難読文章読解実況中継 ③ 信託法(信託の変更・・・149条3項、4項)
3項に入る。
「3 前二項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合に は、当該各号に定める者による受託者に対する意思表示によってすることができる。この場合において、第二号に掲げるときは、受託者は、委託者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
一 受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 委託者及び受益者
二 信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 受益者」
わぁお〜、長い。
こんなのを読む奴の気がしれん。
書く人の気はもっと知れん。きっとロボットみたいな人なんじゃないか。
あ〜、いやだ、いやだ!
・・・・・・・・
さて、落ち着いたところで、取り掛かるか。
「3 前二項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合に は、当該各号に定める者による受託者に対する意思表示によってすることができる。」
見やすくしてみる。
「3
前二項の規定にかかわらず、
信託の変更は、
①次の各号に掲げる場合には、
②当該各号に定める者による
受託者に対する
意思表示によってすることができる。」
記号化して書くと、
3
前二項の規定にかかわらず、
信託の変更は、
①る場合は、
②による
受託者に対する 意思表示によって することができる。
前二項の規定にかかわらず、だから、1項、2項と違うことを言う。
つまり、①のケースは、②が受託者に対する意思表示でよい。
①は、「次の各号に掲げる場合には、」
②は、「当該各号に定める者による」
と両方とも、各号が出てくるので、ここで、各号を見てみる。
一 受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 委託者及び受益者
二 信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 受益者」
一は、受託者の利益を害しないこと (委託者及び受益者)
二は、信託の目的に反しないこと 及び
受託者の利益を害しないこと (受益者)
要するに、
受託者の不利にならないことなら、委託者及び受益者が受託者に対して、こんな風に変更するぞと言えばいい。
同様に、信託の目的に反しないで、かつ受託者の不利にならないことなら、受益者が受託者に、こう変えると言えばいい。
*「明らか」との条件を忘れてはいけないのだが。
「この場合において、第二号に掲げるときは、受託者は、委託者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。」
第二号とは、受益者が単独で受託者に変更するぞと言った場合だ。
この関係では、委託者は蚊帳の外。だから、委託者に通知する。
誰が? 言い出した者、すなわち受益者でしょうが、と思うかも知れないが、間違い。受託者は、と書いてある。
通知義務のあるのは、なんと、受託者なのだ。
言った者でははなく、言われた者なのだ。
この辺り、先入観を捨てて、文章をしっかり読まなければならないのだよ。
でも、これはなかなか巧妙なやり方だ。
もしこれを受益者が委託者に通知すると決めると、後で、受託者は、そんなことは聞いてなかったと、しらばくれるかも知れない。
しかし、意思表示の通知をを受けた、受託者が、委託者に通知したら、今更、実は聞いていなかったなんて言い出せないものね。
自分で、こんなことにするよう、言われましたんで、と報告こしているのだから。
本当に、これを書いた人は、ロボットじゃなかろうか。
これで、部分部分は理解できたので、全体を読んで、頭に入れておく。
「3 前二項の規定にかかわらず、信託の変更は、次の各号に掲げる場合に は、当該各号に定める者による受託者に対する意思表示によってすることができる。この場合において、第二号に掲げるときは、受託者は、委託者に対し、遅滞なく、変更後の信託行為の内容を通知しなければならない。
一 受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 委託者及び受益者
二 信託の目的に反しないこと及び受託者の利益を害しないことが明らかであるとき 受益者」
あんなにとっつきにくかった条文が、すんなり頭に入ったと思う。
私は入りました。なんてね。
ここで、もう一踏ん張り、短いので第4項もやっておく。
「4 前三項の規定にかかわらず、信託行為に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。」
何ですか、今までさんざん、信託を変更できる場合の条件を書いておいて、信託行為に他のやり方を決めていたら、それでやれと言われるか。
でも、そう言うことですわ。
今日は、ここまで。
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