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償却資産税のはなし その2 ~固定資産税・償却資産税の改正私案~

前回に引き続き、なにせ時期(時機)に即したテーマということで。

償却資産税という税金は実はない、ということは前回書きました。

数学記号を使えば
償却資産税⊂固定資産税
です。
償却資産税は固定資産税の部分集合です。

固定資産税は、土地、家屋、償却資産、に課されるものですが、その中の償却資産については、1月1日現在の課税対象のものを、毎年1月31日までに申告する必要があり、これを一般に償却資産税の申告と呼んでいます。

固定資産税の通知書・納付書は、前橋市の場合、毎年4月中旬に送付されてきます。それを、年4回の納期(4月、7月、9月、12月)に分けて納めることとなります。

他の市町村では、この通知書・納付書の送付のタイミングと、納期は異なります。

群馬県内だと高崎市は前橋市と同じですが、安中市は納期が5,8,9,11月となっています。なにせ市町村民税(地方税)ですから、ある程度各市町村の裁量があります。

さて、実のところ償却資産税の申告は、税理士業務の中でも付随的な業務の扱いと言っていいかと思います。法人税の申告は税理士が行うけれども、償却資産税の申告は会社自身でする(税理士ではやらない)という会社も、まあまああります。

償却資産税の申告は、税理士的には、ついでといっちゃあなんですが、な業務ではあります。

とはいえ、やるからには当然、ちゃんとやらなきゃならないのですが、1月1日現在(実務的には12月末現在)の償却資産をきちんと把握するのは、場合によってはちょっとキビシイところもあります。

月次で訪問しているところで、行くとして翌月最終週、それも申し訳ないけれどあまり経理がキチンと出来ていないようなところとなると…

2~3月になって、クレジットカードの引き落とし明細をみて、
税理士:「ん、12月中にパソコン買いましたこれ?」
会社 :「あーそうそう、それ、年末にはもう使ってた」
とかなることは、まあざらです。
(パソコンも、器具備品として基本的には償却資産税の申告対象です)

本来そういうことが無いように、税理士事務所としては、随時、いわゆる記帳指導なり、経理周辺業務の迅速化なりをしておき、さらには、1月はじめには、顧問先に対し、去る12月までに固定資産となりそうなものを購入していないかの確認をするべきではあるのです。

・・・現実は、はい。

そんなこともあるので、税理士業界的には、ホントは償却資産税自体廃止してほしいけど、せめて会社(法人)の場合は償却資産税の申告を会社の決算期に合わせてくれ、と毎年のように要望(建議の提出)をしています。

(たとえば、令和4年度税制改正に関する建議書(令和3年6月23日 日本税理士会連合会)P19)

これに対し、ある税制改正関連の研修をちょっと前(3年くらい前)に受けたら、「償却資産税の申告は決算期と一体化される」と確かに聞きました。
・・・確かに聞いたはずなのですが、いまだに、一体化されていません。

あの話は何だったんだ・・・

たしかに、償却資産税の申告を会社(法人)決算期と合わせるとなると、現行の法的枠組み・制度で対応しようとすると、けっこう大変なことになるのはさすがに想像できます。

でもそれって、固定資産税と償却資産税が分かれてないからでは…
という気もします。

以上を踏まえ、私見として

①償却資産税(償却資産)と固定資産税(土地・家屋)とで別途の法(税)体系とする。
②償却資産税の課税時期は会社(法人)の決算期と同じとする。

ただし、こうすると申告受付及び納付確認事務が単純に倍近くなって事務量が大幅増になることは明らかなので、それを最小限にすべく、②の場合は、電子申告&口座振替納付とする条件を付ける。

とする改正をすべき、と考えています。

地方税法をいじるのか、特別法を作るのか、そういった法技術的なことはわかりませんが、このようにしてもらえると、総じてみんなハッピーになるんじゃないかと思います。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。
(シリーズ、まだ続きます)

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