星あつめ

「相変わらず静かだな、ここは」

「何の音も訊こえて来ないわね」

パパの田舎に来ている。

ママも一緒


「そんなことは無いぞ」

おじいちゃんが云う

「何の音が訊こえるの?親父」


   しーー!


皆んなで、音を立てないように、静かに

耳を欹てた。


「あ……」

最初に気付いたのは、ママだった。

パパも頑張って集中してる

「……!」


「訊こえたか」

おじいちゃんが嬉しそうに笑う

「ほら貝を吹く音が、遠くからしたような」

「そうだ。山伏が吹いておる。敬が子供の頃から訊こえていたぞ、忘れたか?」


「う〜ん、そうだったかなぁ」


  チンチンチンチーン


「こら、菜那、仏壇で遊んではダメよ。こっちにいらっしゃい」

えへへ、怒られちゃった。

「写真、おばあちゃん」

「そうね、おばあちゃんだね」

「どうしておばあちゃんは居ないの?」


「菜那、空を見てごらん」

「キレイ、お星さま、たくさんだね、パパ」

「キレイだな。おばあちゃんは、たくさんの星の一つになったんだ」

「おばあちゃんは星になったの?」

「そうだよ、菜那」


「あら」ママが云う。

「そろそろ時間だからな」

おじいちゃんが部屋の明かりを全て消した。

「うわ!」


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「蛍だ」

「すごい数ね!」


その時、私は縁側から降りると、無数の蛍の中に、飛び込んで行った。


気がつくと、辺りは小さな子供たちでいっぱいで、

かなりの子が虫取り網を持ってい

 あははは  キャッキャッ


その時、一筋の光が流れた。

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「流れ星だ」

「頑張れ敬、網に入れるんだ!」


パパも

ママも

そして、おじいちゃんも

静かに微笑んで

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子供たちは、次々と

蛍になっていった


私は半分、寝かかって。

遠くから、ほら貝の音が小さく聴こえて来た。

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        了

 




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