世に倦む日日

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世に倦む日日

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最近の記事

21世紀に甦るウェーバー - その社会科学の慧眼と普遍的説得力に圧倒される

最近、Xで「ウェーバーが現代世界をグリップしている」と呟き続けている。どういう着想なのか具体的に説明したい。それは、ウェーバーの理論と命題が、否定できない真理として、目の前の現代世界を貫徹し支配しているという率直な認識と判断である。だが、その中身は、決してポジティブでハッピーな意味で言っているのではない。逆だ。実相としてはきわめてネガティブで厭わしい、理想とは全く逆の、野蛮と地獄と絶望の世界が出現していて、狂気のまま果てしない破壊と暴虐を拡大させている。そのカオスでカタストロ

    • 疑念の残る米捜査当局の発表 - 日米一丸の水原一平の賭博問題の幕引き

      一週間前の日本時間 4/12、連邦捜査局(FBI)、米内国歳入庁(IRS)、米国土安全保障捜査局(HSI)合同の記者会見がLAで行われ、賭博問題で水原一平を訴追した件が発表された。容疑は銀行詐欺。同時に、連邦検事から「大谷翔平は被害者とみなされる」という表明もあった。翌日(日本時間 4/13)、 水原一平はLAの連邦地裁に出廷、短い審理後に保釈が決まる。その後、「真相」を告げる報道が相次ぎ、テレビのワイドショーはずっとこの話題で番組を埋めてきた。「真相」報道は、大谷翔平の無関

      • 韓国総選挙で革新系野党が圧勝 - 祝福のメッセージを送り、曹国の活躍を期待する

        4/10 に投開票が行われた韓国の総選挙では、300議席中、革新系野党が合わせて187議席を獲得して圧勝、保守系与党が惨敗(108議席)する結果となった。投票直前の情勢報道で、野党優勢の観測が流れていたため、大いに期待していたところ、まさに地すべり的勝利の展開となって満悦爽快の気分だ。22年の大統領選の手前、21年頃から、韓国の政治が右へ右へ反動の逆流を続けていて、3年間ほど憂鬱で深刻な状況だったが、ようやくここで左派の反撃が成功し、韓国民主主義が息を吹き返した感を受ける。右

        • 棄民と薬害 - 震災避難所環境の日台の彼我の差と小林製薬紅麹サプリ事件

          4/3、台湾の花蓮沖でM7.7の大地震が起き、4/7 までに13人の死亡が確認されている。日本で話題となったのは、地震発生後わずか4時間で避難所が開設され、住民のプライバシーを守る個室テントが屋内屋外に整然と張られた点であり、冷房と温室シャワーも完備され、食事の配給も当日から完璧で、何から何まで行き届いた支援の絵に驚かされた。4/3 当夜の日本のテレビでその様子が報じられ、能登半島地震の避難所環境との違いにネット世論が騒然となった。花連市では、市長が本日(4/3)中に水道イン

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          『世界ふしぎ発見』と『関口宏のサンデーモーニング』の最終回を見送る

          3/30 に『日立 世界ふしぎ発見』が放送終了し、3/31 に『サンデーモーニング』から関口宏が降板した。前者は1986年4月から38年続き、後者は1987年10月から36年半続いたTBSの長寿番組で、とても長い間お付き合いしてきたテレビ番組だ。特に後者は毎週欠かさず見ていて、一週間の生活ルーティンの一つとなっていた。人生の里程標を踏み越えた感がする。現役続行中の番組としては、48年間続いている『徹子の部屋』があり、『ちびまる子ちゃん』や『忍たま乱太郎』や『テレビタックル』が

