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高度プロフェッショナル制度の概要その2

 おはようございます。弁護士の檜山洋子です。

 今日は勤労感謝の日ですね。

 勤労感謝の日は、もともと新穀の収穫を感謝する日だったそうで、アメリカ・カナダのThanksgivind Dayが収穫を祝う祝日なので、同じような感じですかね。

 収穫に感謝しつつ、美味しいお米をたくさんいただこうと思います。

 さて、今日は、高度プロフェッショナル制度の概要の続きです。

高度プロフェッショナル制度の要件

 昨日のnoteで書いたように、高度プロフェッショナル制度を取るには、その要件を満たす必要がありますが、要件の1つに、「労使委員会が委員の5分の4以上の多数による議決によって次の事項を決議すること」というのがあります。

 そして、決議をすべき事項は、以下のとおりです。

(ア)対象業務
(イ)対象労働者の範囲
(ウ)対象労働者の健康管理時間を把握すること及びその把握方法
(エ)対象労働者に年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えること
(オ)対象労働者の選択的措置
(カ)対象労働者の健康管理時間の状況に応じた健康・福祉確保措置
(キ)対象労働者の同意の撤回に関する手続
(ク)対象労働者の苦情処理措置を実施すること及びその具体的内容
(ケ)同意をしなかった労働者に不利益な取扱いをしてはならないこと
(コ)その他厚生労働省令で定める事項(決議の有効期間等)

 このうち、(ア)と(イ)については昨日書きましたので、今日はその続きです。

健康管理時間の把握

 「健康管理時間」とは、対象労働者が事業場内にいた時間と事業場外において労働した時間との合計の時間をいいます。
 健康管理時間から労働時間以外の時間を除くことを決議する場合は、その時間の内容や性質を具体的に明らかにして、客観的な方法で把握する必要があります。
 ただし、除くこととする時間に手待ち時間を含めることや一定時間を一律に除くことは認められません。

 高度プロフェッショナル制度の採用に当たっては、対象労働者の健康管理時間を把握する措置を使用者が実施することと、当該事業場における健康管理時間の把握方法を決議で明らかにしなければなりません。

 健康管理時間は、タイムカードやパソコンなどで客観的に記録することが必要です。ただし、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由(※)があるときは、自己申告によることができます(労働基準法施行規則34条の2第8項)。

※ やむを得ない理由
 例えば、 顧客先に直行直帰し、勤怠管理システムへのログイン・ログアウト等もできない、事業場外において、資料の閲覧等パソコンを使用しない作業を行うなど、勤怠管理システムへのログイン・ログアウト等もできない、海外出張等勤怠管理システムへのログイン・ログアウト等が常時できない状況にあること、などが「やむを得ない理由」に該当します。
労働基準法施行規則34条の2
⑦ 法第41条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める労働時間以外の時間は、休憩時間その他対象労働者が労働していない時間とする。
⑧ 法第41条の2第1項第3号の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法とする。ただし、事業場外において労働した場合であって、やむを得ない理由があるときは、自己申告によることができる。

 日々の健康管理時間の始期・終期と健康管理時間の時間数を記録するほか、医師の面接指導を適切に実施するため、1か月当たりの時間数の合計を把握する必要があります。

休日の確保

 対象労働者に年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与えなければならず、決議で休日の取得の手続を具体的に明らかにすることが必要です。

 この休日の確保ができない場合は、できないことが確定した時点で高度プロフェッショナル制度の効果がなくなりますので、注意が必要です(「労働基準法第四十一条の二第一項の規定により同項第一号の業務に従事する労働者の適正な労働条件の確保を図るための指針」)。

続きはまた明日

 決議事項の続きはまた明日以降。

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