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妙に早口で急ぎ足だった大谷翔平の会見での説明 - 懸念される水原一平の身の上

大谷翔平に関わる賭博疑惑の騒動が 3/21 に飛び出し、一週間、マスコミもネットもこの問題一色になっている。当然ながら恐ろしく関心が高く、朝と昼のワイドショーはこの話題で埋め尽くされている。私のような、フォロワー数もインプレ数も貧弱で過疎な隠居老人が、Xに地味な素人の感想を書いただけで、あちこちから誹謗中傷のお客様が殺到して賑わう状況になった。まさに大谷翔平の賭博疑惑問題が空前のフィーバーとなっている。日本時間 3/25 の早朝に大谷翔平の会見があり、注目は盛り上がったまま、騒動の勢いが衰える気配はない。12分間の会見を聞いた印象として、妙に早口な点が気になった。これまでの会見よりも喋りのスピードが速い。単位時間に通常より2倍ほど多い情報内容が詰め込まれていた。大谷翔平は、通常はもっとゆっくり話すし、前を向いてオーディエンスを見ながら話す。

その点に違和感を覚えた。自分が言いたいこと、聴く者に伝えて正しく理解してもらいたいことがあれば、普通は相手の目を見て、相手の耳に響いて届く適度な速度を心がけるものだ。今回の会見は日本語が無闇に早口だった。平素の本来のオーラルのトーンを逸脱していた。また、下のメモに視線を落とす時間が長かった。おそらく、あまり話題にしたくない内容を義務として語ったからだろうし、早く済ませたいという潜在的意識が言語行動に作用した影響だろう。この場で求められたのは、被害者の立場を整合的に説明する役割を果たし、要請されていた説明責任対処をよく履行したと評価されることである。それが会見の objective だった。通訳が優秀だったこともあり、この成果は合格点と言えるかもしれない。だが、一方、この早口は、彼が話している中身が本当に真実なのかという疑念に繋がる契機ともなった。

本当に絶対に間違いないことを言っていて、自分の証言に自信があり、相手に頷いて欲しいのならば、目を見てゆっくり喋り、相手の表情に納得を確認するだろうし、それ以前に、聴く者の疑惑を完全に払拭したいという意思があれば、質疑を受け付け、応答のコミュニケーションを選ぶだろう。今回、気づくのは、大谷翔平が普段より帽子を深めにかぶり、ひさしの影で目が隠れている点だ。顔の上半分が薄暗く、両目がよく見えない。これは偶然だろうか。私はそう思わない。映像の視覚効果を考え、代理人とドジャースが計画的・作為的に演出をやっている。目の光や動きで人間の心理はよく分かるものだ。言葉以上に本心が透けて外に表出する。今回は、感情を外に出さぬよう慎重を期した会見だった。大谷翔平の言葉が本当か嘘か探られないように、証拠となる絵を残さないように、代理人とドジャースが「俳優」に指導したのだろう。

一部に、大谷は被害者だから犯罪手口を説明できるはずがないとか、警察が調べているから黙ってろとか、ヒステリックな大谷擁護論の詭弁や恫喝が飛んでいる。そもそも、もし仮に、大谷翔平が実際に賭博に絡んでいたり、借金を知っていたのなら、それを否定して潔白を主張しないといけないし、無関係だと全米世論を説得する機会にしないといけない。なので、その結果を導くべくベストでシンプルなスピーチを組むし、後で綻びが出る余計な説明は省くだろう。が、われわれが聴きたいのは"窃盗犯罪"の全体像ではない。大谷翔平本人の目から見た、率直で端的な、50万ドルx9回の送金事実の認識である。それは昨年行われている。銀行口座は大谷翔平の所有であり、常識で考えて、残高が急激に減っているのに気づかないはずがない。仮に当該口座の全般を水原一平が管理していたとしても、入出金の報告を受けて自身が確認するのは当然ではないか。

