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サッカー熱とマグカップ

「海外に行ったらマグカップを買ってくる」と、なぜか夫は決めている。ある時、そう決めたらしい。当時、海外出張が多かった夫が所持するマグカップの量は、小さなカフェなら3軒くらい経営できそうなくらいになっている。

それにつられて、私も海外に行ったら、マグカップを買っていた時期がある。どんな旅先に言っても、「マグカップを買う」と決めておくと、随分と心的負担が減った気がしたからだ。「来たからには何か記念になる物を」とお店を歩き回る必要ないし、あったら買うし、なかったら買わない。そうシンプルになることは、旅先での私をとても楽にしてくれた。そんな時期から15年くらい経っている現在となってはマグカップは買っていない。マグカップどころか、旅先で、ほとんど物を買わなくなった。

ただいま、引越し準備中。欧州サッカーチームのマグカップが出て来た。しまいっぱなしで、ほぼ使用していない(思い出深いひとつを、会社で常用しているけれど)。

知恵熱のごとく、3年間くらい海外サッカーにどっぷりとハマッてしまった時期がある。

サッカー雑誌や関連書籍を読みあさった。欧州各国リーグの試合をオンタイム観戦したいばかりに(チャンピオンズリーグなどの試合も観ていたため)、水曜日と週末の夜に昼夜逆転の生活となった。追って南米リーグも見始めてしまったものだから、もう寝る時間などない(笑)。

欧州リーグの日程が出ると仕事スケジュールと顔を付き合わせ、暇を見つけては年に数回、渡欧していた。サッカー関連の仕事に転職を考え、上司に相談し、全力で止められて、結果的に社内に立ち上がろうとしていたサッカー関連書籍の編集部のサポート作業をさせてもらえることになった。

週末はJリーグの試合会場や高校サッカーの会場に足を運んだ。サポーターのご自宅で選手個人の応援フラッグを作る工程も取材させていただいたこともあるし、国立競技場での日本代表戦で「シートエリア別に、どの選手のユニフォームがどれだけ着られているか」をただひたすらカウンティングしていたこともあるし、「鹿島スタジアムのモツ煮込みはなぜ美味しいのか」という取材もしたこともある。サッカーにまつわることをしているだけでハッピーだった。

そして、女性誌での通常業務をこなしながらの生活だったため、結果的に、体を壊した。

とりわけ大好きだったイタリアのクラブチームACミランが凋落していくのと時同じくして、私のサッカー熱もカームダウンされ、現在の嗜む程度のテンションに落ち着いた。

しまいこまれていた海外サッカーチームのマグカップたちを眺め、己の熱しやすく冷めやすさがまざまざと蘇った。

苦笑いの三連休。

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