orion-オリオン-

束の間の雨宿りくらいが丁度いい。 雨が止んだらまた歩き出したらいい。 誰かにとってのそ…

orion-オリオン-

束の間の雨宿りくらいが丁度いい。 雨が止んだらまた歩き出したらいい。 誰かにとってのそんな場所でありたい。 ゆっくりお過ごし下さい‪𓂃 𓈒☕*° ※朗読配信等にお使い頂ける事は嬉しく思います。 その際はDMやコメントを下さると幸いです(*・ω・)*_ _)

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頑張っている君へ

辛いことがあってもダイジョウブ 苦しいことがあってもダイジョウブ 悲しいことがあってもダイジョウブ 嫌なことがあってもダイジョウブ 全部、全部、ダイジョウブ 痛いことがあっても痛くない、だってこれは僕じゃないから 苦しいことがあっても何でもない、だってこれは僕じゃないから 悲しいことがあっても泣いたりしない、だって何も感じないから 全部、全部、僕じゃないから 不条理も理不尽も孤独も全部、一人でなんとかする 頑張らなきゃいけないからずっと頑張ってる お兄ち

    • メトロノーム

      凍てつく心を抱き締めているのなら、そっとその腕ごと抱き締める 壊れてしまいそうなら、壊れてしまってもいいように包み込む 汚れた手を眺めているのなら、一緒に汚れても構わずに手を握る 辛い、苦しいと藻掻いているのなら、辛いね、苦しいねって頷く ――枯れてしまうのなら、水をやるばかりでなく、共に枯れよう                         可惜 夜-Atarai Yoru-

      • 船の行く先

         風が止んで、胸の辺りがざらりと鳴る。 見つからないものに限って意外と近くにあるものだって誰かが言っていたけれど、それは本当にそうなのだろうか。 見つからないものが、永遠に見つからないままだってこともあるだろう、と思うのです。時にそれは哀しみを伴って、胸の辺りをざらりと撫でることもあるけれど、それもまた運命なのだと考えることが出来たら案外、哀しみばかりって訳ではないのかもしれません。  海が凪いで、心に平穏がじわりと滲んでいく。 苦しみや悲しみばかりを嘆いていても、平穏が訪

        • 舞い散る頃に

           眼鏡の汚れを拭きとるように、僕は涙を拭ったんだ。 少しずつすれ違って、少しずつ壊れていく僕らに気が付かないままで、それに気が付いた頃には全てが遅すぎたのかもしれない。 眠れない夜を幾つも数えながら、いつのまにか夜明けを迎えて、朝焼けがあまりに綺麗だったから僕らは離れていくしかなかった。 幸せなんてものに縋りついて、本当のことに目を瞑って見ないふりをしながら、伏し目がちに歩いてきた。 繋いできた両手を離す時に君は何を感じ、何を見て、何を想うのだろう。 いつまでも続く筈のない永

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        頑張っている君へ

          月夜

          今宵の月があまりに綺麗だったから ただそれだけ たったそれだけのこと 孤独も 空虚も どうしようもない感情も 全てを置いていけるんだ 何処までも 何処までも 飛んでいけるんだ 今宵の月があまりに綺麗だったから                         可惜 夜-Atarai Yoru-

          福音

           風が止んで、心が凪いでいく。 穏やかな春の匂いが胸を掬って、通りすがりの哀しみに染み渡った。 いつもの道、いつも通りの日常が切り抜かれ、彩っていく温もりを感じる。 ――幸せの音が鳴った。                         可惜 夜-Atarai Yoru-

          ねぎたま牛丼と新作スタバ

           人生なんて案外、どうとでもなると誰かが言った。  もう十数回は観た映画がある。冒頭の十数分だけなら数十回は観ている。 質よりも量なのか、量よりも質なのか、人生はどっちなのだろうって思う。  豊富なメニューが揃っているチェーン店で、新作が出たと言うけれど、結局のところ、いつも同じメニューばかりを注文してしまう。 量よりも質なのかもしれないと、この時ばかりは思うわけである。 人生に求めるものなんて些末なことなのかもしれない。  沢山の洋服で溢れているというのに、選んでしまう

          ねぎたま牛丼と新作スタバ

          日常の奇跡

           奇跡は、なんでもない日常の中にあるのだと思う。  舞い上がった埃のように美しく降る雪を見上げ、積もった雪の上を音を鳴らし歩きながら、そんなことを考えていた。僕の日常の中には、どんな奇跡が眠っているのだろう、と考えを巡らせてみるが、何一つ思いつかない。それでも、奇跡というものは、きっと何処かにあると思うんだ。 隣を並んで歩く恋人は、僕が今、そんなことを考えていることなど知る由もなく、寒そうに白い息を吐きながら僕に笑いかける。これもまた、奇跡のうちのひとつかもしれないと思った。

