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窓の外はさわれない

相鉄線を眺めていて車内の照明が良い色だったから、いいなぁ、乗って行きたいなぁと思った。
海老名には何があるのかなと調べてみる。おしゃれなカフェやショッピングモール、ホテルもある。ひとりで行ってみるのもありだよなぁと思う。

職場の事務スタッフさんに癒されて中野の街を後にする。皆んながそれぞれ頑張っているの、いいなぁ。優しい言葉で満たされて、温まった身体もあっという間に冷えてしまうほどの寒い夜。

「これから」なんて、私にはないと思っていた。今でも時折、ないと思ってしまう。
余生を過ごすような気持ちだ。目指すべきところなどどこにもない。
きっともうすぐいなくなってしまうのだからと。

精神科の先生が、力無く愛想笑いをした私に、「大丈夫。これから良くなりますよ」と声をかけた。
これからが、あるのか。
愕然とするような気持ちで、足を引き摺りながら駅へ向かう。薬剤師さんの優しい笑顔。涙を止められなかったわたし。レッスンまでに気持ちを取り戻す。ライブ、楽しかったな。

私はいつまで、生きていかなくちゃいけないんだろ。

明日のライブは朝早い。美味しいもの食べて、良く寝てくださいね、と言われたことを思い返す。
優しい人たちに囲まれて、ああ、幸せなんだろうな。
本来感じるべき幸せを私は窓越しに見つめるだけ。

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