もっちゃん、もっちゃん
もーっちゃん。
「ん？」
もーっちゃん。
「なに？」
もっちゃん、見ないの？
「見ない」
お父さん、おこしたからね。

なに？
なんのこと？
そうだ。
朝になるところを、見てみたいって
いったんだ。
そしたら、お父さんが、
「春休みだから、いっか」って。
「一度、見た方がいいか」って。
「お父さん、もっちゃんのこと呼ぶからね、それで起きられたら、朝になるところをいっしょに見よう」って。

「見る！」
もっちゃんは、飛び起きました。
お父さんと二人、ベランダに出ます。

暗かった空が、
いつのまにか少し明るくなっています。
そして、
さーっと、
さーっと明るくなりました。
「うわー」

「お父さん、朝だ！」
「うん」
「これ、毎日やってるの？」
「そうだよ、毎日やってるんだよ」
「すごいねえ」
「うん。すごい」
あさひの中で、ふたりはわらいました。