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祖国 その惨憺として輝けることば、熱湯にしづむわがシャツ 塚本邦雄
日本に住み、/日本の国のことばもて言ふは危ふし、/わが思ふ事。土岐善麿
この二人の景色は似ている、と思った。簡単に掲揚し賞賛できなくなってしまった自分の祖国をどうやって愛したり眺めたり、いたわったり考えたり心配したりしたらいいか、まずその姿勢の置き方から悩んでいる。
祖国を愛す前に、その愛し方、愛すときの自分の姿勢とか態度とか身の置き方というものを悩んでいると思う。
だから自分が何か考えるときに、日本に住んでいて日本語でもってそれを遂行することさえ「危ない」と思える。
この「危ない」と思う気持ちがあるところが、短歌の丁寧さに似ている。最近、漠然と、短歌という詩型は「丁寧さ」にとても関わりがあると思うようになった。なにが丁寧に生きることなのか、私にはまだよくわからないけれど、短歌は丁寧に生きることを促す。
その丁寧というのは、自分のものの見方、自分の視界、そういうのをじろじろじぃっっと見つめる、見直す、そういう行為。
隅々まで自分のこと、自分の視界、世界を点検する行為。
Yes, I am scrutinizing.
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