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顔がわかると苦情を言われなくなった

 先日、同じアパルトマンの住人さん同士でご近所パーティーがありました。フランスではこの時期によく行われているもので「Fête des Voisins(フェット デ ヴォワザン)」と呼ばれています(fêteはパーティー、voisinは近所の人)。

 以前別のところに住んでいた時もこのFêtes des Voisinsがありました。それ以降、ご近所さんの態度がガラッと変わったことがあります。今回はその体験を書いてみます。

フランスの風習 

 渡仏して以来、このFêtes des Voisinsに何度か参加したことがあります。1999年にパリで始まったとされ、通常5月の最終金曜日にあります。ちなみに父の日、母の日はそれぞれ「Fête des Pères」、「Fête des Mères」。ここまで浸透はしていないものの、「あー、そう言えばこの時期だったな」という感覚です。コロナ禍では開催されなかったので、すっかり忘れていました。今回は久々に参加。必ず開催されるものでもなく、「住人のノリ」によるのでイニシアティブを取ってくれる人がいた場合に行われる感じです。今のところに引っ越す前に住んでたアパルトンでは一度もなかったな。

苦情を受けた

 以前住んでいたところで23時ごろシャワーを浴びていると、階下からご近所さんが階段を駆け上がってきて ドンドンドンとドアを叩き、

「寝るところなんだからっ!!」

と言われたことがありました。
フランスでは隣人の迷惑になる騒音は法規制があって、地方自治体の条例によりますが、パリでは22時以降はうるさくしてはいけない決まりになっています。そんな決まりにはうとかったので何気なくシャワーを浴びてたら、こんなことが起こりました。下の人は20代らしき女の子。

 そんなことが2、3回あった後、このご近所パーティーがありました。それまで顔を合わせても あいさつぐらいしかしなかったみなさんと、

「Yokoといいます。B棟の4階に住んでいます」

などと初めて名乗るのです。するとその階下の女の子がその場にいてボソッと「あー、あなただったのね」と目をしっかり合わすでもなく、そらすでもなくあいまいに一言漏らしました。

 そして、それ以降 苦情を言われることはなくなりました。

久々の開催

 そして先日、今のアパルトマンに引っ越してきて初めてのパーティー。そこでやっと階下 ご近所さんの娘さんがどこの小学校に通っているのか、とか話せました。そのお母さんは中国の人かなと思っていたのですが、台湾から来ていることも分かりました。
 他にも主催者の女性の彼がファッション関係のお仕事で日本にしょっちゅう行ってることを知ったり、なかなか楽しく会話できました。

 フランス語が苦手なので、普段なかなかこういう集まりを楽しめなかったりするのですが、今回は楽しくて ついつい長居してしまいました。意外でした!

 ご近所づき合いってたまに たいへんだなと思うこともあるけれど、やっと顔が見える関係になれた感があって、この日以降、居心地がさらによくなりました。

顔がわかる

 こういう習慣があるっていいなと思います。頻繁にあるとたいへんそうだけど、「年に1回なら」というところ。今回のは「参加できる人はリストに名前を書いてください」と張り紙で参加者を募っていました。全員参加ではなく全体の半数に満たなかったかな。
 
 「日本のご近所づきあいってどうだったかな」って思い出しました。渡仏前に東京に住んでいた時、特に西荻窪では珍しく近所の古着屋さんを通じてみんなで集まったりはしていました。だけどこのフランスのように同じ敷地内の住人同士が仲良くなるってことはなかったな。西荻の時は隣の人と顔を合わせたこともなく全く、どんな人が住んでいるのか全く知りませんでした。

 この相手の顔がわかった以降に関係性が変化する体験はSNSでも似てるなと思いました。顔が見えないから誹謗中傷があるけれど、一旦お互いのことを知ってしまえば 相手を悪く言いたい気持ちがそんなに起きなくなるのだと思います。時々心ない表現を見かけては頭に残ってしまうので、できるだけそういうのは見ないようにしています。だけど避けられず見てしまうことも。もしお互いに顔をバッタリ合わせるようなことがあれば態度が変わるのかも、なんて想像します。

 日々のSNS上のやりとりでも 気持ちよく接することを心がけたいな。顔を出しているとちょっと違うかな。私はプロフィール以外は自撮りはしてないけど、顔が見えるかのように自分を出す、人柄が伝わるような発信、交流をするのがいいのかなと思いました。 


 


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