見出し画像

償却資産税のはなし その4 ~案外知られていないこと~

償却資産税シリーズ、4回目。

今日は、実は意外と知られていない(自分も、税理士となる前まで実は恥ずかしながら知りませんでした)というはなしをします。

別に、税理士だから知っている! とかそういうのではなく、前橋市の固定資産税(償却資産)申告の手引き(一応リンク)にもある事項です。

一括償却資産は課税対象外


一括償却資産、というものがあります。

確定申告コーナーの説明は以下のようになっています。
所得税の説明ですが、法人税でもほぼ同じです。

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産(…略…)については、減価償却をしないでその使用した年以後3年間の各年分において、その減価償却資産の全部又は特定の一部を一括し、一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1の金額を必要経費にすることができるものです。

この一括償却資産として取り扱ったものについては、償却資産税の対象外です。

一方、前回述べた、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例という、取得価額が30万円未満である減価償却資産の取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができる制度というのがあります。(以下、便宜的に「損金の特例」とします)

これについては、会計上では費用(損金)計上していても、償却資産税の対象になる、と以前の記事で述べました。

ところで、取得価額が30万円未満ということなので、たとえば取得価額15万円の減価償却資産であっても、この損金の特例が使えます。

同時に、取得価額15万円であるため、上記の一括償却資産としての処理もできます。

(キチンとリクツ通りにマジメにやれば、資産の購入のたびに、「んーどっちにしよっかな」っていうのはやっぱりダメではあるんですが…)

ここで、一括償却資産とすれば、償却資産税の申告は不要ですが、損金の特例を使うと、償却資産税の申告が必要になります。

ということで、損金の特例は目先では費用(損金)が増えて、節税だぜいえーい、ってなるかもしれませんが、償却資産税の分は少なくとも納税負担は増えてます。

残存価額は1円ではなく取得価額の5%


その昔、自分が簿記を初めて習ったもう15年以上前の時分は、減価償却資産には残存価額があって、それは取得価額の10%ということでした。

100万円で買った資産は、耐用年数を過ぎたら帳簿価額10万円ということになってました。

いまは、耐用年数が過ぎた減価償却資産にそんな価値はないだろう、ということで、会計的には残存価額は1円です。備忘価額というやつです。

ところが、償却資産税における減価償却資産は、どんなに買ってから年数がたっていても、取得価額の5%の価額があります。100万円だったら5万円。

5万円×税率(1.4%)=700円の償却資産税がかかります。

100万円だったらまだかわいいものですが、たとえば、ちょっとした製造業であれば、機械装置が1台1,000万円以上、というのはざらにあるわけです。

もう使っていないけど、処分しているわけではないそういった機械装置も、償却資産税の対象になってきます。

あるいは、会計事務所が作っている固定資産台帳をきちんと確認しないと、じつはとっくに処分したはずの機械装置が台帳上には残り続けていて、その台帳を基に償却資産税の申告もしているため、結果、不要な償却資産税を払い続けている、という事態は往々にして起こりえます。

以上、お気を付けください。

本日は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?