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【特集】プラスチックの人体への影響と代替品の可能性

歓びの木2022年1月号でもマイクロプラスチックについて特集しました。プラスチックは私たちの生活には欠かせない存在となっている反面、その中に含まれる環境ホルモンなどの有害物質は、人体にも影響があると言われています。

【環境ホルモンにより懸念される人体の影響】

生物に影響を及ぼすとされる環境ホルモンとは

環境中に存在して、生体に入るとホルモンと似た作用をしてホルモンの分泌系を撹乱し、生殖機能・甲状腺・脳神経などに悪影響を与えると考えられている化学物質の総称です。ホルモンの信号を受け取る「受容体」に結合することで、 本来のホルモンの働きを狂わせてしまいます。

主にプラスチックの原料として使用されている「ビスフェノールA」

ビスフェノールAは、食品用容器や缶詰の内面塗装に使用される、ポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂に含まれる成分です。近年の研究で、ビスフェノールAが、きわめて微量でも動物の胎児等に影響することがあると報告され、厚生労働省も胎児や乳幼児に対して注意が必要だとしています。熱に弱いため、子ども用プラスチック容器やポリカーボネート製の哺乳瓶を使用している方は、プラスチック容器のままレンジにかけない、ガラス製哺乳瓶に替えるなどすると安心です。各メーカーは食品衛生法を遵守し、原料の改善もしていますが、国の基準値が必ずしも安全とは言い切れなくなり、注意が必要です。

「やめる」ことが難しい

プラスチックは、紙製品の代用として登場。加工しやすく、軽量、安価であることから一気に拡がりました。トレーや包材など、ほぼ全てがプラスチックに移行した現在では、製造ラインもプラスチック容器を前提とした設備となっており、これを変えるには非常に大きな経費がかかってしまいます。それでも脱プラスチックをするならば、今度は紙を大量消費するのか、輸送・製造・価格の問題をどうするかなど、大きな課題があります。

組合員の声をもとに

昨年5月に、中日新聞の記事でプラスチック容器から食べ物に溶け込む化学物質についての研究 データが掲載されました。この記事をご覧になった 組合員より、昨年度の総代会にて「プラスチックの人体への影響について懸念」が示されました。せっかく添加物を使っていない商品を提供しても、容器から環境ホルモンが出るのでは意味がありません。「安全安心な食品をお届けしたい」その思いから、 組合員さんへの呼びかけに動き出しました。

あいち生協の取り組み

これから少しずつですが、プラスチック問題を広く組合員に発信し、プラごみの削減・化学物質を体内に取り込まないための予防策を発信していきます。
 まず、組合員さんにお伝えしたいのは、プラ容器に入った食品はそのままレンジで温めないで、できるだけ陶器の容器に移してから、乾燥が気になる方は濡れ布巾をかけて温めてください。湯煎調理できる商品であっても、鍋に移してから火にかけることを推奨します。

ここがポイント
組合員の利便性やメーカーの製造工程を考えると、プラ容器や包材を完全に無くすことは出来ないため、陶器等に移し替えての温め直しを呼びかけています。


石灰を使った容器の可能性

プラスチックに代わるかもしれない新容器があります。「おとうふ工房いしかわ」から、石灰(貝がら等)を原料とした容器が提案されたのです。この石灰容器が広がれば、環境ホルモンの対策やプラごみ削減にもつながる可能性を秘めています。


次回、6月号は『プラスチック削減の取り組み』についてのお話です。


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