盗人(ぬすびと)の印 その2(全2回)


佐渡ではね、罰として、黒に二本線じゃぁなくて、カタカナのサという文字を入れたんだって。
紀州(きしゅう)のほうではね、額(ひたい)に漢字の悪という文字を入れられたんだ。そして、広島の芸州(げいしゅう)では、一度目は額に漢字の一を入れられて、二度同じ罪を犯したら、カタカナのノを入れられてカタカナのナの字にする。三度目には、漢字の犬という文字になるようにして入れられたんだって。

小さな棘(とげ)がチクンチクンって刺さっただけでもすごく痛いよね。墨汁ってのは、お習字に使うあの黒い墨のことだよ。滲みて(しみて)痛そうだよ。今ではそんな罰はなくなっているけれどね、でもね、いっくら盗んでも罪にならないものもあるんだよ。それは、うーんと盗み取った方がいいものさ。それはね、形のないものさ。いろんなことを知るってことさ。ほかの人のかっこいい姿を真似っこすることさ。そうさ、サッカー選手のドリブルのやり方を真似したりして、その技を盗み取る。美しく聞こえるピアノの曲を同じように真似っこして、その指捌き(ゆびさばき)を盗み取るとかね。いっぱい本を読んで、その文章の書き方を盗み取るとかね、まぁ学ぶとも言っているけれど。こういうことなら、盗み取った者勝ちさ。こうやって、いろんなことできる、知ってる、かっこいい大人になっていこうぜ。

今日も読んでくれてありがとう。
お休み、ポン!

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