よもぎとまかろに

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最近の記事

追慕の季節とグリーフケア

※注意。本記事は「Sky星を紡ぐ子どもたち」で開催されたイベント、追慕の季節のネタバレを含んでおります。ぜひご自分で体験されてから読んでいただけると幸いです。 追慕の季節。 それは喪失感と悲しみに暮れた精霊たち、彼らがまた1歩踏み出す過程を体験するものであった。 精霊たちには皆、激動の時代を通じて大切な誰かを亡くした過去があり、それは記憶の解放で知ることができる。 星の子が彼らにしたことは、彼らに関連する記憶の燈(いわゆる書庫のキューブ)を探し出し、それで復元したアイテム

    • AURORAの季節のあれこれ解釈

      ※本文はAURORAの季節のネタバレを含みます。クエストを全てクリアし、コンサートまで見たという状態での閲覧をお勧めいたします。 題の通り「自分なりにこう感じた」という解釈です。 1.星の子の原罪 ・AURORAさんの世界 コンサートの最初の曲「Exhale Inhare」 何も無い空間に小さな光が蠢いていて、一本の木に集まり花を咲かせる。 花は散り、少し増えた光は集まり光の鳥になる。 光の鳥から光が抜けると、そこからは闇が生える。 抜けた光はマンタになり、またマンタ

      • 蟹面さんの海底探索日記

        捨てられた地は資源が少ない。それでいて危険がいっぱいだ。そんな場所だからこそ、俺の腕がぴかりと光る。 モリ1本、それだけで敵が倒せるかだって? はっはっはっ!舐めんなよ。 資源が少ないからこそ、確実に的確に精細に敵を1発で討ち取る。 もしくはこの卓越した技術で見れば敵も慄いて逃げていくってもんさ。 え?その船酔いしてる状況でもできるのかって? あっはっはっ!見くびるんじゃねえ。 どんな状況でも、自分が不利でも、この腕が外すことなんざ1度もない! 分かったなら、しばらく話し

        • よもぎの海底探索 その3

          怖いことは避けるべきだ。 それは僕のためでもあって、仲間のためでもある。 でも、それでも、やっぱり止められない時がある。 ごめんね。胸の奥が熱くなって、どうしようもないんだもの。 蟹面さんがいなくなった。 みんなが狼狽えて心配している。おさげさんは今にも泣きそうで、より懸命に探している。けれど一向に見つからない。 よもぎも空の上から探すと、傷ついた大きな塔の側で揺れる小さな船を見つけた。 あの下は、暗黒竜がいる場所だ…。 舟へ降りて見ると、船底から真下へロープが伸びて

        追慕の季節とグリーフケア

          よもぎの海底探索 その2

          水中の洞窟を進むと、そこは水草の茂る藻場だった。優しい波はそよ風のように全身を包み、それはまるで草原のような暖かさを感じるが、ここが水中だと思えるのはこもって聞こえる空気の音。ぷくぷくと水草から湧き立つ泡が、踊るように揺れながら海面へ向かって行く。 水中に咲く青い花、見たこともない硬い闇の貝、水面から光が濾されて優しく海中を照らす。 そんな優しい風景のせいだろうか、水中なのに不思議と息苦しくない。いつまでもここで暮らせような心地よさ。 ここはなんて素敵な場所だろう。こんなに

          よもぎの海底探索 その2

          sky表現者たちの季節考察(精霊の人物像について)※ネタバレ注意

          表現者たちの季節に登場する精霊たちの人物像について考察していきます。 アンダーラインのある語句は関連したリンクがついています。 また、Twitterでの精霊紹介とskyでの精霊解放→クエストの順で考察したので各見出しの前後半で受けた印象が変わっている場合があります。考えが変わる過程も面白いのでそのまま書いています。 ・前提条件今季の精霊たちは所謂「生きづらい」「社会の状況によって自分の本領が発揮できない」人々がモチーフだと考えています。詳しくは後述します。 この記事の性質

          sky表現者たちの季節考察(精霊の人物像について)※ネタバレ注意

          よもぎの海底探索 その1

           祭壇をくぐる、それはこの先は別世界だということ。守られた、あるいは封じられた場所と自分の世界を隔てる境界線を越えるということ。  建てっぱなしの石でできたアーチにはロープと、それに結ばれた飾りが2本の柱をつなぐようにつけられている。その奥にはぽっかりと口を開けた洞窟があった。アーチの下には誰かを誘うように赤い蝋燭が点々と洞窟へ向けて並べられている。それはまるで罠。小さな光の粒は大きな口へ誘う餌のようだ。  ただ、この滅びた王国にそんなものはなく、昼寝をしていただけで遠い島に

          よもぎの海底探索 その1

          よもぎと海底探索 その0

           海を進むは小さなボート。誰も知らぬ航路をなぞっていく。  舟を漕ぐのは大きなアフロ。凪いだ海を進む力は、寝息とリズム良く揺れるその反動…ではない。  一際大きく頭が下がった瞬間、ぶわっ!勢いよくアフロが飛び跳ねた。水面に集まり反射した光が一気に目に飛び込み、ムッと目を細め小さな手で眠気まなこを擦る。そうしている内に徐々に紺碧の海原が見えてきた。 「ここ、どこ。」 僕はボートをおじじに借りて楽園の海をお散歩してた。 暖かい日差しで自慢のアフロがぽかぽかしてきて気持ちいいな

