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〇 クロスカントリー:ソアリング1

皆様、お疲れ様です。
パラグライダーが趣味のよねけんです。
これからクロスカントリーフライトについて自分の考えを書いていきます。
今回はソアリング1の「高く更に高く」です。


題名がクロスカントリーから始まっている記事は自分と同じレベルのパラフライヤーを対象としており、マニアックでガチな内容です。
ご承知おきください。


なぜ高度が必要か

 「なんか当たり前の話してない?」と思われた方。はい、そうです。パラグライダーを含む動力の無い滑空機は、高度(位置エネルギー)が前に進み遠くに飛ぶためのエネルギーになります。高い位置にいれば、それだけ遠くに行けます。
 しかし、それだけではありません。クロスカントリーフライトの場合、一回のグライドで目標に到達することは、まずありません。パイロットはあらかじめソアリングをして高度を取り戻すポイント(地点やエリア)を考えてコースを決めて飛んでいます。そのポイントに到達した時の高度が重要になります。

 簡単な計算をしてみましょう。獅子吼高原から瀬女高原までのフライトで最初の難関は手取川第三ダム越えです。奥獅子吼からダムの向こう側まで約5kmの距離があります。その日の最大獲得高度が1,300mで、追い風を考慮して対地滑空比が10だとします。実際に1,300mまで上げきり5km先に飛んだときの高度は (1,300m-5,000m÷10=) 800mでの到達となります。しかし、1,300mまで上げきらず1,200mで諦めて出たとするとダム越え後の高度は100m低い700mとなります。

実際のフライトの軌跡
行った先で高度がない ≒ サーマル探索の時間とエリアの減少となる

 この100mの高度差は大きいです。到達地点で次のサーマルを見つけるために使える時間、探索できるエリアが異なります。次のサーマルを捕まえるチャンスが大きく変わるのです。沈下率が1m/sとしても1分40秒の時間が生まれます。また、旋回をしないといけないのでアクセルは解除、対地滑空比が8と仮定すると、探査に使えるフライト距離が800m、約200m四方のエリアのサーマル探索が可能です。

 ポイントへの移動では対地滑空比10を下回るかもしれませんし、途中でグライダーを潰され高度と速度を失うかもしれません。思いもよらないシンクがある場合もあるでしょう。なので、高度が高いということはフライトに余裕があるかどうかになってくるのです。

高度を上げるのに必要なのは

 クロスカントリーを考えると出来るだけ高く上がる、10mでも20mでも高く上がってグライドをスタートしたいと考えるようになりました。そうすると頭をよぎるのは、もっと性能の良いグライダーが欲しい(※2)という考えです・・・。

 話は変わりますが、2年ほど前まではTEQUILA4(Normal-B)(※1)に乗っていました。日頃、TEQUILA4でフリーフライトをしていると、時折、CクラスやHighEnd-Bクラスの機体が自分より高い高度を悠々と飛んでいるのを見てグライダースペックが違うしな・・・とか思っていました。しかし、同じサーマルに入ってガーグルを組むとCクラスと遜色ない上がりをTEQUILA4はしてくれます。上昇についてはパラグライダーの性能もポイントだけど、パイロットのスキルが占める割合が高いと思うようになりました。特に、対気速度を抑えてバンクを付けず小さい半径でソアリングすると高度獲得の確率が高くなったように思います。たまにAクラスの初級機がラッキーパンチ(失礼)で、とんでもない高度まで上がることがあるのは、対気速度とバンクの少ない旋回が捕まえたサーマルにうまくハマったと時と理解しています。

 現在はソアリングについては機体のクラス、スペックの影響よりもパイロットのスキルやどれだけ粘り強く高度を上げようとする意志が重要だという考えになっています。あえて意思と言いましたが、一つのサーマルを上げきって満足せずに次のサーマルを狙う行動が必要になりますし、経験の浅いパイロットでは、揺れるのが怖い、800mを越えると不安になる等で到達高度に限界があったりしますので、まずそれを克服しないといけない点になります。

上がれるだけ上がる

 そうなると、日頃のフリーフライトでも考え方が変わってきます。自分と同じ時間帯、同じエリアで自分よりも高い高度のグライダーがいるとまだまだ上がれるチャンスがある。そこまで上がるように色々トライしてみる。あるいは、それに届かなかった場合は何がまずいのか考えるようになりました。そして、一緒に飛んでいた人にどうして上がったのかを率直に聞いたりもしました。たまたまサーマルがあったという人もいれば(多分バブルサーマル)、サーマルコアの捉えるための修正が上手くいったとコメントをくれる人もいて参考にしたりしていました。更に一緒に飛んだ時のGPSのログをもらって自分のフライトと比較(※3)してみたりもしています。
 自分より高い高度に上がった人がいたということは、客観的に見て自分は上がれるのに上がれなかったという事実と捉えています。その部分を改善すればよりクロスカントリーフライトの成功率は高くなるということになります。

そんなこと言うあなたのスキルはどうなのさ?

 とか、言われそうですね・・・(苦笑) 獅子吼のフリーフライトで、いつもその日の最高高度を捉えているかというと微妙というか、できてないですね。個人的には獅子吼エリアで飛んでいる、ある一人のクロスカントリーパイロットをベンチマークとしているのですが、ほぼ、到達高度で勝つことはできてない気がします(笑) ただ、そこまで上がれるのであれば、自分も含めて他の人もできるはずという事実だけは受け止めるようにしています。

次もソアリングネタでソアリング2を書くつもりです。
まだまだパラグライダーな日々は続きます。

【注記】
※1:TEQUILA4
 自分がNPになって買った2機目の機体。メーカーはSkywalk。獅子吼エリアでは10機程度のTEQUILA4が一時期飛んでいて、インストラクターさんが一瞥でパイロットの区別ができないなんてこともありました。結局、インストラクターさんはパイロットの飛び方の癖で区別していて凄いなと思ったことがあります。自分は旋回性の良いこの機体が好きです。残念ながら300時間のフライト時間は機体の性能を劣化させてしまいましたが、今でも大事に持っています。個人的にはこの機体で瀬女高原までクロスカントリーフライトをしたかったのですが、グライダーの寿命に僕のスキルが間に合いませんでした。

TEQUILA4 お気に入りの機体です

※2:もっと性能の良いグライダーが欲しい
 もっと性能の良いグライダーって何? 定義は何? ってなりますよね(苦笑) 当時(NP~パイロットなりたての時)は浅はかなので、もっと上のクラスのグライダーぐらいにしか思ってませんでした。今となって考えると、ソアリングの高度だけを考えれば、対気滑空比と旋回性が良いとなります。じゃ、巡航時やアクセル時のスピードや、荒れた空域での安定性はどーすんのさ・・・など理解する様になりました。そーなると、その時に乗っていたNormal-Bがバランス的にベストとなりますかね。・・・やっぱり浅はかですね・・・。

※3:自分のフライトと比較
 GPSのログを(半ば強引なお願いw)で頂いて、フライトの軌跡を比較したりしています。下の図の例では、赤線が自分で、緑線が提供してくれた先輩クロカンパイロットの軌跡です。途中まで一緒に行ったのですが、自分には無理と思って引き返したのですが、山の尾根をフライトてなくて、戻りに高度を下げています。他方、先輩クロカンパイロットは高度がキープできています。コース取りで大きく変わると理屈で分かっていても、ランディングから遠く、山の斜面が迫ってくると合理的な判断ができないことがあるよという例です。(戒め)

同じように飛んでもコースが違うと
高度ロスが大きく変わるという例です

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