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Q.本業以外の仕事は邪道でしょうか? 目立つ行動は避けるべきという空気があります。

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Q.本業以外の仕事は邪道でしょうか? 目立つ行動は避けるべきという空気があります。

士業は本業に専念し、他の仕事をするべきでないとベテランの先生から聞きました。そういう意見の先輩が多いせいか、少し広告を出したりセミナー講師を引き受けるとあまりよい顔をされません。こういった空気の中、どう行動すればよいでしょうか?

縮小する士業マーケット、伸びる資格者人口

「悪しき理想専業主義」。専業しか認めない風潮のことを私はこう呼んでいます。しかしながら、時代はもう変わっているのです。日本は初めて人口が減る時代に突入し、法人数も減少しています。そして不景気の中、資格取得を目指す人は増えています。これが何を表しているか、もう説明するまでもないでしょう。

つまり、士業の仕事は基本的には減少していくのです。もちろんこれは士業に限定された話ではありませんし、また今すぐ士業の仕事がゼロになるわけではありません。しかし、長期的な視野で考えた場合、専業主義を採用するのはあまりお勧めできません。むしろ士業は多様化すべきだと私は考えています。実際のところ、これは市場全体の話だけではなく、士業そのものの仕事の内容を考えてみても本来はもっとさまざまな仕事を扱うべきなのです。

資格業では差別化が難しい

もともと、士業は同じ資格ならば同じ仕事内容になります。つまり、士業の仕事で差別化を図るのは非常に難しいのです。お客様から見ればどの士業もほとんど同じに見えます。では、どうすれば差別化ができるかといえば、士業以外のビジネスを持つことが最大の対応策になります。

具体例を挙げれば、私が23歳という年齢で仕事が取れたのは、「行政書士として極めて優れていたから」ではありません。法律知識、実務能力、経験どれをとっても私よりレベルが高い行政書士はいくらでもいるでしょう。なぜ私が行政書士の仕事が取れたかというと、「インターネットマーケティング」に精通していたからです。

2003年当時、インターネットマーケティングに詳しい行政書士などほとんど存在していませんでした。そのため、私は「普通の行政書士」から一歩抜け出すことができたのです。結論をいえば、士業以外のビジネスをすることは、過去は邪道だったとしても現在はそれが士業として生き抜いていくためのセオリーなのです。

考えてみてください。もしあなたの業務レベルが日本トップクラスだったとしたら、仕事を集められるかもしれません。しかし、あなたが開業して実務知識でトップ3パーセントに入れるようになるのにどのくらいの年月がかかるでしょうか。おそらく想像できないくらいの時間がかかるはずです。これに比べて、まったく別分野で強みを持っていたらどうでしょうか。士業の多くはまだまだ専業スタイルを取っています。実に簡単に差別化が可能になるのです。

そもそも、士業で独立開業する際、多くの人がこれまでのキャリアをゼロにしてしまう傾向があります。士業の多くが異業種からのチャレンジです。それなのに資格を取ったら士業専業でいこうと計画する人がとても多く、競争の世界に自ら飛び込んでしまっているのです。

これからは、ダブルポジションを持つ人が成功する

今はまだ、このような考え方はスタンダードではないかもしれませんが、前述のとおり士業専業で行くことは競争世界、いわゆる「レッドオーシャン」です。

もしあなたが資格にまったく別のビジネスを合わせることができれば、それは競争のない「ブルーオーシャン」である可能性があります。もちろん、実務の中にもブルーオーシャンはあるかもしれませんが、これまで何十年も研究されてきた業界です。士業でない分野のジャンルを合わせることがもっとも早い差別化になり、いつの日かこれがスタンダードになるでしょう。

それでも「理想としては専業で稼ぎたい」と思っている場合は、そうした選択もよいと思います。重要なのは自分自身の目的です。自分自身がどうしても専業で稼ぎたいと決意しているのであれば、レッドオーシャンで戦うしかありません。ただ、このときに気をつけてほしいのが、目的を「専業で成功すること」を「専業でいること」と間違えてほしくないということです。はっきりいって、専業で開業するよりコンサルタント業、セミナー業を合わせて始めたほうが段違いにスムーズです。

士業の仕事は相手の都合にほぼ100パーセント左右される仕事なので、セールストークのような技術を磨いても、なかなか強引には取れないものです。そうなってくると、自分を正当化する理由を探し始めてしまいます。そして、最終的にやはり「士業は儲からなくても専業で有り続けるべき」という美学のようなものを持ち出してしまうのです。こういった悪いスパイラルに陥りそうになったときには、そもそもの目的を思い出してください。おそらく最初の目的は「士業として成功すること」であって「士業で有り続けること」ではなかったはずです。

迷っている方は、ぜひもう一度考えてみてください。資格はあなたの生き方やビジネス方針を縛り付けるものではありません。あくまであなたのサポートとなるものなのです。

【POINT】過去、士業は専業で食べていくことができた。しかし、今はもうそのような時代ではなく、もっと多様化する必要がある。いつの日も最初の目的を忘れないように。資格はあなたの生き方を縛り付けるものではない。

※掲載されている内容は、作品の執筆年代・執筆された状況を考慮し、書籍販売当時のまま掲載しています。

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