          よもぎと海底探索 その0

          よもぎの空飛ぶお手伝い 最終回

          どこまでも繋がる風の街道。 すっかり元通りになって、おしゃれさんも上機嫌。 これから賑やかになるんだろうね。 束の間の穏やかな時間。 せっかくだから、ぼくとおしゃれさんと鳥さんでうきうきおさんぽ。 ぽかぽか陽気でハイキング日和。 だけど誰かさんはなんだかそわそわ。 そうそう、ぼくはお昼寝スポットを探しにきたんだ。 おしゃれさん良い場所知らない? 日当たりが良くて、景色がきれいで、楽しい夢が見れそうな場所だと最高なんだけど…。 そんなお話しをしていると、 あ、誘導手さ

          よもぎの空飛ぶお手伝い 最終回

          よもぎの空飛ぶお手伝い その3

          カタカタカタカタ…しゃらららーん 「奇怪!奪われた風鈴の謎」ででっででっででっででっでーでっ 「おいよもぎ、聞いたか?  ここ最近、風鈴が盗まれる事件が起きてるそうじゃねーか」 ほーん、そいつぁ初耳だ。 だがよ鳥さん、あいきゅー300のオレサマにかかれば、そんな謎なんて朝飯前、いやお昼寝してても解けちまうぜ。 よお、とっつぁん!あんたもこの謎を追ってるんだって? 頑張ってるとっつぁんには、オレサマからだ〜いヒントをプレゼントだ。 そう、この事件の犯人は鳥さんたちっ

          よもぎの空飛ぶお手伝い その3

          よもぎの空飛ぶお手伝い その2

          2つ目のお手伝いは、舟を探して持って来ること。 ぼくだけだと大変そう。 時間はかかるかもしれないけど、やってみるね。 行ってきます。 ………… ここは雨林の地下。 いつかあの子と一緒に探検した場所。 今日も星空の中であの子が笑ってくれてたら良いな。 どうやら目的の舟は……てんでばらばら、しほーはっぽー。 怖いもの知らずなあの精霊さんもびっくりするくらい、あちらこちらに散らばってしまったみたい。 こりゃあ、大変だ。 僕より大きな舟のかけら。気合を入れて引っこ

          よもぎの空飛ぶお手伝い その2

          よもぎの空飛ぶお手伝い その1

          毎日通っていたのに、気づかなかった。 あんなところに雲の道があったなんて! 素敵なアーチに、金色の風鈴。 鳥さんが話していたのは、これのことかな? 分厚い雲の道を吸い込まれるように進む。 わっ眩しい!! 思わずつむった目を開けると、ぼくの前には見たことのない島々があった。 ここの島はとてもへんてこ! 砂色の山にたくさんの穴ぼこ。 ガラクタがいっぱいあって、どこからか水が流れてくる。 真ん中の大きな島には、山をぐるりと巻くように道があって、 山頂はとても良

          よもぎの空飛ぶお手伝い その1

          よもぎの空飛ぶお手伝い その0

          「やあはじめまして、私は鳥です。可愛いでしょう。 今は休憩中でしてね。雨の中を抜けてきたものですから、羽が濡れちゃって。乾かしてたところなんですよ。 しっかし、ここはふかふかしてるし暖かい。最高の休憩場所ですね。 いっその事、ここに巣を作っちゃおうかな!なんて。ははは!」 ………。 ……………ぼくのアフロを勝手に家にされちゃ困るよ。 「おや!?星の子さんの頭でしたか!あまりにも居心地の良いアフロなので雲の中かと思いましたよ!いやいやいや、これは失礼致しました!」

          よもぎの空飛ぶお手伝い その0

          羽ばたく季節ストーリー考察

          ※本記事は羽ばたく季節のネタバレを含みます。ご注意ください。 1.精霊たちの願いsky公式discordでの質問会より。(翻訳本当にありがたいです…!共有してくださりありがとうございます🙏) https://twitter.com/sky_tea11/status/1466337347537018881?t=2kDvNJhIhmoxQ8p0df79og&s=19 羽ばたく季節は過去の出来事と現在が半分ずつくらいの割合で展開されている。 過去だけの出来事ではない、つまり

          羽ばたく季節ストーリー考察

          ウインクする写真家の話

          「親指と人差指を伸ばして、両方ともね。右手の親指と左手の人差指、左手の親指と右手の人差指を合わせて…そうそう上手ね。」 谷から吹き下ろす風が壁の隙間を通り、薪から覗くように顔を出す火を揺らす。 斜陽の光が消える頃、薄暗く底冷えのする家の中、私は祖母の荷物の中からゴツゴツとした四角い箱のようなものを見つけ、うつらうつらと船を漕ぐ祖母の元へ持って行った。 「おばあちゃん、これなあに?」 こっくりこっくりしている祖母の肩を持って大きく揺らそうとしたけれど、ちょっと悪い気がして

          ウインクする写真家の話

          よもぎと小さな友だち 最終回

          そこが、どれほど辛く悲しい場所か、 ぼくは分かっているから。 君との約束を守っちゃいられないくらい、懐いているんだ。 君とはもう二度と会えない気がするから、 後悔したとしても、ぼくの心に正直でいたい。 君がそうしたように。 ⁷⁴ きっともう旅立ってしまったのかと思ってた。 だって君は足がとっても速いから。 君が苦しそうな顔じゃなくて良かったよ。 ごめんね。 きみは来ちゃだめだよって言ってくれたのに、 約束、破っちゃった。 君はそれでも手を差し出して

          よもぎと小さな友だち 最終回