YOKAIOKAN

六本木で日本酒肉研究所ITTEKIというお店をやっています。日本酒とくに燗酒が好きすぎ…

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六本木で日本酒肉研究所ITTEKIというお店をやっています。日本酒とくに燗酒が好きすぎて 夜な夜なニヤニヤしながら燗酒の研究をしていたら「妖怪オカン(お燗)」という異名をいただきました。酒蔵さんの取り組みや、日本酒の香りのことなど書いていきたいと思います。

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生酛づくりの本当の目的

はじめに 生酛の名前の由来 生酛系酒母と速醸系酒母 乳酸菌とは 乳酸菌が入ることによって起こる変化  1.はじめに 生酛づくりの方法を知っている人は多いが、味わいや品質にどう作用するのだろうか?  生酛の日本酒と聞いてどんなイメージを持つか? を当店のお客様に聞いたところ 「うまみがある」「どっしりしている」「常温放置OK」「劣化しない」「アルコール高め」だという答えが返ってきた。 果たしてこれらは本当に生酛の特徴だろうか。 低アルコールでアミノ酸度も低いフレ

    • あえて台北で鼎泰豊に行ってみた

      鼎泰豊(ディンタイフォン) 台湾に12店舗 日本にも24店舗ある小籠包の超有名「鼎泰豊」。 (日本の方が多いんだ!!びっくり) アメリカ・中国・シンガポール・インドネシアなどを合わせると世界で110店舗以上あるんですって! 私は過去、日本の鼎泰豊に2〜3回行ったことがあるし、なんなら家の近くにあったりするし。 わざわざ有名チェーン店には行かなくても良いかなぁ…と思っていて正直いままで台湾で行ったことなかったんだけど。 今回ふたりの陳さんと「行きましょう行きましょう!」

      • 台北日本酒事情視察旅②

        2日目。 こちらでずっとアテンドしてくれている陳さんに 「朝ごはんのお店に一緒に行きましょう!9時に迎えに来ます」 と言われたから  早起きして9時の待ち合わせまでお散歩しよう! 台北駅から朝市のある双連まではMRTで2駅。 地下道でまっすぐ1本で繋がっているので 歩いても20分程度。 しかも全く迷わず到着できる。雨でも安心。 朝のウォーキングには最適な距離だ。 たくさん歩いたらお腹がすいたけど、9時から約束しているからガマンガマン… 途中のコーヒー屋さんでコーヒーだ

        • 台北日本酒事情視察旅①

          今回、仕事で台北の日本酒事情を視察しに行くことになった。 以前 日本酒専門酒販店で働いていた頃から、世界の中でも特に台湾と香港からのお客様は 日本酒に対する理解が深くとても日本酒が好きだという人が多い印象。 そんな台北へはコロナ前に行ったきり。 4年ぶりだからワクワクすぎる。 台北が大好きで 今回5回目の訪問となる。 仕事が休めないけどあまりに台北に行きたすぎて、なんと日帰りして台北にごはんを食べにだけ行ったこともあるくらい、好きなのだ。 旅行記もかねて 台北の日本酒事

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        生酛づくりの本当の目的

          三千櫻酒造さんを訪ねて

          北海道上川郡東川町にある「三千櫻酒造」さんへ。 東川町は旭川空港から車で20分ほどとアクセスの良い場所にあります。 大雪山からの豊かな水に恵まれ、美味しいミネラルウォーターが井戸水としてこんこんと湧き、濾過の必要もないというから驚き✨ 町には上水道がないんです。みんなこの井戸水。 いただきましたけど本当に美味しい水なの。 羨ましいなぁ。 しかも東川町は北海道屈指の米どころ。 水と米が豊富というこの好条件で今まで酒蔵がなかったのが不思議ですね。 そんな東川町が待望の酒蔵

