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月を磨く

なみだの川から汲んできて
使い慣れたデッキブラシであの月を磨く
星降る夜に電波塔を梯子にして
星々は記号みたいにちかちかしている
でこぼこな穴には花を植えたい
ぼろぼろな身体もあいしてあげたい
勘違いで
夜に飛ぶ飛行機も
ほうき星だ
オムレツみたいなあの月を少し齧ると
錆びて赤茶けた鉄の味がして
月に願いをする人達の想いを
吸いとりすぎてしまったんだなと知る
僕はまた使い慣れたデッキブラシで月を磨く
月の願いは誰が叶えるのだろう
太陽にしか出来ないのかもしれない
僕は決して温かくはない唇で月にくちづける
そうすると月は仄かに黄色くなった
少しは元気が出たかい?そう月に聞くと
月はまた少し白くなった
淋しがり屋なのは月の方だった
たまに居なくなるのは泣いていたから
僕はそんな月を抱きしめるみたいに
空から見える時は月と見つめ合った
ちょっと手を振って微笑むんだ
また電波塔を梯子にして
磨きにゆくから
待っていておくれ

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