自身の口座から6億7500万円(450万ドル)も現金が消えたのに、その事実を、先週(3/19)まで知らなかったなどということがあるだろうか。それが、アメリカ人一般のみならず私を含めた市井の感想だろう。その不審と疑問に対して、大谷翔平はただ「盗まれた」「嘘をつかれた」としか答えなかった。その答えだけ発信し、自身の認識(真実)として固めた。この断言の対応 accountability は、代理人弁護士のものなら理解できるし、法的係争に身を置いた者として必然かもしれないが、われわれが大谷翔平の口から聞きたかった正直な説明ではない。巨額の現金資産を、迂闊に信用したマネジャーに預け、横領されたとか賭博で消えてしまったという事件は、芸能界やプロスポーツ界で屡々聞く。けれども、大谷翔平という理性的人間が、それほど金銭管理にだらしなく杜撰だったとは思えない。水原一平に日々の会計事務は任せても、残高確認は行っていたはずだ。

3/25 の会見は、大谷翔平と代理人とドジャースとの間で入念に打ち合わせて時系列を整理し、表面上破綻のないスト―リーに再構築した上で、その論理的説明を頭の中に暗記し、会場に臨んだものだろう。たぶん、何度かリハーサルして弁護士のチェックを受けたと思われる。自分が心から言いたい真実ではなく、法的経営的に理論武装した公式説明だったから、早口のトークになってしまったのだ。つまり、私見をストレートに言えば、そこに真実はないのだ。大谷翔平は、言いたいことを言ったのではなく、言わなくてはいけないことを言わされたのである。すなわち、ドジャースの組織人として経営目的のために説明責任を果たしたのであり、人間として倫理的に説明責任を果たした姿ではない。良心を持った市民社会の個人の説明として不全だ。ゆえに、LAタイムズの記者のような不満や批判が返って来るのである。

3/25 の会見によって、水原一平は極悪人の犯罪者になってしまった。大谷翔平が告発して断罪したため、完全に市民権を剥奪され、名誉も人格もボロボロに破壊・毀損された人間になった。会見から2日経つが、恐ろしい人格否定を扇動する社会の空気に慄然とさせられる。先週まで、日本人は「一平さん一平さん」と持ち上げ、大谷翔平を成功に導いた殊勲の裏方として称賛し、教科書に載せる模範的有能者として崇め仰いでいた。学校教育で偉業が讃えられる文科省推薦の功労者だった。3/25 を境に、一気に失墜させられ、噓つきの泥棒となり、卑劣な裏切者となり、国民的憎悪が集中させられる敵役となった。異常としか言いようがなく、日本人の軽薄きわまる付和雷同と掌返しに吐き気を覚える。マスコミの言うがままを信じ、マスコミが叩けと号令する悪玉を攻撃する。マスコミが白と言えば白、黒と言えば黒。愚かな鶏の群れだ。

Xで縷々述べてきたように、私は大谷翔平の 3/25 の話を鵜呑みにしないし、信憑性に首を傾げる立場である。水原一平だけが賭博をやっていたのかどうかも怪しく感じていて、二人で遊興して負債を作った可能性もあると疑っている。借金は、22年末に100万ドル(1億5000万円)となり、23年途中に450万ドル(6億7500万円)に膨らんでいる。当時エンゼルス時代の水原一平の年収は8万5000ドル(1275万円)で、どれほど水原一平が非常識な男でも、単独でこの規模の借金を作る大型賭博を繰り返したとは思えない。ボウヤーの闇賭博に熱中した時期は22年から23年半ばまでの1年半ほど。450万ドルは無論のこと、100万ドルの負債でさえ水原一平は負えない。単独での返済は無理だ。1年以上の間、大谷翔平に内緒で賭博に負け続け、大谷翔平の与信で借銭を重ねていたのだろうか。