          センチメートルな恋

           最終列車の発車アナウンスが流れ、二人を別つ。 名残惜しそうな背中に小さく「またね」と声が零れ、遥を見送った。 まばらな人波を縫う度に、透の目からは涙が溢れた。駅から遠ざかっていくほど、愛してきた今日までの全てが過去になっていくのをまざまざと感じて、溢れてくる涙は止まらない。最後には、むせび泣きながら走り出していた。  写真が趣味の透と絵を描くことが好きな遥は、逢うべくして逢ったのか、偶然よりも必然に近い形で出逢った。そして、そうなるべくして恋に落ちていき、それほど時間は必

          センチメートルな恋

          恋に必要なもの

          たった一言。 好き それだけあればいい。                         可惜 夜-Atarai Yoru-

          恋に必要なもの

          今を生きる

           浮かんだ瞬間から、音を立てて崩れた。 バラバラになって宙を舞うようにして、言葉たちは消えていく。 味気ない言葉だけを残して、ほとんど全部がほどけていくのだ。  飲みかけの珈琲が既に冷めきっていることにも気が付かない。 言葉だけじゃなく、色々なものが味気ないのだ。 冷めた珈琲も、褪せた言葉も、生きている今日も、なにもかも。  音楽を聴いても入ってこない。 言葉を綴ってもほどけて褪せていく。温め直した不味い珈琲。 全部、僕にお似合いだって誰かが嗤う。 ――そんな風に今日を

          いいんだよ

          酷く傷付いて、怖くなったなら逃げてもいいんだよ 逃げる勇気もなくって立ち止まってしまっていても、それも大丈夫だよ 君が君でいる限り、君を見ている人がいて、きっと助けてくれる人もいるよ 今はまだ、出逢っていないかもしれないね だから、苦しくって、辛くって、吐き出すことも出来なくって 全部が嫌で、捨ててしまいたくなっているのも知っているよ それでも君は、なんにも悪くなんかないんだよ 誰かのせいにしたっていい 環境のせいにしたっていい 言い訳ばかりでもいいんだよ

          冬、綺麗なままで

           春に溶け混じり、汚れていく冬を嫌って、このままで、と願った。 凛と澄む空に浮かぶオリオンを眺め、シリウスに目を細めて、この時間がずっと続いて欲しいとも願う。  時間は残酷だ。 いつも、僕を否応なしに置き去りにしていく。 行く先の見えない明日は、いつだって身勝手に訪れ、やがて去っていく。 さよならを嫌う僕を、置いてけぼりにしていくんだ。  一日の中で何度もさよならを繰り返して、生きている。 その全てが哀しく、寂しい。深まる孤独感に飲み込まれていく。 小さな否定を繰り返しな

          冬、綺麗なままで

          眺望

          夕暮れの桟橋に立つ男女が今、落ちた ぼーっと眺めていたら、騒がしくなっていくのが分かった 男女は可哀想なことになったらしく、涙を流す人もいた やっぱり僕は、ぼーっとそれを眺めている いつまでも、いつまでも、ぼーっと眺めている やがて、僕に順番が回ってきて 夜更けの桟橋から落ちた それをぼーっと眺めている人がいる あれは誰なのだろう そんなことを考えながら僕は、どんどんと沈んでいった 二月の海は、とても温かく感じた                     

          川底とネクタイ

           川底に寝転がって空を眺めていたい。 何もかもを放り出して、何もかもを投げ出して、ただ横たわっていたい。 何も残っていない僕に、何か出来る筈もなく、それでいて尚、呼吸をやめないまま歪んで揺蕩う空を眺めているのだ。 この上なく幸せな時間だった。  幸せな時間は、長くは続かないものだ。 あっという間に叩き起こされて、スーツを着て、タイを締めて出掛けていくしかなかった。それに抗うことも出来なかった。 そうしてまた、傷付いてボロボロになって、そのうちに川底に横たわる。 幾度となくそ

          川底とネクタイ

          君という存在

          いつだって 何処かの誰かが 不幸せを生きている だからといって あなたが今ある幸せを手放す必要はないの 祈りや願いがいつか誰かにとって 大きな、大きな力になる日もきっとくるから そんなあなたは十分に素敵だと思うよ ただ、ただ、いつも通りに笑って過ごしたらいい その笑顔もきっと誰かの力になるのだから                         可惜 夜-Atarai Yoru-