北政所、おねさんにインタービュー その2(全2回)

ポン!
祝言(しゅうげん)の続きだよ。

祝言は三日も続いたんですのよ。歌を歌ったり、踊ったりね。藤吉郎(とうきちろう)どのは、お酒があまり強くはないんですけれど、あの時は無理してお飲みになって、そりゃあもう、大きな声でね。皆と笑っておりましたよ。藤吉郎どのは、お顔はお猿のようでしたしね。
お話もこれまた楽しゅうお方でしたのよ。わたくしどものお家によく遊びに来てくれましてね、お土産を下さるのですよ。(おねどの、お手をお出しなされ)と言われましてね。見事な柿ひとつだったり、茹でた栗が3つだったり。ある時は、どんぐりで作りました独楽(こま)など二つほどくださりましてね。藤吉郎どのは、その一つを、お手のひらの上でコロリコロリと廻して見せてくださりましたのよ。その後には、(おお、可愛いらしい。おん手よ)と言われて、わたくしの手を優しく握ってくれましたものですよ。 

ある時、ふらりと来られて、わたくしをこうして抱き上げましてね。(おねどの、おねどのの守護神(しゅごしん)はどなたかいの?)っていうんですのよ。わたくしは、天文(てんもん)17年生まれですから、お申年(おさるどし)なんですすもの。お猿の守護神は知恵明神さまですからね。お猿を拝んでいたんですものね、うふふ。
祝言の時は、お酒好きの者たちが、長々とおりましたからね。藤吉郎どのと二人きりになれましたのは、五日後でしたのよ。皆がお帰りになった後、うふふ。(よい嫁をもらったものよ。さぁ、おねどの。今日からは今までとは、ちぃっと違った楽しゅうことをするのだよ)と言って、わたくしのお膝の上に手を置かれましたのよ。うふふ」
お話はここまで、おねさんのお話でしたよ。ポン!

さぁ、おやすみ。

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