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捨てネコ、拾っちゃった・・

雨の日って思い出すことがあるんだよね。

もうずいぶん前のこと。

出勤しようと、なんとなくいつもと違うル-トを歩いてみた。
小雨の中、歩道橋をのぼっていくと、
なにやらふにゃふにゃのダンボ-ル。
近づいていくと中からミャ~ミャ~と・・・・。

あらら、とごそごそしてみるとそこには3匹の子猫が・・・。
しかも、まだ目も開いていないではないか。
しばし硬直。

たしか近所に動物病院が!

とにかくダンボ-ルかかえてむかってみるが、まだ開いておらず。

引き取ってもらえないだろうか。でも保健所行きかなあ・・。

とにかく開院時間まで待つことにした。約30分。

僕 「あの~。このコたち拾ったんですけど~。」

お医者さん「からだは弱ってますが、大丈夫ですよ。」
看護婦さん「市販のミルクでいいのであげてください。
  ただし、もっと大切なのはウンチですよ。」
僕 「ウンチですか?」
看護婦さん「はい、おかあさんがいたら、
  お尻をなめてあげればウンチできるんですけど、
  ひとりでは出来ないんですよ。
だから定期的に綿棒で刺激してあげてくださいね。」
僕 「あ、はい・・・。」

そして、ダンボ-ルの子猫たちを抱いて、病院をあとにすることになった。
またまた途方にくれてしまった。

ウンチできないと、死んじゃうらしい。
気がつくと俺は電話していた。
「あ、●●です。お疲れ様です。きょう熱が出たので休みます。」

ちょっとした案が浮かんだ。
それにしても捨てネコで会社サボっちゃった・・・。


その頃の住まいは、大阪。
僕は勤めているし、一人暮らしなもので、
こんなデリケ-トなコたちを、日中ほったらかしておいては危険!
というわけで、思いついたのが実家。
実家は和歌山です。母がいる。

実家を浮かべたのには、もひとつ理由がある。

むか~し、これも雨の日田んぼで泣いてる子猫を拾って、
いまでは50センチほどになったデカネコが住んでる。

他にも2,3匹ネコが居ついてるんだよね。
しかも少し前に出産してたはず。
ママネコではないか!!
(当時実家には、あわせて8匹のネコがいたことになる。)

というわけで、高熱を出した(と会社に告げた)僕は、
和歌山に向かうことにしたんだ。


まず家に帰り、押入れを物色。おっきなバッグ発見。OK!
おっとその前にコンビニで綿棒とミルクをGetしたんだった。

おそるおそる電車に乗り込む。

ミルクをあげてウンチして以来、結構元気になったんだよね。
泣き声はちっちゃいんだけど、ゴソゴソゴソゴソ。
さすがに電車の中では子供が気づいたりして。
「あ、なんかおる~。ネコちゃんやネコちゃん~!」
・・・車掌さんに気づかれたらやばいでしょ。そっとしといて・・・
和歌山までは約2時間。乗り換え3回。駅から徒歩20分。
がんばってくれ。

ドキドキハラハラしながらの小旅行もなんとか終了。
お昼になっちゃってた。
アポなし(?)で帰ったもんだから、母親もびっくり。・・だよね。

事情をはなしてママネコさがして、なんとかご対面。
それがなかなか仲良くしてくれないんだよね。ママネコが。
でも子猫たちがミャ-ミャ-泣くので、
少しはかまってくれるようになった。

うちの母親にもくれぐれも頼んで夕方までのんびりして束の間の帰省だった。


夜、次の日と、そして次の日と電話してみた。


3日目だった。

やっぱダメだった・・・・・・・・・・。
ママネコ、やっぱり実の子供のように面倒みてはくれなかった。
母もできることをしてくれていた。
でもダメだった。
悲しかった。
「他に方法が無かったのか??」くやしかった。
でもどうしようもなかった・・・。

母は3匹をちゃんと土に返してくれたらしい。


ハッピーエンドが好きなんだけど、この時はそうならなかった。


そんなことを思い出す。

生き物って、別れがつらいよね。
でも、あったかくしてくれる。

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