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今宵この曲、健さんと

私にとり高倉健といえば、「昭和残侠伝シリーズ」である。

となると曲は「唐獅子牡丹」。
詞がよい。
物語が鮮やかに目の前に広がる。
健さんの飾らぬ歌い方がまたよい。

曲だけを堪能するのなら、美空ひばりがよい。
さすがの歌いっぷりである。

さて、このシリーズでまたよいのが、池部良の存在。

シリーズは全9作あるが、ストーリーはほぼ一緒である。
けれどよいのだ、これが。
うまく説明できないのだが、私の思う「男の美学」が詰まっているのである。

ところで私は、当時幼子であった。
けれど近所の映画館で、これらを観ていたのである。
「タダ券」、いわゆる無料招待券が、いつも家に届けられたのだ。
皮肉なことだが、近所にあった、街を仕切るヤクザの組事務所からである。
そこの組長が、私の祖父の元弟子だったのだ(私の家の代々の稼業は大工である)。

ともかくそのおかげで、ヤクザ映画はもとより、国内外の当時の名作をリアルタイムで鑑賞できた。
それら観た物語が、その後の創作の血肉になっていることは否定できないだろう。
ということは、スクリーンの健さんとの出会いも、あの組長のおかげということになる。
ヤクザは嫌いだが、そんな意味では、あの組長に感謝している。

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