見出し画像

ゲーム『負けるな一茶2』登場! 「一茶すごいヤツだなー」の感動に辿り着くためのゲーム

ゲーム『負けるな一茶』の第二弾、『負けるな一茶2』が登場! 『負けるな一茶2』単独でも遊べるし、1と混ぜても遊べるよ。

ゲームマーケット2024春、頒布開始。

一茶は2万句以上つくっている。多作なのだ。3もできる。すごい句がたくさんあるのだ。

『負けるな一茶』シリーズは、カードに書かれている俳句が一茶か贋作かを当てるゲームだ。
って説明すると「単純な当てものゲームだな!」ってあなどられちゃう。のだが、真の面白さのポイントは別にある。


話し合いメカニクス

1対多の戦いに設定しているところがミソだ。
出題者1人に対して、回答者は複数人のチーム。
みんなで、「一茶」か「ノー一茶」かを話し合って決める。当たればチームがカードを獲得し1点。はずれれば出題者が1点獲得。5点獲得すると勝利だ。
話し合いのうえ回答を1つに絞るため、「一茶味があるなー」「江戸の俳句なのにこの言葉はどうよ」「一茶はそんな人じゃない」などなど、それぞれが感じる「一茶っぽさ」とは何かを話し合うことになる。

1問目が正解不正解どちらでも、その句が一茶の句か贋作か判明するため、プレイヤーの一茶情報が増える一茶豆知識もついているので、さらに増える。
そこで、どんどんそれぞれの回答者に「一茶っぽさ」が、形づくられることになり、さらなる推論と混乱が生まれる。

「本物か贋作か当てる」という目標があるので、協議の方向性が定まり、熱が入る。
協議するなかで、句に対する理解が深まったり、一茶味を感じたり、一体感が生まれたりする。

出題者は、次にどのカードを出すか決めることができるので、回答者がワイワイと推論を交わしている内容を受けて、「ならば、これを出すか!」と、さらなる裏をかくことも可能であり、そうなってくると俳句観や一茶味が揺さぶられる。
揺さぶられる果に、みんなで「一茶すごいヤツだなー」の境地に辿り着くのだ。
(なので、出題者に回ったときが、このゲームのさらなる醍醐味を堪能するタイミングともいえるし、出題者として何度も楽しめるゲームでもある)

それほどに一茶の句は、多様で、時代を超えて、名句だったり、珍句だったり、すごいのよ、マジで。

それに対抗すべく、一茶を憑依させて贋作を作りました。
楽しんでください!

ゲームマーケット2023春 米光ゲーム 取置予約フォーム (google.com)


ゲームの魅力の言語化

おお、ようやくゲームのおもしろさを言語化できた。遅いって!
作り終わってから、ようやく言語化できるときもある。

『東京マッハ』

『負けるな一茶』を作ったきっかけはいくつかある。
まず俳句のゲームを作りたいなーっていうのはずっとあった。

2011年夏、公開句会「東京マッハ」がスタートして、もう10年以上がたった。
書籍化もした(千野帽子☓長嶋有☓堀本裕樹☓米光一成『東京マッハ 俳句を選んで、推して、語り合う』)。

俳句のゲーム

句会はゲームだとずっと言っている。ゲーム好きは、きっと俳句好きになる可能性が高いと踏んでいる。だから俳句のゲームを作ろうと思った。
俳句のゲームがいくつか出てるけど、「俳句、知らないで使ってるでしょ」ってものが多い。
そういったあれこれがあって、俳句のゲームはいずれ作りたいなーとずっと考えていた。

さらに一茶である

さらに一茶である。
一茶は、多作だ。2万句以上つくっている。
一万八千七百句収録の『一茶全集〈第1巻〉発句』 (1979年) 、1ページに約36句ずらーっと並んで、それが747ページまで続く! 圧倒される。

句の多様さ、多様でありながら一茶味を感じてしまう何か。
一茶が活躍したのは、娯楽が庶民に広がっていった江戸中期で、一茶の句が平易なのもいい。
人生も波乱万丈で、賛否ある。一筋縄ではいかない人物だ。
しかも!
一茶の一番有名な句は「痩蛙まけるな一茶是に有」だ。「負けるな一茶」! まさに、ゲームのタイトルとしてぴったり。

本物と贋作

ってことで、一茶の句と贋作を当てるゲームを作った。
最初は、当てた人がカードを獲得する個人対戦だった。一茶のちからもあって、面白いのは面白い。
でも、もうひとつ何か足りぬ。

句会はゲームだ

句会は、ゲームだ。
無記名で俳句を出して、それぞれが良いと思う句を選んで、一番を決め、評しながら作者を発表していく。
ルールがあって、勝ち負けがある。ゲームなのだ。
その遊び心地は独特で、喧々諤々するなかで、ある種の一体感が生まれる。このあたりは、句会録でもある『東京マッハ 俳句を選んで、推して、語り合う』をぜひ読んでほしい(もしくは、開催したときはぜひ来て!)。

この評していくなかで、読みが深まったり、新しい景色が見えたり、一体感が生まれたりする感じ。あれが、ほしい。あの感じが!

あの感じがほしい!

で、試行錯誤するなかで、1対多にして、回答者はチームであり、一茶か贋作かを協議する仕組みが生まれた(わかってみれば単純なんだけど、そこまでは、わけのわからぬ遠回りをした。チップを使ってみたり、相手のカードを奪えるようにしてみたり)。

協議することで、句に対する理解が深まったり、一茶味を感じたり、一体感が生まれたりする。

協議メカニクスにしたことで、プレイテストもレベルアップした。協議のなかで、贋作の不出来なところが発見されたり、一茶の凄さや奇妙さが指摘されたりした。
贋作の不出来は、一部は改訂したが、一部はわざと残してある。不出来を見つけて贋作を見破ってください!

ここから先は

0字

サポートいただいたら、記事に還元できることに使います。表現道場マガジンをよろしく! また、記事単体で購入できますが、月額800円「表現道場マガジン」がお得です。