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親日って言葉が好きじゃない

この間まで私は台北に住んでいて。日本で仲良くしていた友だちが何人も台湾に遊びにきてくれた。

地元民が通う小籠包店、101タワー、九份(キュウフン)、夜になると夜市を案内して寝る前に足つぼマッサージを。お決まりのコースはこんな感じだ。


1日中歩きまわってクタクタになっている友だちに、「どうだった?」と聞いてみる。そうすると返ってくる答えが

ご飯がおいしかったし、色々見て回れてよかった。みんな日本語で話しかけてくれて優しいし、台湾ってやっぱり親日なんだね〜。

最初は私も「そうだよね。」って彼らの話を聞いていた。でも台湾生活を重ね、中国語が話せるようになり、日本語が話せない台湾人と話せるようになったとき、「台湾は親日」という言葉になんだかな〜と感じるようになった。



日本人観光客が見て回るところは、当たり前のように日本語が話せる人が働いている。観光客はお金を落としてくれる、笑顔で応対するのは当たり前。

一方街へ出て、台湾の若者が目線を落とすスマホをのぞき見してみる。聞いている音楽はだいたいK−POPで、Instagramでフォローするファッションブランドは欧米発だ。


ホテルで働く台湾人の友だちは、私にこんな事を言いたくないんだけど…、と前置きの後にこんな話をしてくれた。

日本人客は一番めんどくさい。いちいち小さなことにこだわる。細かい。すぐ怒る。でも、自分たちは偉いと思っているから、態度もでかい。お金落とさないくせに。

もちろん、ホテル働く彼女が遭遇したのは明らかに「悪質な日本人客」であることは間違いない。でも実際に日本人に接して、日本に対するいいイメージがなくなってしまったと耳にしたことは一度や二度ではない。(悪質な日本人客は住んでいる他の日本人にも悪影響を及ぼす、断固許すまじ!)



あぁ、愚痴っぽくなっちゃったかも。

ただ私が言いたいのは、親日国と私たちが国単位でくくっているけど、その国の中にも色んな意見があって、誰しもが同じ意見を持っているなんてことありえないこと。

日本語を話せる台湾人が正面切って日本に「文句」を言ってくることは少ないだろう。そして文句や愚痴は私たちには理解できない中国語で話される。だから私たちは日本のことが好きじゃない、日本に無関心な人の声が耳に入ってこない。

現地語を勉強して始めて、その国の中にある好きと嫌いと無関心のグラデーションが理解できるのだ。

(補足:でもね、台湾人の多くは日本に対して好印象を持っているのは本当だよ。特に30代以上の世代。若者は無関心な人が多い。)



話を戻す。

できれば人とか店とかそんな小さな単位で。あのお店の店員さんは親切だったね。道を案内してくれたおじさんは優しかったね。九份の夜景が綺麗だったね。

国単位で語るのではなく、そこに住む人そこにあるものを見て。

そんないい思い出を積み重ねて、台湾のことを好きになってほしい。相手が親日国だから好きになるんじゃなくて…。


国単位でレッテルを貼るのではなく、ひとつの国の中には色んな意見がある。そして現実的な意味での「親日国」は存在しないと理解する。


その理解のあとに始めて、私たちは親日国と呼ばれる国の人たちとリアルな関係を気づいていけるのではないかなぁ、と思ったのでした。


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