ナルニア国物語~魔術師の甥~/C・S・ルイス

ここ最近どうも疲労感がとれず、ファンタジーの世界に浸って頭をリセットしたい!と思っていた折、本書がamazonのおすすめに出てきたので、迷わずポチって読み始めたんですが・・・おいおい、まじかよ。めちゃくちゃおもしろいじゃん!隙間時間を見つけてはkindleを開くのが楽しみで、読んでいる間、とても豊かな時間を過ごせた気がします。

いくつか印象に残った部分を。

本来 の 自分 よりも 馬鹿 に なろ う と 努力 する と、 やっかい な こと に、 たいてい の 場合、 そう なっ て しまう もの だ。 アンドリュー 伯父 も 例外 では なかっ た。 まもなく、 アンドリュー 伯父 は アスラン の 歌 を 聞い ても 吼え 声 にしか 聞こえ なく なっ た。 そして、 もはや 吼え 声 以外 の 意味 を 聞き とろ う として も、 聞き とれ なく なっ た。

アンドリュー伯父は、最初は誰かが歌を歌っていると認識していたけど、歌声がライオンのアスランのものと分かると、「ライオンが歌うはずない、あれは吼え声だ」と自分に言い聞かせます。つまり、ものごとをありのままに受け入れられない。自分の見たいものしか見ず、それ以外は締め出してしまう。ということだと思うけど、それを「本来の自分よりも馬鹿になろうと努力する」と表現したところにグッときました。ぼく自身、馬鹿になる努力をした覚えは多々あります。そうすることで得られたものもあったけど、結局そうして得たものは自ら手放しているんですよね。本来の自分であるためには勇気がいります。本書含め児童文学って全般的に「勇気」を大切に扱っているところが好きです。

けれども、 二人 が 昔 の 二人 と すっかり ちがっ て 見え た のは、 髪型 の せい でも なけれ ば、 衣服 の せい でも ない。 表情 が すっかり 変わっ て い た の だ。 とくに 王 の 表情 は 一変 し て い た。 ロンドン で 辻馬車 の 御者 を し て い た ころ の とげとげし さや ずる 賢 さや けんか っ 早い 物腰 は きれい さっぱり 消え て、 もともと この 男 が 持っ て い た 勇気 と 親切 に あふれ た 気性 が あらわれ て い た。 おそらく、 この 若い 世界 の 空気 が そう さ せ た の だろ う。 あるいは、 アスラン と 話し た せい かも しれ ない し、 その 両方 かも しれ ない。

環境で人は変わる、というのがよく伝わる素晴らしいシーンですが、気になるのは「とくに王の表情は一変していた」の部分。王になった元辻馬車御者には奥さんがいて、奥さんは女王になるんですが、「特に一変」したのは王の表情で、奥さんはそこまで変わってないってことですよね。この部分に、嫁強し、母強し、というか、肝っ玉母さん的な、奥さんの芯の強さを垣間見れるような気がして好きです。多分、「よく分からぬまま女王になっちゃったけど、立場がどうあれ私は私のやるべきことをやるだけだ」くらいに思っているんじゃないかな、と。異世界ナルニアでの女王の私と、ロンドンでの辻馬車御者の奥さんとしての私が地続きで繋がっている感があってよかったです。奥さんについての記述はほとんどないので妄想ですけど。

そして、一番気になるのがアスランの存在。アスランって「絶対的な善」として書かれているように読めるんですが、そんなアスランはシリーズ通してどのように書かれていくのか・・・

あ、いま気付いたけど、シリーズ読破する気満々だな。

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