          三千櫻酒造さんを訪ねて

          山形天童酒蔵訪問「水戸部酒造さん」編

          わたくし日本酒を好きになり始めた頃から何だか「山形正宗」という銘柄が好きでして。 今でも、好きな日本酒銘柄ベスト5には必ず入る山形正宗。 時に「山川光男」になってみたり はたまた「稲造」の象は私には刺さりまくるキャラクターだったり。 マロラクティック発酵しちゃったり。 (商品名 まろら) でも派手さがなくて謎な存在。 名前が◯◯正宗だと、どうしても昔ながらの味わいみたいな印象受けるからちょっと誤解されているかも。 味も表現が難しい。 「酸が立つ」わけでもない 「香り高い

          山形天童酒蔵訪問「水戸部酒造さん」編

          酒米が「溶ける」「溶けない」ってどういうことなのかを徹底的に調べてみた。

          1.夏の気温で米のデンプンの質が変わる。日本酒造りにおいて原料となる米の品質や状態は特に重要だ。 なので酒造りが始まる季節になると  よく「今年の米は全然溶けない」とか 「今年は思ったより溶けるよ」なんて声を耳にする。 その年の気候によって米の出来が変わってくるからだ。 ではまず稲の説明からしていきましょうかね。 田植えをした稲にはまず成長して穂を出すという前半の「成長期」と その穂に栄養分を溜め込む 後半の「登熟期」がある。 この登熟期に気温がどうだったかで 米の

          酒米が「溶ける」「溶けない」ってどういうことなのかを徹底的に調べてみた。

          クラフトSAKEがアツい。

          日本酒が好きな方にも、そうでない方にも 是非知っていただきたいのが「CRAFT SAKE」の世界。 どんな世界なのか、なぜ出来上がったのか 順を追って詳しくご説明していきます。 「清酒」と「日本酒」の定義 日本酒を管轄しているのは国税庁。「酒税法」で新規の清酒製造免許が認められていないわけ。 新規で参入できる方法とは 抜け道(?)になるのか、クラフトSAKE 全く新しいジャンルに育ったクラフトSAKE 1.「清酒」と「日本酒」の定義 酒税法上「清酒」として扱わ

          クラフトSAKEがアツい。

          島崎酒造さん訪問

          栃木県那須烏山市にある酒蔵 島崎酒造さんを訪問しました。 1849年(嘉永2年)創業。 代表銘柄は「東力士」 そして長期熟成古酒の「熟露枯(うろこ)」 島崎酒造さんの屋号が「△」で これは魚の鱗に似ているので「ウロコ」と呼ばれるマークです。昔から島崎さんは周りの住人たちから「ウロコさん」と呼ばれていました。 熟成を経た酒「熟れて枯れた露」という意味を 屋号の読み方に重ねた素敵な名前だと思います。 さて、こちらの酒蔵の一番の特徴は トンネルを利用した長期熟成古酒。 奥

          島崎酒造さん訪問

          美人な日本酒

          ◯◯美人と名の付く日本酒、 いったいいくつあるんだろう? 名前の由来は何なのだろう? と気になったので お客様と一緒に「美人な日本酒」を集めて楽しんでみました。 それぞれの由来をご紹介しようと思います。 ① ゆきの美人(秋田県・秋田醸造) 大正8年創業 秋田美人と言われるように美しい女性が多いことで知られる秋田県は、柔らかな酒質の美酒の宝庫でもあります。 降り積もる雪に磨かれた空気、 綺麗な水に育まれたお酒を美人に例えました。 ② 南部美人(岩手県・南部美人株式会社

          美人な日本酒

          「白菊」という名前の日本酒

          日本酒の名前って色々とありますが、 結構同じ名前の日本酒もあったりしますよね。 男山、鬼殺しもいくつかありますし 白菊、 あとは◯◯正宗、◯◯美人もそうですね。 今回は「白菊」が全国にいくつあるのか、 由来は何なのか、なぜたくさんあるのかを 調べてみようと思います。 その前に日本人にとって「菊」とはどのような存在かを知っておく必要がありそうです。 【日本の国花】 桜と菊の二つ。 【天皇家の家紋】菊の御紋。 鎌倉時代に後鳥羽上皇が刀のしるしに菊の銘を付けたのが始まり。