          『世界ふしぎ発見』と『関口宏のサンデーモーニング』の最終回を見送る

          妙に早口で急ぎ足だった大谷翔平の会見での説明 - 懸念される水原一平の身の上

          大谷翔平に関わる賭博疑惑の騒動が 3/21 に飛び出し、一週間、マスコミもネットもこの問題一色になっている。当然ながら恐ろしく関心が高く、朝と昼のワイドショーはこの話題で埋め尽くされている。私のような、フォロワー数もインプレ数も貧弱で過疎な隠居老人が、Xに地味な素人の感想を書いただけで、あちこちから誹謗中傷のお客様が殺到して賑わう状況になった。まさに大谷翔平の賭博疑惑問題が空前のフィーバーとなっている。日本時間 3/25 の早朝に大谷翔平の会見があり、注目は盛り上がったまま、

          妙に早口で急ぎ足だった大谷翔平の会見での説明 - 懸念される水原一平の身の上

          キリンが成田悠輔を広告起用した狙いは何か - 医療自由化のエバンジェリズム

          前回、キリンが成田悠輔を広告起用して撤回した問題について、コンプライアンス(法令遵守)の観点から考察した。結論として、キリンの成田悠輔起用は、日本民間放送連盟の放送基準、日本広告業協会・広告倫理綱領、日本広告主協会・倫理綱領、すべてに違反している。これらの規範が「人権の尊重」を第一に掲げ、「人命の軽視」を厳重に禁止しているからである。おそらく、キリンの社内にもこの点への抵触を慮って、成田悠輔の起用に慎重な姿勢だった幹部もいたのだろう。常識的に考えれば、大企業による成田悠輔のC

          キリンが成田悠輔を広告起用した狙いは何か - 医療自由化のエバンジェリズム

          成田悠輔を広告起用したキリン幹部は責任をとれ - キリンのコンプライアンス違反を検証する

          キリンが「氷結」のCMに成田悠輔を起用し、批判と抗議を受けて降板を決めた騒動が起きた。3/4 にキリンが成田悠輔の出演を発表、そこからX上で不買運動が盛り上がり、3/12 にキリンが広告の取り下げを表明してウェブから削除した。「(成田氏の発言は)過度な表現があると判断しました」と撤回の理由を釈明している。「過度な表現」とは、言うまでもなく、高齢者に対して集団切腹・集団自決を求めた2年前の凶悪で冷酷な暴言を意味する。本人は、冗談ではなく、社会保障や少子高齢化の根本的解決策として

          成田悠輔を広告起用したキリン幹部は責任をとれ - キリンのコンプライアンス違反を検証する

          東日本大震災から13年 - 写真と対面し、風化と後退と忘却の流れを確認する

          元日の能登半島地震の影響か、今年はマスコミが「東日本大震災から13年」の報道に注力しているのが目につく。と言っても、中身は薄く、特に心に残る特集や企画はない。雑駁で平板だ。ジャーナリズムと呼べる掘り下げは提供されていない。基本的に、日本人は13年前の大震災を忘却して行っている。意味を正しく掘り起こすことなく、真摯に整理と総括をせず、あの壮絶な体験を忘れて捨てて行っている。原発についてはあっさり再稼働させ、遂には新増設が見える地点まで来た。地震災害については、政府は救助しないか

          東日本大震災から13年 - 写真と対面し、風化と後退と忘却の流れを確認する

          東証が34年ぶり史上最高値 - 令和バブル崩壊の4つのリスク(出口 - 再分配 - 中国 - NY)

          先月下旬(2/22)、東証株価が34年ぶりに最高値を更新した。34年間越えられなかった壁は、1989年12月末につけた終値の3万8915円で、当時の出来事はよく覚えている。テレビで、銀座で飲んだサラリーマンが、タクシーを捕まえようと歩道で一万円札を振り回している絵が度々登場するが、私もその現場を体験した一人だ。場所は、外堀通りの新橋寄りの位置だろうか。田舎出の一介の若輩の庶民でも、当時過熱する日本経済の繁栄の渦の中にいて、栄耀栄華のおこぼれの切れ端に授かっていた。毎日とても忙

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          開戦から2年 - ボグダン・パルホメンコが停戦とウクライナの永世中立国化を提言の驚き

