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待ったほうが確実に早く着く場合

いつの間に寝ていたのか、また床で目が覚める。
昨日は疲れていたんだろう。
買い物袋を抱えていつもより遅いペースで家に帰った。

明日は暖かくなりますよ〜、と店員さんも朗らかに話していた。
確かに、もうマフラーも耳当ても要らないのかもしれない。
外へ出たその瞬間だけはひやっとするから、いつも身につけている。
歩いているうちに暑くなった。
冷たい飲み物が欲しくなるくらいになったんだなぁと思う。
でも朝は内臓を温めると良いと聞いたから、いつもの温かい麦茶を買って飲む。

この街に越してきて3週間が経った。
まだまだ感慨に耽る時期は終わらない。
良いところだなぁ…と日々思うのである。
賑やかな時間もあれば、世界の終末にひとり取り残されたように誰もいなくなる時間もある。
人のいない路地を歩く。
生活する街の雰囲気はそこら中に感じられるのに、誰ともすれ違わない夜道。
並ぶ一軒家の明かりにほっとする。
明日も外の世界に出ていこう。
そう思いながら我が家の明かりを目指して歩くのだ。


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