラフトSAKE

「その他醸造酒」か「リキュール」の免許しか取れないけれど「清酒造りがしたい!」という目標はある。
だから、清酒として定められたルールを逆手に取って「米・米麹・水」以外の副原料をほんの少し入れることでできてきたクラフトSAKE。
もしくは「米麹と水」だけで造ってしまうクラフトSAKE。
そうやって造っていくうちに、気がついたことがあります。


5.全く新しいジャンルとして育ったクラフトSAKE

清酒の製法は世界的にも珍しい
「麹菌」と「酵母」という二つの微生物が同時にそれぞれの働きをする「並行複発酵」で造られます。
麹菌が米のデンプンを糖(グルコース)に分解し、
酵母がグルコースをエサに アルコール(エタノール)と二酸化炭素を生成するという発酵ですね。

一方ブドウやリンゴなど果物を使ったワインは「単発酵」といって、もともとの果糖を酵母が食べてアルコール発酵するので麹菌の出番はありません。

並行複発酵中の醪(モロミ)に、果物を加えてみたら
どうなるでしょう。
清酒酵母は果糖(フルクトース)もエサとして発酵をするでしょうが、生成される酸や香り成分は グルコースで発酵した時とは違うかもしれません。
成分的にはこれからの研究や調査が待たれるところですが

実際に出来上がったお酒は
日本酒ともワインとも違い
ほのかな甘味、強すぎない酸味、フルーツやハーブ由来の香りを持ち合わせ 食事にも合わせられる素晴らしく美味しいものでした。

パッションフルーツを米と一緒に発酵させたLIBROM

デザイン性のあるボトル。
多くは500mlの容量だけど、ひとりで1〜2日で飲んだり 2人で飲み切るにはちょうどいい。
アルコール度数も平均10〜13度とやや低いのも良い。

メロン、いちご、クラフトコーラの粕、バジル、ヴァーベナ、いちじく、トマト、お茶、ホップetc…


様々なものを使えるので
地元産の野菜や果物の有効利用、
クラフトコーラを作る時の粕などを有効利用できて
エコの観点からも
町おこしの観点からも
そして消費者目線からもバリエーション豊富でワクワク感がある、という良いことづくめなクラフトSAKEなのです。


そうなると新しいファン層がつきます。
今まで「日本酒は飲めない」と思っていた方々が「これ美味し〜い❤️」と飲んでくださるようになったのです。

和食、洋食、イタリアンに中華、エスニック。
どんなお料理にもぴったり。
甘ったるくないのも魅力。

クラフトサケ協会を立ち上げた「稲とアガベ」の岡住修兵さん

ぜひ一度、クラフトSAKE
お試しになってみては!

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