小倉 宏樹 Hiroki Ogura

認定NPO法人よみたん自然学校代表理事。ボーイスカウト活動が、野外活動の原点。大学時代…

小倉 宏樹 Hiroki Ogura

認定NPO法人よみたん自然学校代表理事。ボーイスカウト活動が、野外活動の原点。大学時代のキャンプカウンセラー経験をきっかけに野外教育に関心を持つ。2004年よみたん自然学校開校。フリースクール、ようちえん等の日常型の自然体験活動で、子どもの主体性育成に取り組む。

最近の記事

障害は環境により立ち現れる

フリースクール事業をしていると、時々「発達障害がある子はいますか?」と聞かれることがあります。私は必ず「うーん、よく分かりません」と答えています。診断を受けている子もいるようですが、こちらから「診断を受けているかどうか」を聞くことはありません。それには理由があります。 まず、障害が「ある」か「ない」かということは、表現として間違っていると考えています。「自閉スペクトラム症」という名称があるように、現在は障害と呼ばれるものは基本的にスペクトラムであるという考え方が主流です。ス

    • 気持ちと行動を分けるという視点

      前回、前々回と、気持ちに寄り添う大人のサポートについて書きました。 そばにいる大人の存在 気持ちを伝え受け止め合う関係 今回は、気持ちと行動を分けるという視点について書きたいと思います。 主体性を尊重し、子どもたちが「やりたい」と言ったことばかりやっていると、わがままで好き勝手なことをする子に育つのではないかと言われることがあります。しかし、実際はそうではありません。むしろ、その逆です。自分が「やりたい」という気持ちと同じだけ、他の人の気持ちも尊重する必要があるからで

      • 気持ちを伝え受け止め合う関係

        前回は、子どもたちの学びの場で、子どもたちの好奇心や関心から始まる「やりたいこと」をサポートするためには、気持ちに寄り添う大人の存在が欠かせないことを書きました。 そばにいる大人の存在 今回は、気持ちに寄り添う大人のサポートは、子どもたちのコミュニケーション能力をアップすることにも寄与しているということを書きたいと思います。 例えば、子どもたちが海に出かけて磯で遊んでいた時に、2人の子が魚を捕ろうとタモ網を取り合っていたら、どのように声をかけますか?年下の子から使うよう

        • そばにいる大人の存在

          前回の最後に、子どもたちの学びの場に欠かせないのが、そばにいる大人の存在だということを書きました。 なぜ、自然豊かな環境なのか 今回は、その点について書きたいと思います。 子どもたちが遊んでいる時、1人の子(A児とします)が別の子(B児とします)を叩いて、B児が泣いたとします。みなさんはどんなことを思い、どんな声かけをしますか?おそらく、A児に「叩いちゃダメでしょ」と言い、泣いたB児がかわいそうだと思うのが一般的ではないでしょうか?そして、A児は悪いことをした、あるいは

        障害は環境により立ち現れる

          なぜ、自然豊かな環境なのか

          前回の最後に、子どもたちの好奇心や関心を程よく刺激する環境として、「自然豊かな環境」が大事だということを書きました。 活動を見ていて、おおっ!と思う瞬間 今回は、その点についてもう少し掘り下げたいと思います。 子どもの時に自然豊かな環境で育つと、自然を好きになって自ずと自然を大切にする心が育つという考えを時々耳にしますが、私はその考えは間違っていると思っています。なぜなら、今の世の中を作ったのは、今の若い世代よりも私たちの世代よりも、もっと自然豊かな環境で育った人たちだ

          なぜ、自然豊かな環境なのか

          活動を見ていて、おおっ!と思う瞬間

          今でも忘れられない、印象的な出来事があります。それは、3年保育「幼児の学校」事業を始めて間もない頃のことです。子どもたちと近くの海に行きました。その時は潮が引いていて、潮溜りが現れ、その潮溜りの中で小さな魚がたくさん泳いでいました。 魚を捕るのが好きな4歳の女の子が、小さな網を片手に魚を追いかけていましたが、魚の逃げるスピードが速く、なかなか捕まえることができません。しばらくすると、急にぴたっと網を止め、今度はもう一方の手で魚を網の方へ追い込もうとした。お、追い込み漁か?私

          活動を見ていて、おおっ!と思う瞬間

          3ヶ月実習生のふりかえり

          よみたん自然学校では、3年保育「幼児の学校」やフリースクール「小学部」の現場に入って、実際に子どもたちと関わりながら、学ぶことができる実習生という仕組みがあります。 千葉県の多古町で森のようちえんの立ち上げに関わる地域おこし協力隊の鈴木咲希さんが、よみたん自然学校で3ヶ月の実習を終え、ふりかえりを送ってきてくれました。自分自身を見つめるいい時間を過ごしたようです。本人の許可を得て、こちらに転載しますので、どうぞご覧ください。 よみたん自然学校での3か月の実習を通して 千

          3ヶ月実習生のふりかえり

          よみたん自然学校を立ち上げてからの模索

          前回はよみたん自然学校を立ち上げるに至った経緯を書きました。 なぜ、よみたん自然学校をつくったのか? 今回は、立ち上げ後、模索しながら事業展開していった時のことを書こうと思います。 よみたん自然学校を立ち上げた当初、自然育児クラブや夏休みのキャンプ事業をしたり、観光客対象に「琉球石灰岩」をテーマにしたツアーをしたりしていましたが、子どもたちが日常的に自然に触れる場を作りたい、もっと独自の教育を追究したいという思いがモヤモヤとしており、私の思いはまだ形になっていませんでし

          よみたん自然学校を立ち上げてからの模索

          なぜ、よみたん自然学校をつくったのか?

          灘中、灘高、東大を卒業して商社の丸紅に勤めていた私が、沖縄県の読谷村で自然学校を設立。という経歴を見た人は、必ず聞いてきます。 なぜ、よみたん自然学校をつくったのか? まずは、そのことについて書こうと思います。 かれこれさかのぼること、中学生の時のことだったと記憶しています。父は私にこう言いました。「好きなことを仕事にできたら、こんな幸せなことはないぞ。」大人になってからその話をしても、父はかなり酔っていたせいか、そんなことを言った記憶はないと言っていましたが、なぜか、

          なぜ、よみたん自然学校をつくったのか?