四季と探し物
振り向かずに行ってしまったあなたを想って
私は今日も月を探します
夜に聞こえる虫の音の中に
あなたの声を探します
風に吹かれてゆらめく穂の中に
あなたの姿を探します
手に落ちた雪の結晶の中に
あなたの心を探します
舞い散る桜の花びらの中に
あなたとの思い出を探します
春が始まりで
また終わりのような気がするのは
私だけでしょうか
どうしたらあなたに私の声を
届けることができますか
伝えなければならないことが
本当にたくさんあるのに
せめて「いつまでもずっと愛している」と
この言葉だけ届けてくれないでしょうか
沢山の謝罪と感謝の言葉より
なによりも伝えたい言葉なのに
私たちは何のために生まれ
死んだらどうなるのでしょうか
広大な宇宙の一循環に過ぎないのでしょうか
それでも私は季節が巡るたびに
あなたの面影を探します
#詩 #エッセイ #言葉 #四季 #探し物
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