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1/19 中田考×浅川芳裕「世界征服に役立つ中東怪人対談」に参加して

1月19日(土)に神田で行なわれたトーク会に参加してきた。

告知サイト:(http://app.f.m-cocolog.jp/t/typecast/22008/21644/124927965)

作家・翻訳家の田中真知さん主宰のあひる商会トーク第5弾、イスラーム法学者の中田考さんと農業ジャーナリストの浅川芳裕さんのトーク会だ。

以下、私が紙ペラに書き留めたメモとあいまいな記憶を頼りにトークの内容と拙い感想を書き下していく。
順番が違ってたり、正確ではない箇所もあるかもしれないが、だいたいこういうことを言っていたと理解してもらえるとありがたい。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

1/19(土)あひる商会トーク第5弾 中田考×浅川芳裕「世界征服に役立つ中東怪人対談」18:00〜20:00@神田

1. 中田考+浅川芳裕のプロフィール紹介

トーク会の冒頭、田中さんが中田さんと浅川さんのプロフィールを、スライドでご両人のTwitterアカウントのプロフィールも参照しながら紹介していく。

中田さんも浅川さんもエジプトのカイロ大学に留学していたという共通項がある。司会の田中さんもエジプト在住経験者。

実はカイロで中田さんと浅川さんのお二人が一緒に映っている写真もスライドで紹介された。中田さんはこの写真の存在を知らなかったらしい(笑)。この当時、中田さんは浅川にお小遣いをあげたことがあるという微笑ましいエピソードも…

中田さんはカイロ大学で博士課程を修了した後、在サウジアラビア日本大使館で専門調査員を務め、現在は同志社大学客員教授とイベントバーエデンの食品衛生責任者。ちなみにTwitterの中田さんのアカウント(@HASSANKONAKATA)のフォロワーは全員「カワユイ(^◇^)カリフ道」の門弟になれるらしい。著書は『イスラーム 生と死と聖戦』、『みんなちがって、みんなダメ』など。

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イベントバーエデンの店内に掲げられている食品衛生責任者のプレート。

浅川さんはカイロ大学のセム語学科でヘブライ語を学び、イスラエル研究をしていたとのこと。その後、ソニーのモロッコ支社などでプレイステーションを売ってたりしていたそうだ。 現在は農業の重要性を知って、農業ジャーナリストやコンサルタントなど農業に関わる仕事をしている。著書は『日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率』、『ドナルド・トランプ 黒の説得術』など。

2. 世界征服とは何か

一通りお二人の紹介が終わった後、早速田中さんが今回のトークの本題である「世界征服」について切り出す。

田中「世界征服と言えば、我々の世代で言えば手塚治虫の『マグマ大使』が思い浮かびます。(悪役である)ゴアが世界征服を企み、それに対して主人公のマグマ大使たちが挑んでいくという内容です。それ以外にも漫画などで世界征服と言えば悪い奴がやるものだというイメージが強いでしょう」

中田「私は世界征服と言えば『秘密結社 鷹の爪』(アニメ)を思い浮かべますね。だからあまり世界征服に悪いイメージは無いです。今世界は国民国家がベースになってますね。UAEとかカタールなんか世界で最も豊かな国なんだけど、人口の8割が移民で成り立ってます。ナショナリズムと普遍主義というのは対立する概念なんですが、世界征服は普遍主義に進んでいこうという動きだから、決して悪いものではありません」

浅川「農業的な観点からいくと世界征服は完了しています。人間が住めるところは地球上の1%しかありません。そのうち道路と低木地で3割、あとの6〜7割が農地。地球上の5000万平方キロが農地です。ちなみに日本の面積が約38万平方キロ。5000万平方キロのうち7割が放牧地で、その所有者は数十万人ぐらいしかいません。私はモロッコに住んでいましたが、車で道路を走っているとフェズとかマラケシュとかの都市と農地が隔絶されていることがわかります。都市民が農地を認知できていません。キリスト教やユダヤ教、イスラム教などのアブラハムの宗教は、聖書を読んでもわかりますが、家畜をたくさん飼っています。それも数千頭単位で。今の価値でいうと日本円で何十億円もするでしょう」

中田「馬やラクダは機動力に優れていて、モンゴルはそれで世界征服できました。牧畜=商人で、商業文化に親しんでいます。我々は普段肉というとスーパーとかに並んでいる食べ物を思い浮かべますけど、遊牧民にとっては肉は商品なので食べ物として捉えません。日本では商売でおもてなしとか「お客様は神様です」とか言いますが、アラブではお客様は歓待するものなのでお金をとってはいけません」

浅川「日本人は昔から水源は共有し、農地を耕してました。"一所懸命"という言葉もある通り、所有権=独占物という意識が強いです。あまり知られてませんが、今年4月から森林(環境譲与)税が施行されます。森林税は森林を持ってない人も払わないといけません。森林を維持するためという名目で徴収されます。なので、4月までに森林を持てばたくさんお金が手に入ります。世界のほとんどは乾燥地帯ですけど、私が研究していたイスラエルなんかは農業先進国です。最初イスラエルに移民してきたユダヤ人たちが何もすることがないので、あらゆる分野の優秀な人たちが農業に関わっています。私たちは普段何も考えずに水道から水を出してますが、イスラエルでは水一滴だけで土や葉や茎にどのような影響を与えるのかを事細かに研究しています」

