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緊急度低・重要度高への注力と負債抑制

“ 重要度が高く、緊急度中・低の仕事 ” が取り残されるのは、どの Salesforce ユーザ企業においても共通の悩みです。また、初期のフットワークや手軽さを運用期間と共に失っていく原因="負債"について考えます。

本noteは2024年4月30日発売の著書「成果を生み出すためのSalesforce運用ガイド」の第7章についての事前解説記事を兼ねています。
その他の解説記事は以下のマガジンにまとめてあります。1章あたり5分程度で読めますので、購入検討の参考に、積ん読防止の概要把握にどうぞ。



改めて書籍構成

第一部 Salesforceを学ぶ
-第1章 Salesforceをとらえ直す
-第2章 Salesforce学習の課題
-第3章 Salesforceの学び方

第二部 現状の会社とビジネスについて考える
-第4章 Salesforceの標準的なモデルを抑える
-第5章 会社のビジネスモデルとSalesforceの適応を考える

第三部 日々の業務を回せる管理者になる
- 第6章 定常的なSalesforce運用作業をいかに効率化できるか
- 第7章 重要な課題への対応と負債の抑制 ←こちら

(改めて)第三部の狙い

前回noteの索引より確認いただけます。

https://note.com/yonyon_saeki/n/n8ba42bb50676

第7章"重要な課題への対応と負債の抑制"

以下の節で構成されています。

7-1 Salesforce 管理者業務の目指すところ
7-2 “課題”という言葉をふわっとさせない
7-3 課題対応の時間を圧迫する不具合対応や“負債”の問題
7-4 “負債”とは何か
7-5 設計的負債を抑制する
7-6 運用的負債を抑制する
7-7 本当の“負債”は“そのとき”までわからない

本章でお伝えしたかった主要な事柄

ひとことで言えば、"重要な課題にフォーカスするために絞り込みと片付けを考えよう"ということです。

システムへの要望は大小含めて限りがなく、尽きません。
また、定常的な業務にかかる時間を減らしても、業務や事業価値を高めるシステム改善の仕事は設計も実装もテストも現場への展開(ロールアウト)も手間がかかり、大きな労力がかかります。

管理者の皆さん一人一人の限られたリソース・時間が価値の高いものとなるためには"会社として重要度が高いとされる課題"にフォーカスする必要があります。課題の認識を擦り合わせることで、ユーザと管理者で責任を共有し、絞り込むことを考えます。

また、システムは作った瞬間から、時代と比較して古くなり、ユーザやデータが増え、エラーのリスクがあがります。そのため、機能を維持・改善する負荷はどんどんとあがっていきます。何もしなくてもそうなのですから、独自に作り込んだ機能があれば加速度的に、その負担は増していきます。所謂"負債"の問題です。負債は避けられませんが、片付け・掃除等の定常作業の折り込みや、不具合発生・負債化リスクの高い観点を事前に知ることで抑制することを考えます。


主なキーワード・図表紹介

・管理者がシステムに向き合い頑張っても評価されないワケ
誰が悪い、という話ではありません。しかし、多くの場合運用しているシステムは不十分な活用、不十分な効果実感となっています。時間と共に、老朽化も問題になります。
システムに手を加える以前の活用を想定した作戦の重要性や、老朽化による問題を起こすぐらいならシステム的な対応以外の解決の優先度は思いのほか高いのではないでしょうか?


・それは本当に"課題"なのか?
本当にSalesforceシステムに手を加える作業を管理者がすべきなのか?の認識を揃えるために課題の定義をおさえます。言葉遊びはしません。
優先度も解決策の妥当性も判断できない、"ただの問題"と区別をするために、最低でも"理想"と"現状"という2つの時間軸で挟んで捉える、これだけは絶対にやって頂きたいと思います。


・重要度の高い取り組みに手がつかない
重要度の高い取り組みは、そもそも作業化も難しく経営や現場との対話や共感・理解に時間がかります。緊急度の高い取り組みや、手をつけやすい取り組みをしているうちに不具合や負債による鈍化が深刻になります。


・2つの負債
本書では負債(技術的負債とも)について、Salesforceシステムの背景や特徴を踏まえて"設計的負債"と"運用的負債"に分けています。負債のリスクを理解しておくことで事前の抑制を期待します。

設計的負債は、後々"まずい作り"と言われる原因です。コーディングやシステム設計的なことはあまり・・・という人も多いと思いますが、後々深刻になるものはデータモデル(オブジェクト設計)とデータフロー(内部フローやデータ連携)の2つだけです。
運用的負債は、いわゆるゴミ問題です。何をするにも邪魔で、たまった贅肉のように動きは重たく、病気を引き起こすこともあります。


・Salesforce導入後のDXにおける4ステップ
運用的負債の構造の一つです。
多くは、1のステップばかりが繰り返され、いらない機能が残ったり、使われ方の不十分な機能によって新たな機能が必要とされたり・・・と負債の候補が増えていきます。
現実的には、複数のシステム改善アイテムは並行して走ることが多いと思います。
本来不要、作っても使われない・活きない機能は捨てるべきですが、ユーザサイド任せになり口出しできない立場の管理者のかたも多くいます。
効果が出なければ次の作り込みにうつるべきではありません。


次回

次回は、最後の第四部に入ります。成長を支える攻めの管理者を目指し、先々に必要となる管理者の課題を考えていきます。
"第8章:Salesforceシステムの未来の姿をイメージする"
"第9章(最終章):成長に向けた準備"


(PR)書籍情報

「成果を生み出すためのSalesforce運用ガイド」
2024年4月30日発売(技術評論社)

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Kindle版の予約購入も開始されました。
購入時にご希望の媒体をお間違えないように注意くださいませ。
※個人的なおすすめは紙書籍(編集の都合上、左右ページにまたがる図表があるため)です。


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