嫁が俺の腹でDA PUMPを歌うことを辞めない

大学時代から付き合い、社会人3年目に結婚した嫁。

嫁は昔からジャニオタで、結婚してからはコンサートにも行かなくなったが、最近若いアイドルユニットのオーディション番組をスマホで見ている。


プロデュースなんたら?という番組で、もっぱら夕食を作った後は換気扇の下でタバコと酒を片手にその動画をスマホで見ている。

金のかからない趣味だし、特に口を出すこともなくその奇妙な嫁の趣味を静観していたのだが


ある日、そんな俺に事件が起きる。





その日も嫁はその動画を見ながらニタニタとしていた。俺もいつもどおり夕食を食べ終わり、プレステでゲームをしながら自由な時間を過ごしていた。




次の日も仕事ということもあって、ゲームもそこそこに布団に入る。

1番の至福の時。

明日からの仕事の憂鬱を忘れ、今だけは脳味噌を空っぽにニュースや動画を見て現実逃避する。


そんな日常を過ごしていた時だった。



「高鳴る鼓動は 夕暮れの



君の姿にシンクする」





どこかで聞いたことのある歌詞が、キッチンから聞こえてくる。

はて、なんの曲だったか。


どこか懐かしさを感じながらも、俺は気にすることなくスマホから目をはなさない。布団の中でスマホを漁る。



「ドュユノー?月になんとか背〜負い〜」




謎の歌詞がキッチンから寝室へ鳴り響く。

何を言ってるんだ。何を背負っているんだ。

流石に気になり、俺はスマホから目を離し音の鳴る方を目をやる。

そこには…



「もっしもぉ!!きんみぃが!!ひっ!とっ!りっ!なっ!らっ!!!」



ニタニタと俺を見て笑う嫁が立っていた。




嫁はそのまま音速の速さで俺の布団を剥ぎ、上半身の服を脱がす。

一瞬何が起きたか理解するのに時間がかかる。

そして次の瞬間理解する。

DA PUMPだ。DA PUMPが俺を襲いに来た。



「君の行く末密かにヒットする人ハニッ!!」


嫁はDA PUMPの雰囲気ラップパートを俺の腹に口をつけて歌う。

俺の臓器に嫁の重低音がこだまする。

なんだこれは。


「やめろっ!!」


最初に俺の口から出た言葉は否定だった。

やめて欲しい。俺の腹でDA PUMPのビートを刻むのは辞めてくれ!俺の至福の時間を邪魔しないでくれ!



「もっしもぉ!あのとき〜!あっ!わっ!なっ!けっ!りゃあ〜!」



完全にDA PUMPと化した嫁が俺の目を見て笑う。

ニチャァ…




「君の行く末密かにヒットする人ハニッ!!」


「ひゃああああああ!!!」



恐怖とくすぐったさのあまり、変な声が出る。

なんだこいつは。なんでDA PUMPのラップだけ俺の腹に口を当てて歌うんだ。

そもそもなぜ嫁はDA PUMPになってしまったのか。


記憶を辿ると、答えはあった。あのオーディション番組に出ていたアイドルグループがオーディションで歌っていたのだ。微かに男性の声でDA PUMPが聞こえてきた気がする。

そのアイドルの歌を聞いたせいで嫁は自我を失い、DA PUMPと化してしまった。

あぁ…なんとおぞましいこと。アイドルって凄い。


全てを理解したときには時すでに遅し。

嫁はサビを永遠ループすることを覚え、何度も何度も俺の腹部に語りかける。


何度も何度も君の行く末を密かにヒットされていく。




嫁が飽きる頃には、

腹部は嫁のツバでベチョベチョ。



それが僕のパートナーです。

んーダメージダメージ!!!












#私のパートナー