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生 Gustavo Dudamel

2023/04/08

若かりし頃から音楽好きで、極力いろいろなジャンルの音楽を先入観なく聴くようにしている。

この辺は細野晴臣さんや旧・ティンパンアレイ関連の皆さんの影響を受けているのだと思う。
その昔の YMO のアルバム「増殖」の一節にもあるが・・・
「沢山の音楽を聴くとわかるんだけど、良いモノもある、悪いモノもある」って言うことなんだと思う。

とは言うものの、いわゆる「クラシック音楽」はあまり得意ではない。
例えば「カラヤン指揮、ウィーンフィルハーモニーオーケストラ」の CD を聴いて「良いなぁ」と思うことはあまりない。 クラシックで聞くとすれば楽器数の少ない、ピアノ 弦楽アンサンブル みたいなモノを好んで聴いている。

そんなボクだけれど、オーケストラ指揮者として一人だけ大好きと言いうか、気になっている方が居る。

Gustavo Dudamel(グスターボ・ドゥダメル)
十数年前にテレビで、彼が指揮する「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ・オブ・ベネゼエラ」の映像を見てから、彼の自由かつ勢いのあるその指揮っぷりと、「シモン・ボリバル・・・・」のメンバーのなんとも楽し気に演奏するその姿のとりこになってしまった。
Dudamel 氏と「シモン・ボリバル・・・」が来日した時のコンサートの映像が YouTube に残っている。

上記の動画に対するどなたかのコメントで「10年前にこの動画を見て、鳥肌が立ち、あれから10年たって再度見たら、涙があふれた」と言うのがあったけれど、ボクの感想も全く同じ。

で、いつの日か何とか Gustavo Dudamel さんが指揮するコンサートを生で見たいと思っていたのが今から20年近くも前の話。


時はながれて、2023年。
バレエ好きの我が嫁ハンがパリで行われるバレエの公演スケジュールなどをネットでいろいろと検索しているときに、ヒョンナことから Dudamel さんが 2021年から Paris・Opéra の音楽監督に就任していることがわかった。これはひょっとしたらフランス・パリ近郊に住んでいるうちに Paris で彼の指揮っぷりが観れて聴けるかも・・・と思っていたら、嫁ハンが4月8日に彼が指揮するコンサートがあることを突きとめた。 嫁ハンによると、ちょっとお高めの席だけれど空きがあるということだったのですぐに予約をとってもらい、昨日(2023/04/08)コンサートに出かけてきた。


コンサート会場は、Paris にある Philharmonie de Paris
https://philharmoniedeparis.fr/en/activity/concert-symphonique/23869-opera-national-de-paris-gustavo-dudamel?itemId=120844#gallery
指揮は Gustavo Dudamel
演奏は Orchestre de l'Opéra national de Paaris
演奏曲は Haydn に Ravel に Strauss。

Philharmonie de Paris は、クラシックコンサート専用のホールらしく、舞台を囲むように前後左右に客先が設けられている(写真参照)。 われらの席はと言うと、舞台真正面前から 14列目のど真ん中2席。 さすがにお高い席だけはある。ホールで音楽を楽しむにはこれ以上の席はない。 それに前から14列目と言っても、オーケストラがいる舞台はすぐ目の前。 Dudamel さんのお姿もまじかに拝見することができた。

クラシック音楽に詳しくないボクなので、演奏がどうのこうのと言える力量はないけれど、Dudamel さんの、時には力強く、時には踊るような指揮っぷりと、Orchestra の生音の何とも言葉にしがたい高揚感と心地よさを感じながら音楽に聴き入っていた。

特に、曲の盛り上がり部分で、Dudamel さんが両手を大きく広げ Orchestra 全体を鼓舞するのと同じタイミングで舞台左右のバイオリンの弓が上下に大きく動き、燕尾服を着て指揮をしている Dudamel さんの手首のシャツの真っ白な部分と左右に位置する何人ものバイオリニストが操る白い弓がシンクロして動く様は、Ochestra 全体が一つの生き物のようにさえ見えた。ちょっと、大げさな表現かもしれないが、Orchestra の迫力ある音からもその感覚が伝わって来たのかもしれない。

各曲が終わるたびに客席からは大きな拍手とカーテンコールがおこり、コンサートの最終曲(Strauss)が終わったあとは何度カーテンコールがかかったかわからにほど。

印象的だったのは、カーテンコールでの Dudamel さんの Orchestra への気遣い。
曲が終わった直後だけは、指揮者台の上にのったまま客席に向けて挨拶をするが、カーテンコールで彼が舞台に戻ったきた時には決して指揮者台にはのらず、Ochestra のメンバーを各パートごとに、もしくは各ソリストごとに聴衆に紹介しながら、彼らと同じ高さで客席に挨拶していたこと。
彼の Orchestra メンバーへのリスペクトの気持ちが伝わって来た。

最後の曲が終わったあと、カーテンコールの拍手が全く鳴りやまず、また、舞台上の Orchestra のメンバーも足を踏み鳴らし舞台から降りようとせず、聴衆も Orchesta のメンバーさえもがアンコールの演奏を要求しているようであった。
ただ、Orchestra の演奏なので、何の準備もなく演奏なんてできないんだろうし、仮にできたとしても不完全な演奏を聴かせるわけにもいかないのだろう、困り果てた(からなのかどうかはわからないが)Dudamel さんは、コンサートマスターであるバイオリにストの一人の腕つかみ、無理やり腕組みさせて自分が舞台から退場するのと一緒に彼を舞台袖に引っ張り出してしまった。

さすがに指揮者とコンマスが舞台からいなくなってしまった訳なので、観客も Orchestra の他のメンバーも追加のカーテンコールやアンコールを諦め、終演となった。

いやぁ~、なんにしても大満足の2時間でした。
今回は Gustavo Dudamel 指揮ということもあり、また、非常に良い席を確保したのでそれなりのお値段だったけれど、席を選べばチケットもそんなに馬鹿高くはない。

おまけに、会場である「Philharmonie de Paris」は今の自宅から車で 30分ほど。会場の地下には巨大な駐車場が完備されていて、駐車場代金もリーズナブル。 嫁ハンと2人で地下鉄で会場を往復するよりも格安。 

こりゃぁ~、フランスに住んでいるうちは、クラシックのコンサートもそんなに毛嫌いせずに行かなきゃだなぁと思う今日この頃なのです。

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