ドラマ『監察医朝顔』が大傑作

ドラマ『監察医朝顔』が大傑作。 第10話。大学講義シーン、上野樹里演じる主人公の語る長回し。セリフと演出で感動的に泣かせようとすればいくらでも泣かせられるシーンをぐっとおさえ、まっすぐ語らせる。
安易に音楽のボリュームをあげたりするようなことはせず、主人公自身も泣き出しそうなのに落涙せず話し切る。すごい。そのことに泣いてしまう。しばらく涙が止まらなかった。日本のものすごい良質なドラマを久しぶりに観た。

日本のドラマは説明するセリフが多い。今期だと『Heaven? ~ご苦楽レストラン~』は、わざわざ頭の上に顔を出してギャグを説明するという愚までおかしていてクドくなっていた(テーマや構造的にはものすごく面白くて、仕事版逃げ恥になりえたのにー)。

おそらく、ご飯をたべながら観る人を想定していたり、脚本家が現場の演出と綿密に打ち合わせしたりできないから不安だったり、いろいろな理由があるのだと思う。

が、『監察医朝顔』は、そこを完全にふりきって、真剣に見て損のない作り。脚本演出出演陣が一丸となって作っているのか、お互いがお互いを信頼して「しっかり手渡した」うえで作っているのか。(上野樹里、時任三郎などの「説明的な演技」じゃない演技ができる人を配してドラマを作りたいと考えたプロデューサーが、観るものに多くを委ねる作りになっていた『フルーツ宅配便』の脚本家とならできると踏んで、しっかりとした座組を作り出したのではないか。などと勝手な妄想をしてしまうほどだ。と思ってちょっとしらべたら、プロデュースの金城綾香さんは、連続ドラマは初プロデュースらしい、すごい)

脚本はもちろん、演出も、出演陣もみなすばらしい。子供のつぐみちゃんが、めちゃくちゃ自然にみえるのは、もちろん演じる加藤柚凪さんが凄いのもあるけど、ドラマを作っているみんなが「こどもが自然でいられる現場」を作り出しているんだろうなーと感じる。

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