3. 質疑応答

トークが一通り終わり、ここから参加者との質疑応答の時間。

中田さんはいつも通り今のムスリム社会に対する手厳しい批判が中心だった。普段彼の主張に触れてない人たちにとっては刺激になっただろう。

①カイロ大学を卒業した日本人について:

中田「学部を卒業した日本人はほとんどいません。小笠原良治先生や小池百合子さんとか数人ぐらい。あ、あと私もか(笑)。イスラム学のアズハルやカイロ・アメリカン大学にも何人か日本人がいます」

浅川「カイロ大学は私がいた時よりもドンドン劣化してきてますね。私がいた時もムハバラートっていうエジプト軍の諜報機関が大学に事務所を構えていました。カイロ大学はホームページも構成が無茶苦茶です」

中田「カイロ大学の上層部は軍が占めていますね。カイロ大学の学長はエジプトのどこかの知事になります。学長から政治家になるのはエジプトではよくあることです。日本が軍事国家になってきているとか言っている人がいますが、全部が軍に仕切られているエジプトを見ている私からすると、日本は軍事国家ではありません」

浅川「アラブの国は全部同じですね。でもエジプトはその中でも比較的開かれている自由な国だから日本人でも留学できたんです」

②ムスリムへのヘイトについて:

中田「ムスリムはみんな糞です。私も含めて。まともな人間はムハンマドだけだし、今の状況を見てもイスラム教徒はどうしようもないので、ムスリムは糞だと言い続けなければならないんです。ヘイトは人間の話ですから。そもそも今の中東のイスラーム国家は全部反イスラームです。大イスラエル主義の領土に含まれる、エジプトからイラクの辺りまでは全部イスラエルに征服されてしまった方がいいと思ってます。その方がむしろイスラム教徒の方が人口が多いので、イスラエルはユダヤ国家ではなくなりますし。私はエルドアンがカリフになればいいなと思ってますけど」

浅川「アラブの指導者で支持されている人って一人もいませんよね」

中田「サウジアラビアも含めてどうしようもない奴ばっかりですから」

③イスラム国を壊滅するためには:

中田「池内恵先生も昨日の夜ツイートしてたように(※注:https://twitter.com/chutoislam/status/1086272906793967619?s=21)、イスラム国は思想だから実態がないので壊滅しようがないんですね。よく言われてますが、洗脳もありません。フィリピンのミンダナオ島やナイジェリアやアフガニスタンにもイスラム国を名乗っている人たちがいますが、あれは勝手に彼らが名乗ってるだけです。領土ではなく、思想なのでそれだけで成立するんです。トルコ人にもイスラム国の戦闘員が山のようにいます」

④エルサレムについて:

中田「エルサレムはイスラームの聖地でも何でもありません。アル=アクサー・モスクを聖地に仕立てたのはウマイヤ朝です。エルサレムはアラビア語ではクドゥスですが、これはヘブライ語のカドシュと対応します。クルアーンにもカデスという名称が出てきますが、これは漠然と今のシリアの地を指した言葉です。イスラームの元々の聖地はメッカとマディーナですが、アラビア語ではこの二つの地はアラビア語でハラム、つまり禁制の地です。エルサレムはイスラーム第三の聖地とか言われてますが、アラビア語からして他の二つの聖地と全然違う言葉で呼ばれてるんですね」

浅川「エルサレムはムスリムもカトリックとアルメニア、正教会などの諸宗教との契約の地です。教科書の『イスラーム三大聖地の一つ』という記述を消すべきです」

中田「私も消した方がいいと思います」

⑤パレスチナ問題について:

浅川「エルサレムにいるパレスチナ人はみんなイスラエル国籍を取りたいと言ってますね。パレスチナ自治政府に税金を払ってもゴミの回収とか公共サービスを全然やってくれないんですよね。パレスチナの首都ラマッラーで聞いたらまた別の解答なんでしょうけど、エルサレムのパレスチナ人に聞いたらイスラエル市民権を取りたい人ばかりです」

中田「ナショナリズムは呪術的装置ですから。左翼もみんな国家に頼り切ってますよね。「国家が何とかしないといけない」とか。さっきも言いましたが、エジプトからイラクまでイスラエルの領土になった方がいいです」

浅川「パレスチナ難民って言いますけど、何で難民なのかわかりますか?日本人も戦争終わった時に満州引き揚げとかでたくさんの人が置き去りになった。でも彼らは日本人難民とは呼ばれないですよね?難民支援機関があるから"難民"なんです。パレスチナ難民も国連団体が利権のために利用してます」

⑥カイロ大学のヘブライ語学科について:

浅川「実はヘブライ語学科ってカイロの大学に増えてるんです」

中田「えぇ、そうなんだ?」

浅川「はい。カイロでヘブライ語を学ぶ人って、軍系と、さっき中田さんが仰った大イスラエル論者、それとシナイ半島でイスラエル人が来る時のガイドを目指す人とか」

質疑応答も白熱し、予定の時間を10分以上過ぎたところで、トークは無事終了。

その後、懇親会が開かれたが、あいにく私は予定があったのでその場で退散させてもらった。

浅川さんも中田さんも言いたいことをズバズバ言ってて面白く、とても充実した内容で満足だった。

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