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台湾ライフ|コロナ禍とこの時期に台湾に住んで感じてること


今朝起きたらANAからメールが来てた。だいぶ前に10月の台湾の連休にはなんとかなってるといいなぁ、と、特典航空券で確保していた日本へのフライトがキャンセルになったというお知らせ。

実はこのキャンセルは2回目。1回目は夏前。そして今回。

日本では第2波がきていて、感染者が増えているという影響もあるだろう。昨日、台湾政府の健康局の公式LINEで日本への制限が低・中度の国々から除外されたという告知も確認していた。日本から台湾へのビジネス来台者に対しての、自粛待機期間7日間に緩和されていたのが、通常の14日間に戻った。正直に言えば在住者の私たちは日本から帰国後14日間の待機が義務つけられているから状況は変わらないのだけれども。でもビジネスでの来台が7日に短縮されたら、そのうち在住の私たちの制限も緩和されていくんじゃないかと期待していたから。

正直なことをいうと今回の通知で「日本がまた遠のいた・・・」と少し悲しくなった。このままだと日本と台湾を往復するだけで自粛期間が4週間のまま。帰りたくても帰れない。


ここまでは昨日の話。

今年の4-5月ぐらいには日本に住んでいる友人・知人から台湾のコロナ対策の実情に関して質問されることが多かった。そして最近めっちゃ大変だよ、と愚痴を聞くことも多かった。「いいよなぁ、台湾は」と言われることも多かった。

これに関してちょっと思うことを書いてみたいと思う。「隣の芝は青く見える」ではないけれども、表面的な一面だけ見て言っている人があまりにも多いよな、と感じたので。ちなみに批判しているわけではないことを、先にお伝えしておきたい。


4月頃に言われた「2週間ももう引きこもっているよ」という言葉を言われた時に台湾に住んでいる私と友人たちが感じていたのは、「私たちは2月の最初からもう2か月以上自粛生活をしているよ」ということ。2月の最初にはマスク必須・手指の消毒当たり前・公共機関&大きなビル等では入り口を制限し必ず検温もしくはモニターで監視が始まっていた。駅や公共機関ではエレベーターやエスカレーターのボタン・手すりは定期的に消毒され、私たち自身もあまり触れないようにし、人との距離を取ること、屋内で集まってご飯を食べることを自粛。屋外の夜市だって人の往来はかなり減っていた。この生活が1月末から既に始まっていたのだ。

そして。一番日本と違うなぁと感じたのは、人々のマインド。もちろん全員とは言わない。台湾にだって守らない人も適当な人もいる。言わせてもらったら常時は台湾の人の方が適当だと思うし、ルールにも甘いところはある。

けれど、こと今回のコロナウイルスの件に関して、政府に頼るだけではなく民間も、私たち個人も、拡げない為の努力を率先してやっていた。ように感じた。私がニュースやSNSの投稿で感じた日本で蔓延しているように思えた言われてるからやってるという「やらされ感」や「なんで政府は何もしないんだ」と指示がないとやらないという雰囲気ではなく、自ら自分事として動いていたように思う。個々人まで。

この背景には、SARSで大変なことになった影響が大きいそうだ。当時日本はそこまで影響を受けなかった。でも、国土が小さい島国である台湾は大打撃を受けたのだ。だからSARSを体験している会社のメンバーたちも今回のコロナウイルスに関しては最初からかなり恐れて警戒していたし、人に言われるからというより自らを守るために行動していた。その時の教訓が生かされていたのだと思う。これって日本が何度も地震や水害の災害にあったことで学び、対策をとり、教訓を活かしてきたことに通ずる。


3月前半には新規感染者がゼロの日が出てきた。徹底して管理し、自粛を続けてきた結果だと思う。そしてゼロの日が続くとこれでもう台湾は大丈夫そうだよね、という雰囲気も出てきて、人々の警戒もちょっと和らぐ雰囲気となってきた。

一方で同時期にヨーロッパやアメリカの状況が一気に悪化してきたことを踏まえて完全に台湾が鎖国状態になった。この時点で私はしばらく日本に帰ることをあきらめた。とはいっても2-3か月程度だろうってこの時点では考えていた。本当に。

台湾では海外からの帰国者による感染者は増えていたけれども、国内での目に見えない、経路を追えない感染者はほぼゼロな状態。政府によって完全に管理されており、だんだんと台湾国内に限っては通常の生活で感染することはないんじゃないか?という雰囲気になり始めたのが3月の後半。そして4月初の台湾のお盆ともいえる清明節の連休。気のゆるみからか一気に人手が増え、南部沿岸に出かけた人たちに政府から緊急アラートが鳴らされるという出来事があった。まだ気を緩めてはいけないという警告。

普通に生活しても新規感染者が出てないから大丈夫、という気のゆるみを懸念して、公共交通機関の大型輸送(MRT・高鐵等)はマスク必須、していない場合の罰金が日本円で6万円弱となり、実際に罰金を払った人もいた。

