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ずっと見ていた

 ボクには入れない世界だというこ

 よく判っていたよ

  それでもキミのこと遠くからでも見て 

 たくて

 きっとキモいと云われるだろう、けど

 なんて思われてもボクは構わない


 ただずっとキミを見ていられれば

 そでいい 


「最近はピザの宅配も頼めるんだってね」

「みたいね。ここみたいな海岸にも、花火大会の会場にも届けてくれるらしいよ」

「便利になったってことか?」

「う〜ん、どうなんだろう、アッ!サンドイッチ隠して守!」


トンビが食べ物を狙って襲って来る。

私の頭をかすめて行った。

「油断も隙もないな」

守が死守したサンドイッチを頬張りながら話す。


「子供の頃には無かったのにな」

「知恵が付いたんだ。きっと最初にトンビに食べ物をあげた人がいるはず」

「せっかくいい景色を見てるのに、これじゃあ落ち着かないね」

「移動するか」

「仕方ないね」

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 ピーロロロロ

「のどかなんだけどね〜」

さっきまで、大勢の人でいっぱいだった

海岸も、ポツポツと帰り始めた。


夕凪


「風花、これから何処に行こうか」

「まだ時間も早いし、守は行きたいところある?」

「あるよ」

「それならちょうどいいじゃない、そこに行こうよ」


守は動かない。

「どうしたの、行かないの?」

「俺はまだ、どこに行くかは云ってないよ」

「守が行きないなら私は構わないもの」


彼は少し怒ったような顔をしてる。

私はどうしたらいいのかさっぱり判らない。

強く風が吹いて守も私も髪が狂ったように散らばっている

まだ守が怒っているのは確かだった

ハッキリ云えばいいじゃない、それを1人で不貞腐れて、子供みたい!

痺れを切らした私は歩き出した。


「1人で怒ってれば!じゃあね」

「ホテル!」

私は立ち止まり、ゆっくり振り返った。

守が見たことのない真剣な顔をして

私を見てる。

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「……クリームあんみつを食べに行こう」

「……」

「その後なら行くから」

守は黙ったままだ。

けれど表現は柔らいでいた。

私の隣に走って来た守は笑顔になっている。


19歳と18歳の私と守。

早いか遅いかはどうでもいい。

比較するから可笑しくなるのよ。

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……そうなんだ

寂しいかって?

少しはね

ずっと見てきたからさ

風花は最高の飼い主だったんだよ

また猫に生まれて風花と一緒に居たい


ありがとう、風花。

ボクも帰ることにする。

たくさん仲間たちがいる空に、帰るね。


「ん?」

「どうした」

「何が私の頭をサ〜と掠めたみたい」

「何かってなにが」

「なんだか、とっても暖かくて懐かしい何か」

「そうか」

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ずっと見ていたんだよ、ボク


       了



















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