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紗希の超短編集  2

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第2集目を作りました。 読んでくださる皆さま、本当にありがとうございます👼
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記事一覧

キミがいた窓辺

キミが一番好きな場所だった、この部屋には、今日も明るい光が窓から入ってきているよ。“好き…

喫茶店の女(ひと)

会社帰りに週3回。仕事が休みの日でも訪れることがある。それくらい気に入っている喫茶店があ…

親切な隣人

私たち夫婦がこの家に引っ越して半年が経つ。中古だが念願だった平屋の戸建だ。 夫の智史にと…

  雨の降る日に

私が雨女なのか、彼が雨男だったのか。会う日は、必ずと云っていいほど、 雨が降っていた。 …

25

 パイナップル

私と夫の将暉は、買い物をしにスーパーに来ていた。相変わらず何もかもが高い。 ため息しか出…

23

真夜中の雪

今夜は雪が降っている。いつも不思議に思うけど、雪が降る日は、案外寒く無い。降らなくても、…

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 それぞれの道

暖かい土曜日になったので、寧々と私は、河原で、寝そべっていた。前を流れる川の音が、心地よい。「春ね〜」「そうだね」「今年も春がやって来ちゃった」「毎年のことだからね。あ、白い犬がやって来るよ」「散歩かな」白い犬を連れた、若い男性。大学生くらいの人かな。「寧々のお兄さんに似てる」「そうかな。あんなにカッコよくないよ」 白い犬を連れた男性が、私たちの前を通り過ぎる。「いま、あの犬私たちの前を、大回りしなかった」寧々が云う。「したね。こっちをチラッと見てから、離れて歩いた」 「

乗り越える時まで

学校に通っていた。 簿記を習うために。社会人1年目の私は、会社の仕事が、右も左も判らない。…

11

アイビーを買いました

目が覚めて、窓を開けた。 そして直ぐに布団に戻った。外の景色を、ボケーっと見てる。快晴だ…

26

虹の街

同じ6年B組の寺脇惣太は、このところずっと、鼻をグスグスいわせてる。私の家と惣太の家は、…

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本当の自分って

「マンハッタンにいるみたい」「そうかぁ。どう見ても“みなとみらい”だろ」 相変わらずの…

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いつも夕焼けを見ていた

(おーい、未來ー) 仕事を終えて、電車に乗って、最寄り駅で下車をした。 (そこで待ってて…

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ずっと宇宙と一緒だった

  ボクね、絵本に出て来るような   流れ星になって、この世界に   やって来たんだ。 弟…

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Happy New Year

私は両手で、ココアの入ったカップを包んでいた。 伝わる暖かさにホッとする。店内は適度に温もっていて、居心地がいい。 お店に入ってからずっと、小さな音量で、ジャズが流れている。 有線だろうか。 「しかし、よく降るなぁ。まさか大雪になるとは」千尋が、半ば感心した様子で、窓の外を見ている。街を歩く人の姿は、ほとんど見当たらない。 今はまだ。 「まだ昼間だし、この大雪だから、人が歩いてないな」いま思っていたことの、続きを話すかのような、千尋の言葉に私は少し、驚いていた。 「冷