8月現在でも大きな駅では改札入場時にはサーモモニタで監視、全ての駅で監視する人がいてマスクをしていなければ止められる。ホテルや飲食店、その他エステや美容院等でもソーシャルディスタンス(1.5m)ルールに従い、入り口での検温やアルコール消毒は必須となっているところが多い。さすがに夜市とかオープンエアなところはもっとゆるいし、小さなお店だと通常の営業になっているけれども、人数●人以上の店はというような条件は設定されているそうだ。私が働いているビルでも6月末までは入り口にサーモモニタがあり、マスクをしていない人は入場時に検温されていた。今でもエレベーター内はマスク推奨、会社でも出社時には手指のアルコール消毒をするようにしているし、業務中もマスクをしている人は多い。連日35度を超える暑さの中で。

たぶん。日本からみた台湾は制限もなく自由に生活し、マスクなんかしていないよね、みんなで外食できていいよね、そういう風に映っているんだろうなぁと思う。実際にそういう面だってある。一か月前までは本当に自粛していて、集まってご飯を食べることもしていなかったけれども、私も友人たちとご飯を食べに行くようになったし、MRTやタクシーに乗る時以外マスクをしていない時もある。でも人が多い場所に行くときには今でも暑いけどマスクをしているし、常に携帯している。もう、それが当たり前になっているから。

そして、台湾に住んでいる日本人として、台湾の人にやはりどうみられるかは意識している。2月頃は日本語で話しているだけで、警戒されていたし、3月はなんで日本人がいるんだ?という顔で見られることも、台湾に住んでいるのか?と聞かれることもあった。外国人だからということで対象にならない保証なども結構あったはず。きちんと税金は納めているけれども。やはり、どんなに親日だといわれていても、私はここにおいては外国人であることは間違いない。中国語が話せる話せないは別の話として。

さらに。やはり外国にいるのだ、と強く感じる。以前はそれこそ国内を移動するぐらいな手軽な感じで行き来していたけれども、今は気軽に友人に会いにいくことも、なにより家族に会うこともできない。オンラインでつながっているとはいえ、実際に会えないというのはやはり違う。

実はいつでも帰れるけど帰っていない、という選択できる状況と、帰りたくても帰れない、という選択できない状況では、見えないストレスのかかり方が全く違うのだと痛感したのも今回分かったこと。当分、日本には帰れないから、今しかできないことをやっていこうと思っている。


そして別の面からみると。

台湾は今水際対策がバッチリされているので多分感染者が出たとしても大丈夫だという安心感はある。今のところ。

でも、それは帰国した後の14日間の管理のされ方が半端ないというか、かなり厳しいものだから、という理由もある。帰国された後14日間自宅で待機されていた方何人かに聞いたのだけれども、そこまでやるんだというぐらいに管理されている。

まずは携帯にGPSをインストール。これで居場所を把握できるようにされる。そして空港から台湾での滞在場所(自宅)までは専用のタクシーで移動。だから必ずどこからどこに移動したかが把握されている状態。ここからが驚いた。毎日専用のAPPで体調と体温を報告。これが規程の時間までに連絡がないと電話がかかってくる。そして何度電話をかけても出なければ滞在場所(自宅)まで警察がやってくる。これは本当に家に確認に来たという話を聞いた。だから携帯だけ家に置いて外にお出かけしててもバレる。管理人のいるマンションに住んでいたら、管理人に姿を見られた時点で家から出ていることがバレる。本当に家から一歩も出れない状態になっているらしい。

他に、最後の1日、14日目に近所の公園に気分転換に出て、それがバレて高額な罰金になったという話も聞いたし、海外から来て14日間の待機場所での待機をせず観光に行ったが故に、本国に帰ろうとした際に空港で足止めされ、確か100万単位の罰金が課せられ、それを支払わないと帰国できない状況になった人がいるというニュースも見た。完全に管理されている状態。これを日本でやったらみんなどんな反応をするだろう?いろんな批判が出るだろうなぁということは容易に想像が出来る。実際は法律上できないはずだけれども。ロックダウンも他国と比較して緩やかだったし罰金が課せられないのは法律上の問題のはず。

台湾はここまでやるからこそ、管理を徹底しているからこそ、封じ込められているということもあると同時に、ここまでやることを分かっているから日本に帰りたくても、帰ってきてからの待機14日間を一人で耐え切るメンタルは持ち合わせてないよなぁ、と日本への帰国を諦めている私もいる。

何が正解かなんて、国によって状況が違うから分からない。それでもやはり何かしらそれぞれに犠牲にしているものがあるのだとも思う。それを犠牲だと思うのかどうかもそれぞれに依るのかもしれない。半年で大きく変化した今が、もう半年でどうなっているのか、そしてその先の未来はどうなっているのか。ここに答えなんてないのだけれども、常に問い続ける、それが大切なのだとも思う今日この頃。




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