江戸っ子ママたちの赤ちゃんの産み方 その3(全3回)


こんな赤ちゃんの産み方はね、大昔の縄文時代の土偶やら、今から1200年も前、平安時代の絵巻物にも描かれているというから、もう長い間続けられてきている方法なんだね。

江戸時代には赤ちゃんを産むママたちのために本が書かれてあったんだよ。それが、中条流産科全書(ちゅうじょうりゅうさんかぜんしょ)さ。「産に向かい、寄りかかることなかれ。胸腹(きょうふく)痛むとて仰向くなかれ。帰りせんとて痛むものなり。」お腹の大きなママは、寄りかかったりしちゃあダメだし、お腹が痛くても横になっちゃダメ。赤ちゃんが痛くなっちゃうからだね、ってことなんだよ。ママたちは、赤ちゃんのためならと痛くても眠くても頑張ったんだよ。

やっと赤ちゃんが産まれてからもママたちは大変だったよ。「物に寄りかからせ、足を少しかがめ、少しづつ眠らせ、多く眠らせず。酢を鼻に塗る、ふりやく(泡立てた薬)に童便(どうべん=赤子の大便)少しづつ加えて用ゆるなり」赤ちゃんを産んだ後、ママたちは正座して壁に寄りかかっていなければならなかったんだ。足を長く出すと血が頭に上るだなんて書かれてあるんだ。しかも、眠ったらダメだった。眠らないで赤ちゃんを見守っていなくちゃならなかった。寝てしまったら、鬼が赤ちゃんの魂を取りに来るからっていうんだもん。眠るわけにはいかなかったんだよ。それにさ、お酢を鼻に塗られて、赤ちゃんのウンチを入れた薬を飲まされたというんだから、びっくりだよ。しかも、それが何日も続いたというんだからね。こんなに大変だったのに、江戸時代のママたちは5人くらいの赤ちゃんを産んでいったというのだから、これまたビックリ。すごいね。

これでおしまい。
長かったけど、ママの大変さがよく分かったよね。
さあお休み、ポン!

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