          「白菊」という名前の日本酒

          石巻の「日高見」平孝酒造さんを訪ねて

          2019年11月  今回のいちばんの目的は日本酒「日高見」を醸す平孝酒造さんに行くこと。   1日目は日本三景の松島に行き、景色や紅葉、海の幸を楽しみ…  2日目朝早くから石巻にある平孝酒造さんにお邪魔して平井社長にじっくりとお話を伺いました。  「魚でやるなら日高見だっちゃ」のキャッチフレーズ。 寿司に合う日本酒を造り「鮨王子」と言われている平井社長。 今でこそ有名になった日高見ですが、やはりそこには苦労の時代が。 じっくりお話を伺いました。

          石巻の「日高見」平孝酒造さんを訪ねて

          無農薬に挑戦する新政「鵜養酒米の郷」にて

          2020年3月 鵜養酒米の郷へ。 太平山の麓の、秋田市河辺岩見三内というところの一番上流「鵜養(うやしない)地区」。 日本昔話に出てくるようなお百姓さんの山里。 ぐるりと山に囲まれた中に佇む小さな盆地で、それはそれは綺麗な川の一番上流だから、汚れの一切ない水が豊富に流れ込む。 あまりの美しさに言葉を失う、そんな景色。 ここには耕作放棄や減反で使われていない田んぼがたくさんあり、リタイアした元米作りのプロがたくさんいて、そんな中で新政酒造さんが無農薬のお米を作り始めてい

          無農薬に挑戦する新政「鵜養酒米の郷」にて

          一白水成の福禄寿酒造さん訪問記

          2020年3月 秋田 酒の旅 一白水成でおなじみ福禄寿酒造さん 今回は康衛さんに蔵を案内していただきました。 (前回来た時は康衛さんご不在で、伊藤さんがご案内してくださった。その伊藤さん引退されたそう、お会いしたかったな) さて蔵見学。 1688年、江戸時代元禄元年創業。 安土桃山時代、石川県から移り住んだ渡邉家。 初代・渡邉彦兵衛が元禄元年に現在の秋田県五城目町で酒造りをはじめ その歴史は300有余年にのぼります。 全国登録有形文化財にも指定される、とっても古き

          一白水成の福禄寿酒造さん訪問記

          岩手の酒蔵「磐乃井酒造」「両磐酒造」訪問

          2022年3月 岩手 一関。 ⁡ まず伺ったのは「磐乃井酒造」さん。 初めましての日本酒です。 それもそのはず。 県内消費8割と地元で愛される日本酒蔵だそう。 ⁡ 岩手県って特に昔は各家庭で(こっそり)どぶろくを造っていたようなのですが「各家庭で作るのは廃止しましょう。でもたくさんとれる米を活かした地元の澄み酒(清酒)の蔵を作りましょう!」と、今から105年ほど前の大正6年に175人から出資してもらい できあがったのが磐乃井酒造さん。 ⁡ ⁡ 全国的に酒蔵は代々続く家

          岩手の酒蔵「磐乃井酒造」「両磐酒造」訪問

          高知県 高木酒造さん訪問記

          2022年4月 ⁡ 海沿いを電車に乗って酒蔵さんへ。 ⁡ ⁡ まず午前中にお邪魔したのは「豊能梅」を醸す高木酒造さん。 ⁡ ⁡ 高知といえば、優勝力士が飲むような大きな盃で日本酒を飲み干す大会「どろめ祭り」がありますね。 どろめ祭りのお酒は豊能梅が使われます。 先先代、一歩さんのお祖父様が始められたのだとか。 なんとあの盃には1.8Lも日本酒が入るんですって。 それを1分足らずで飲み干すなんて…高知人恐ろしや… ⁡ ⁡さて 6代目の若き蔵元 高木一歩さんが蔵内を丁寧に

          高知県 高木酒造さん訪問記