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L:4 夜の警備

7月頃のお話。

5月に治療したばかりの歯の詰め物が欠けてしまった。

特に痛くはないが気になったので、家の近くの歯医者を調べて行くことにした。30分程度で治療も終わり、これで、すっきりと思っていた。

翌日から、治療した歯が噛むと痛みがはしるし、アイスクリームを食べると別の箇所がしみるようにようになってきた。仕事が忙しいし、そう何度も歯医者に行く時間はないのに勘弁してほしい。一体どういうことなんだろうと。仕方ないので、もう一度、歯医者に行くことにした。

すると歯医者さんに

「寝てる時に歯ぎしりとかされますか?」

と聞かれた。いや〜わからない。目は開けて寝ることをわかっている。起きると毎朝、目が真っ赤になってて蒸しタオルを当てないと1日が始まられない。口はどうなのだろう。歯ぎしりというより、口も開けて寝てそうな気もするが、残念ながら私の寝顔を確認してくれる人はいない。

ただ、思い返してみると前日、歯応えのあるものを食べたわけではないのに、朝ものすごく、こめかみが痛い時がある。それに年々、歯の詰め物のすり減るスピードが早くなってるような気はしていた。それは噛む力が強いのかなと思っていたが、もしかしたら歯ぎしりだったのかもしれない。

固いものを噛んだ時に、歯が痛かったり、しみたりするのは、虫歯ではなく歯のエナメル質が削れてるから起こるとのことだった。しかも、歯の噛む部分だけでなく、側面も噛む力が強すぎると欠けるという話だった。

一瞬、その欠けた歯はどこにいくのかと思ったが、要は私の歯は虫歯で痛いのではなく、エナメル質が薄くなってきてることで起こっているようなのである。歯医者さんに

「一度、マウスピースをしてはどうですか」
と言われた。

マウスピース!?
マウスピースを毎晩、寝る時にすれば歯ぎしりが解消されるとのことだ。ただ、欠けた部分が治るわけではないので、その部分は上から何かを塗布して守るらしい。

3000円程度でできるとのことだったので、試してみることにした。上顎に粘土みたいなのを貼り付けられ型をとった。そして1週間後、マウスピースは完成した。

写真を載せても気持ち悪いと思うので割愛するが、私が思っていたより華奢な作りだった。透明の薄くて固いプラスチックような材質で私の上の歯の形をしている。正式には「ナイトガード」と呼ぶらしい。興味のある方はGoogleで画像検索をすると、ずらずらと出てきます。

これをつけて寝てくださいとのことだった。
「どれくらいの期間つけるものなのですか」と聞いたら、数年単位でつけた方がいいとのことだった。けっこうな長いお付き合いになるようだ。

家に帰って早速、鏡に向かってつけてみた。つけた瞬間、明石家さんまのモノマネがしたくなった。
「ほんまや!」
原口あきまさがモノマネにする時につける明石家さんまの前歯のようだったが、つけたからといって上手にモノマネができるわけではなかった。

一つ驚いたというか、まさかこれを買うことになるとはと思ったのがポリデントだ。入れ歯用とは別のマウスピース専用のものだが、商品名はポリデントだった。

今もあるのか知らないが
孫がおじいちゃんに「おじいちゃん、お口くさ〜い」というポリデントのCMはけっこう有名な気がする。子供心にそれは、言っちゃいかんだろと思って印象に残っているCMだ。これにつけて洗浄するとのことだ。洗面台の戸棚にポリデントがやってきた。

さて、ナイトガードをつけての効果のほどだが、2週間ほどつけていたら、知覚過敏の症状が緩和された。どういう仕組みでそうなるのか、いまいちよくわからないが、アイスクリームを食べても、しみないのはうれしい。

歯ぎしりについて意識するようになって気づいたのだが、寝ている時以外でも自分はよく歯を食いしばっていることに気がついた。仕事をしながら、歩きながら、電車を待ちながら、考え事なんかをしていると知らないうちに歯をぎしぎし噛んでいることに気がついた。

調べてみると歯ぎしりの原因はストレスの場合もあるらしい。そういえば、東京に出てきてから、歯が痛くなった気がしなくもない。知らぬ間に歯を食いしばっていたのだなと今になると思う。

今、私は寝る時に、目にはアイマスク、口にはナイトガード、そして耳には騒音対策で耳栓をして寝ている。寝顔も何もあったものじゃない。

いつもより、ちょっとよい茶葉や甘味をいただくのに使わせていただきます。よいインプットのおかげで、よいアウトプットができるはずです!