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ヨンゴトふたたび-2023年8月24日 -酷暑にメメントポンペイ-


今年の夏は特別暑い。連日35度超えの気温を見ても、もう驚かなくなっている。この気温は9月も続くそうで、ただもううんざり。いのちを守る行動はとにかくエアコンで室温を下げるしかない。ところが、これがさらに地球温暖化の原因となり、気温上昇に拍車をかけている。もはやイタチごっこ。そして、この熱波はいまや地球的規模になっていて、ヨーロッパでも連日恐ろしい気温に見舞われているそうだ。あちらは今までエアコンというものが不要だったので、ない家が多く、それこそ命取り。そして、マウイ島のように恐ろしい山火事によって島全体が滅びるというような凄惨な事態も起きている。せっかくコロナ禍も落ち着いてきたというのに。自然災害の猛威がここまで跡をたたないのは、もはや、人間は神様から何かの罰を与えられているのかもしれない。もしくは警告。

今から1944年前の西紀79年8月24日、イタリアはナポリの近く、ポンペイという街が、ヴェスビオ火山の噴火によって、火砕流が街を呑み込んだ。当時、今でも驚くような文化的生活を謳歌していたポンペイ市民約1万人のうち、2,000人が約700度という熱の犠牲となったそうだ。何とか生き残った人々は難民となり、よその土地に逃げざるを得なかったという。そしてポンペイは滅びた。18西紀になって発掘され、街の全容が明らかになる。犠牲者はあまりの高温で死に至ったので、灰の中で亡くなったそのままの形になって出土されている。ポンペイは繁栄した街がそのまま復元された遺跡として、観光名所にもなっていった。そして、都市滅亡の張本人(?)であるヴェスビオ火山の山頂へ観光客を運ぶための登山電車まで敷く。その宣伝のために作られたコマーシャルソングが、有名な『フニクリ・フニクラ』だった。その登山電車も、その後相次いだ噴火のため、1944年に廃止に追いやられたそうだ。そして、歌だけが残った。

悲惨なものを観にいこうとする人間の飽くなき好奇心。それがまた観光スポットになるという不条理。でも、観光がまたその土地を救うことにもなるわけで。そしてさらにまた、因果がめぐるのである。今年の夏、戻ってきたインバウンドによって、日本の酷暑を経験した外国人観光客の皆さま、ご苦労さまです。せめて、帽子や日傘で少しは日避け対策しながら、日本にお金を落としていただければと思うばかりだ。おっと忘れちゃいけない。日本一の山、富士山も活火山だってこと。そして、2024年8月24日は福島第一原発の処理水の海洋放出という負の記念日にもなりそうだ。これは自然災害ではないけれど。

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