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足の皮より靴の革

ちょっと出かけるだけと、慣れない靴を試しに履きました。
ところが、帰宅するまで、なんと10,000歩。ヘビーでした。

途中で、絆創膏を購入。
赤く腫れたかかとが破けないように。
それでも、足全体に盛大な靴ずれを起こしました。

というのも最後に、玄関までたどり着いたとき、絆創膏をはらなかった軽症領域の小指なんて破裂寸前の水泡が!しかも両足に!できていました。ああもぉ…そのまま鎮まってほしいと目をつむる。

もともと皮膚が薄いタイプです。
しかも甲高で幅広。

そのため、靴ずれしやすいことから、よく絆創膏を持ち歩いています。バッグの中は、この手のアイテムでかさばってしまうけれど、絆創膏はAランクの必需品。今回は「ちょっと出かけるだけ」っていうのがネックでしたね…、軽装備で外出しました。


というよりも、足の皮より靴の革

どんな靴も履く前に革の方をあらかじめ柔らかく伸ばしておけばいいのです。靴の革を伸ばすなら、その道具は、2つ。

▪️シューストレッチャー(靴伸張器)


▪️シューストレッチスプレー(靴革のばし液スプレー)


ですね。
こういうお品も、片付け品の中から出てきました。


部屋の片付けを進めれば進めるほど「お〜」とうなる掘り出し物が出てくるわけですが、この日に履いた靴だってその一つです。

いつ買ったのか覚えていない「白い靴」

「ヒールの高い靴」から心が離れ始めたころ、コンフォートシューズ系が目に入るようになりました。かといって「運動靴」へ移行というわけにもいかなくて、革製new balance あたりに落ち着いた私は、「シンプルで素敵!」とその靴を手に入れました。ところが、その頃の私は「白い靴」を履いて歩くのが恥ずかしい。汚しそうで、眩しくて、細身で。気後れしてすんなり使いこなせませんでした。しかも、

「運動靴」よりだいぶかっこいいけど、どうしても足が痛くなる…

そのままではパンプスから切り替えた意味がありません。

新しいものを買えばいいのか?
そう簡単ではなくて、気に入っているけれど履けない靴というのは、まるで付き合えないけどタイプのあの子が隣の席に座っているかのようで。他の、新しく「白い靴」を買う気にはならず、脳裏に、

アレがあるからなぁ
履きたいのになぁ

と、なかなか先に進まないのです。

ところが今回、久しぶりに目にした「白い靴」。抵抗感はゼロ。ぜんぜん恥ずかしくない、履けます。「靴ずれできちゃうかな?」の方が気がかりでした。


そもそも、スポーティな「白の靴」への憧れは、小学低学年の頃から。

8歳くらいだったと思います。誕生日のプレゼントに「白いスケート靴」を欲しがった記憶があります。スケートリンクへ通っているわけでもないのに、年に数回、冬しか使わないのに欲しがりました。それを、父は聞かなかったふりをし誕生日プレゼント自体もすっぽかしました。白いスケート靴はそもそも無駄だという、買い与えない理由説明も面倒だったのでしょう。

プレゼントされたとして、私はまともに履けたのだろうか?と思うのです。大人になってから自分で買った「白い靴」さえ履けなかったのだから。いやいや、あれは憧れですからね。枕の上に置いて、眺めることになっても、それはそれで良かったはず。憧れは、誇りをかぶっても憧れであり、憧れという役割を果たしてくれます

話は戻るのですが。
しまい込んでいた「白い靴」の、ちょっとした試し履きのつもりが10,000歩以上歩いてしまった。足の小指に水膨れができてしまった。ので、その翌日から、「白い靴」に、革伸ばし液をたっぷりスプレーし、シューストレッチャーをはめ込んで、むぎゅむぎゅ伸ばしはじめました。そうして、白い靴はいま「靴ドック(dock)」にインしています。この靴は、24時間でシューストレッチャー全部がスムーズに入るようになりましたから、きっと履きやすくなるでしょう。


さて、「靴ドック」とは、何かというと。
ずっと長らく、玄関の下駄箱からはみ出している靴が2〜3足あったのですが、先日、それを収納するためのケースを購入しようと、店舗へ出かけ、はずみで関係ない照明器具を買ってしまったということがありました。


その時に、お目当ての収納ケースも購入しました。ところが、家でケースを組み立て使い始めると、それは単なる、はみ出した靴置き場ではなくて、機能的な「靴ドック」になっていったのです。

最初、目の高さにある蓋のない収納ケースに、外出してどこか汚れた靴をそのまま置く気がしないというところから始まりました。だから、靴底の塵を払って収納してみた。そしたら、そこは手入れをした靴しかおけない場所として動き始めました。そのうち、塵を払うという一手間だけでも一つ手入れをすると、靴の不具合に気づくようになりました。すぐに、いやいや不具合のない靴なんてないじゃないの?となって、修正修復が活発に。そして、手入れに時間を要するものの一時保管場所として「靴ドック」が成り立ちました。

靴を磨いて、そこへ置く

汚れない場所で乾かすために。

シューストレッチャーを入れて、そこへ置く

「伸びたかな?」と、何度も様子を見るために。目の高さにあるとみやすいです。

とか。
または、夏の下駄なんて、今、ドック入りの順番待ちをしています。しばらく履いていなかった夏下駄の底は、歩くと地面にくっついてヌバヌバ音がする。経年劣化でゴムの底が半ば溶けてるかもしれません。そこで修理をすればゴムや接着剤を乾かすために、いったん「靴ドック」へ置かないと。

と、こうやって書くと、まるで靴の手入れをまめにする人のようですが、それは違います。

というのも、数ヶ月前、靴磨き道具が大量に荷物から発掘されました。中には使えなくなったクリーム類もあり、長年何もしていなかったなと反省。その後、つい数週間前に、下駄箱の扉が開けやすくなって、眠っていた靴や草履・下駄が顔を出し始めました。ま、夏だから。裸足で下駄を履こうかな、ゴミ捨ての時くらいは。と、なって、履き始めたらヌバヌバ音に気がつくのです。

ちなみにその下駄は、10年以上履いています。
買った店はもうありません。

捨てようと思ったけれど、鎌倉彫りのデザインを見つめて断念。ゴム底にゴムを貼って、もう一回だけ履いてみようかなと補修材を買いに行きました。そして、補修材を開封し下駄を裏返した私は、もうもう腹を抱えて大爆笑。

なんと同じ補修材で、以前にも一度、この下駄を補修していたではないか!

なぜそれがわかったかというと、部品を手に取って説明書を読んでいたら、その工程を一度その下駄でやった映像(動画)が、頭に流れ、かつて修復したはずの踵を裏返して見てみてみると形跡があったから。ヘラでなぞってゴム底が補強されていました。呆れてしまいました。この下駄のこと、相当スキナンダナと。

前前前世で出逢った人を、もう一度好きになるな、私ならきっと。
って、俄然納得できました。


そうやって隠れていた物どうしが、七夕を待っていたかのように顔合わせをし、私は私で、プラスチックケースを買いに行き、それを下駄箱の上に設置する。と途端に、何かカチッと合わさって「靴ドック」が成立しました。それは、単なる靴を手入れする仕組みの成立ですが、たまたま何かが集まって、合わさって、新しい何かが始まる成り立ちを見たような気がしました。

同じもので、同じようで、同じだけじゃない積み重ねをした気がしました。




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