          2月24日、ウクライナ戦争開始から2年が経った。今から1年3か月前、開戦から9か月後(2022.11.26)、『ウクライナ戦争の結末を大胆予想 - アメリカが手を引いて終わり』の記事を上げたが、予想どおりの進行と展開になっている。当時からすでに ”Ukraine fatigue" の声は欧州と米国で上がっていた。ウクライナへの軍事支援に反対する声は、ドイツ(特に旧東ドイツ)で高く上がり、フランス・イタリア・スペインでもNATOに反対するデモが起きていた。時間が経つほどに「支援

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          日本のGDPが世界第4位に ー 労働生産性向上と逆行する経済政策と産業構造

          日本のGDPがドイツに追い越され、世界第4位に転落した。数年前、急檄な円安の動きが始まった頃、その日が来ることを予測して警告的に書いた覚えがあるが、書いた場所を忘れて取り出せない。日経の記事にグラフが出ていて、1961年以降のドイツと日本のドルベースGDP値の推移が比較されている。見ると分かるように、1995年頃の日本のGDPは2倍ほど差をつけてドイツより大きかった。まさかドイツに抜き返されるとは思いもよらず、意外で、長く生きているといろいろな経験をするものだと感慨に浸る。

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          小澤征爾の死に思うこと

          小澤征爾の死が報じられたNHKのニュースで、ウィーンの市民が悼む言葉を発する映像が流れていた。品のよい高齢の女性で、いかにもウィーン市民らしい、音楽をこよなく愛し、人生を音楽と共に生きてきた人の、確信を持った言葉の響きに聞こえた。小澤征爾は世界中の人々から愛され尊敬されていたが、とりわけ、クラシック音楽をよく知り、音楽への造詣が深く、すなわち違いの分かる人ほど、小澤征爾への評価が高く傾倒が強かった印象がある。音楽に無知で素人の私は、カラヤンが指揮するベートーベンの交響曲とフル

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          松本人志の性嗜好 - 同意と不同意のバランス

          2/5 のNHKの番組で田中角栄の特集があり、持論を述べる演説の一部が放映されていた。「人間というものは生きている間は短いんです。せめてその短い生きている間、今よりもいい生活環境を作って、人生を楽しみながら、この世に生まれた喜びを感じながら..」。今週、ずっとこの言葉が頭から離れず、あれこれ思い廻らす時間を送っている。この言葉を松本人志問題に照らしてみよう。最初に告発したA子は2015年11月に、B子は同年8月に性被害に遭っている。いずれも泣き寝入り後に自己嫌悪に襲われ、スト

          松本人志の性嗜好 - 同意と不同意のバランス

          文春の報道を整理する - 10人の告発者による性加害事件の一覧表

          第5弾まで出た週刊文春の報道を一覧表に整理した。 この事件は毎日のようにテレビで放送されていて、平日は朝と昼のワイドショー、日曜は芸能情報番組でネタになり続けている。この話題をテレビが取り上げない日はない。だが、番組に出演してコメントを垂れているのは、吉本興業の芸人やお笑いタレントや、同じ業界の身内ばかりで、松本人志を擁護する発言が圧倒的に多く発信されている。太田光やカンニング竹山やヒロミや和田アキ子がそうだ。弁護士でも、菊間千乃、野村修也、山口真由など、松本人志側に偏った

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          現世拒否とお笑い芸人 - 価値観の闘争、中世絵画とルネサンス

          現世拒否という言葉がある。ウェーバーの『宗教社会学』を大学の政治学演習で読んだとき、この表現が幾度も登場した。何度も何度も繰り返し出てきた。この四字熟語については特に辞書に説明が載ってない。ネットで検索しても、weblio 等で語義を確認することができない。Wikipedia の記述もない。Google で調べると、ただちに関連情報が並び、この言葉がウェーバーの理論(のみ)で使われる特殊な用語であることが分かる。そして、大塚久雄・生松敬三訳のみすず書房刊『宗教社会学論選』に所

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