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表紙のとれてる愛だから

「ゆうこ」「アキナ」「あゆみ」はあるのに、陽子はありませんでした。

なんの報告かというと、ここのところ沢田研二と平行に聴いていたのは、村下孝蔵のCD3枚アルバム『夢の記録』なのですが、


このCD歌詞冊子の巻末に既出のアルバム収録曲一覧があります。それをぼんやり見ていると女性の名前の曲が複数ありました。昭和歌謡曲にありがちな曲名。スナックの看板にもありそうな名前。それにしても「ゆうこ」はここでも強い。叙情的な世界観に「ゆうこ」は一人勝ちです。

記事タイトルの「表紙のとれてる愛だから」というフレーズは村下孝蔵『踊り子』からの引用です。

このフレーズからは、道ならないからこその刹那さが良い悪いを超えて伝わってきます。たとえ情念を貫き通す強さにいつか自分自身が蝕まれてしまう時が来てしまっても、退路をたった人は過去から逃げないかもしれないですね。この歌『踊り子』の段階は、そんな覚悟をする以前の、ふらふら揺れている途中。私にとって沢田研二は蠍座新月だったわけですが、これに対して、村下孝蔵は「表紙がある」という前提で愛を語る乙女座満月という感じです。

なぜこのように対比させているのかというと、実は万華鏡のような未来を自分のホロスコープから読み取ろうとするたびに霧がかかったようにわからなくなる蠍座と乙女座のアスペクトがあるからです。それと、もう一つ、その2つの星座に牡羊座が加わったねじれた三角関係の解読へつながっていくものがあり。そこが天井につづく割れ目。突破したくて苦戦してます。読解のお手本がないので、インスピレーションによるモチーフを使いながら自分を深堀するしかなく、歌に浸かっているのです。

そんな本日、沢田研二のバンド付きの「新春ライブ」が数時間後に発売されると知ります。

ここのところ頭の上の天然アンテナの受信状態は最高潮で、

「必要なのでは?」

と、絶妙なタイミングで情報が舞い降りてきました。そこで新春ライブへ行くと何かわかるのだろうか?と思うわけです。

ということで申し込みを試みたのですが、2つある東京会場は瞬く間に受付終了。あれだけのタレントが50年間活動するのですから価値もありファンは厚く当然の結果かもしれません。

どうしても気になった事は自分の目で耳で確かめたい。ネット配信されている動画はアリガタイのですが最後は一次資料に触れたいのが信条。ジュリーの今と昔がどこか違っていてもいいのです。今もって変わらないところこそ本質ではないかと思ったりもして。しかし新春ライブなら着物で行ってもいいなぁ〜、なんてお気楽すぎました。年明けまでもう少し時間があるので、感染症状況を睨みつつチケットが空くかどうか待ってみます。

さて、村下孝蔵のアルバムですが、これは赤歌・青歌・白歌と分けられていて、なかでも白歌は1985年に自宅で録音されたものだそうで興味深いです。感受性の高い方だと自宅が最高のパフォーマンスになるのかもしれないですね。

新春ライブの沢田研二と、自宅録音の村下孝蔵。舞台装置グラムロック風とギター一本フォーク。私のホロスコープの蠍座と乙女座。これらが絡まりながら頭の中をくるくる回ります。

ちなみに、ひとりカラオケで歌いたいのは村下孝蔵なら『春雨』です。

心を編んだセーター
渡す事もできず
一人部屋で解く糸に
想い出を辿りながら

自分で編んで、自分で解く。刹那〜。

この一人相撲感は、勝手に胸を躍らせて温度差を感じた恋心の経験があれば沁みます。編みあみは深い。オリンピック選手が競技場で編み物してても溢れてくるものが見えます。

あとに続く、

電話の度に
サヨナラ言ったのに
どうして最後は
黙っていたの
悲しすぎるわ

という部分が好きです。
この最後の「悲しすぎるわ」が蛇足に感じるほどに、その手前までで二人の終わりが十分伝わってくる歌詞なんです。特に「〜度にサヨナラ言ったのに」のメロディーがその時の思いを代弁していて、とぎれるはずのない月の満ち引きがあっけなくかき消え無くなってしまう情景を連想しました。


そういえば、村下孝蔵のデヴュー曲は『月あかり』らしいのですが、これも別れ歌で

夜も深まり二人の声も
川の流れに溶け込んで
傷つけ合って暮らせぬ事に
二人気付いて頬づえついた

月あかりだけになった沈黙。それが二人の答え。

それが最後だったのに、後に、一人酒する男の記憶には、

「もうこれ以上飲んだらだめよ」

という女の声が聞こえてくるという寂しい展開。
この曲の歌詞にも「こんな夜は寂しすぎて」「悲しくて」とあるのですが、そのフレーズを聞く前からもう寂しい歌なんです。10年前に初めて聴いた時よりも一層しみました。


公開情報によれば、沢田研二(1948〜蟹座)・村下孝蔵(1953〜1999魚座)でした。しっとり。

村下孝蔵LIVE3曲映像
・「踊り子」
・「春雨」
・「ゆうこ」



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