1年半後、6億7500万円に借金が膨らんだ時点で、盗んだパスワードでボウヤーに入金していたのだろうか。どうも話の辻褄が合わないというか、整合性に飛躍があるように思われる。胴元のボウヤーの方は、賭けの実行者は水原一平であっても背後に大谷翔平がいて、大谷翔平が資金を工面していると認識していたから、巨額のツケをさせて水原一平をカモにしていた。ボウヤーは、闇賭博に大谷翔平が関与していると認識していたのであり、その情報を新規顧客獲得の宣伝材料にして吹聴までしていた。もし、闇賭博に大谷翔平が無関係で、水原一平の資産と責任の範囲での趣味行為だとボウヤーが判断していたなら、そんな大金を貸して遊ばせることはしなかっただろう。水原一平も、大谷翔平も、ボウヤーの罠に気づかず、闇賭博を合法だと軽信したのではないか。ナイーブなまま操縦されて金を注ぎ込んだのではないか。

水原一平の命が危ない。現在、水原一平は遁走したままで、米国内に潜伏して、当局に発見されれば身柄が拘束されると言われている。3/25 の FRIDAY の記事は、米国スポーツ紙記者の「球団や大谷の代理人と綿密にストーリーをすり合わせる必要がある。しばらくは雲隠れするはずだ」という観測を載せている。代理人やドジャースやMLBの立場からすれば、水原一平の存在はリスクであり、このまま姿を現さず永久に消えてくれるのが最善のシナリオだろう。当局の尋問で「いや、大谷も賭博に関わっていました。借金も知っていました」と証言されれば、何もかも最悪の事態になってしまう。すなわち、口封じしたい邪魔者である。今、もしここで水原一平が自殺とか事故で死体になっても、米国社会は冷酷に、汚い負け犬が哀れな運命になっちまった、自己責任の末路だ、で済ませるだろうし、決して同情しないだろう。

現在、誰も水原一平を擁護しないし、抹殺される危機を深刻に考える者がいない。水原一平は全人格が否定され、社会的生命が断たれ、地上に生きる場がない状態になっている。心配だ。おそらく代理人とドジャースは、水原一平を秘密の場所に隔離し、水面下でコンタクトを取り、組み立てたストーリーの共有と保全に尽くしているのだろう。口裏合わせに懸命だろう。そして、人生を失う犯罪者の役を水原一平が引き受けるにおいての報酬を約束しているだろう。その全般について、大谷翔平も承知し合意しているものと想像する。だが、人間だから、自己への尊厳があるから、逮捕され尋問となったとき供述でどう転ぶか分からない。代理人たちはアメリカ人であり、資本の動機と論理が人格化されて動いている機械の生きものである。水原一平は日本人である。水原一平は厳重な監視と保護の下にあり、容易に逃亡できない環境に違いない。そこは非情な米国社会であり、何が起きてもおかしくない。

最後に、大谷翔平の会見の早口といい、説明の論理構成といい、マネジメント戦略の観点から分析すれば、よく練られて設計された用意周到なものだったと感心する。価値判断自由に言えば、エクセレントだった。戦略のキーは英語と日本語という問題であり、通訳という問題に他ならない。アメリカ人は大谷翔平の日本語の早口に気づかない。意識しない。通訳を介して日本語が流れる時間は、無駄で邪魔で退屈で迷惑なトラフィック・ジャムの割り込みであり、無ければ無いほどスムーズで快適なのだ。聞き込んでいるのは、アイアトンの確信に満ちた的確な表現である。さらに、アメリカ人にとって日本語は魔界の世界だから、自身と日本語との関係性を大谷翔平と英語の関係性に投影して理解(誤解)してしまう。今回の大谷翔平の説明をアメリカ人が納得したとすれば、大谷翔平が英語能力において赤ん坊だという想定を置いてのことだろう。巧く考えた戦略だと思った。発案者はアイアトンに違いない。

頭の回転が速い優秀なスタッフだ。これがアメリカの強さの証明だ。

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