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スタートアップにマネージャーとして採用されたあなたへ -組織づくりにおけるマネージャーのはたらき-

これは何か?

 急成長するスタートアップにおける組織づくりにおいて、マネージャーの果たすべき機能・はたらきがとても大きいと感じます。
 スタートアップにマネージャーとして採用されたあなたに、会社から一方的に「役割ですので」とするのではなく、自ら機能を担ってもらえるようになればと思い、まとめてみたいと思いました。

マネジメントとは

 ドラッカーはマネジメントを「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」と定義しています。私は自らの力だけでなく、「組織として成果をあげるための機能・はたらき」としたいと思います。

 ラクスルCFOの永見さんは
 さらに詳しく4つの分類として、1.ビジョンのマネジメント、2.戦略のマネジメント、3.組織のマネジメント、4.オペレーションのマネジメントという話をされています。
 どの役割も大切だし、人によって得意な分野、苦手な分野があると思いますが、今回は組織づくりに欠かせない3.組織のマネジメント(一部、1.ビジョンのマネジメント)について話します。
 あなたはどの役割を評価され、入社することになったのか?を聞いてみてもいいかもしれません。(多くは専門性・実績をかわれ、入社されているのではないでしょうか)

パラシュート人事の危険性(パラシュート人事を行う時の注意)

 マネージャーとして入社されるあなたがスムーズに組織に溶け込み、求められているパフォーマンスを出す為に知っておいた方がよいことはパラシュート人事の危険性です。
 急成長のスタートアップにおいて優秀な人材の採用とその人材が結果を出すことが会社の成長と直結します。
 しかしながら、人材育成のスピードを企業成長のスピードが超えてくる場合があり、優秀なマネジメント層を他者から採用する必要性が出てきます。そのために、あなたが採用されたのです。
 しかしながら、マネジメントの分類の中で、3.組織のマネジメント(一部、1.ビジョンのマネジメント)については決して他社で活躍していたあなたがうまくフィットし、機能するとは限らない分野なのかもしれません。 
 注意を怠ると、あなたが活躍できる環境を作れないだけでなく、組織、ビジョンを壊すキッカケとなりますので、本当に危険です。

ラクスル 松本さん 
 そのようにして半年くらいの期間でカルチャーフィットを見て、その期間には他のメンバーからの信頼も考慮しながらポジショニングをしていきます。
 ポジション自体は、結局役割でしかなく、やれる人がやることによって、組織がより安定的に高いパフォーマンスを発揮できる状態を作っていくためのものだと思っています。
 みんながそれを受け入れる状態を作って、中途の採用もするし、育成もするしという感じですね。

 あなたにとって、半年は長いかもしれませんが、試用期間中(3カ月ほど)は互いに様子をみる期間とするのが良いのでは無いでしょうか。

 個人ごと(自らが新卒から受けてきた組織・個人のマネジメントスタイルが大きく影響していると思います)に今までのやり方をよかれと思って行うのですが、それが会社のスタイル、メンバーの価値観とギャップが生まれることは避けるべきです。

 みなさん、ビジョンやバリューに基づいた採用を通じて入社されていますが、人や組織に対する向き合い方はビジョン、ミッション、バリューをより意識し、チームメンバーと価値観の対話を行ってください。

 人事としてはみなさんのコミュニケーションを促進する為のサポート、無意識のバイアスに気づかせる取り組みなどをし、会社のことを理解してもらう取り組みをやっていきたいと思っています。

あなたのチームは、機能してますか?

 入社して少し経ち、チームのマネジメントに少し慣れてきたかなぁと思われたとき、自分のチームの状態がどうなのか、客観的に知りたいと思ったとき、チームの状態をセルフチェックしてみてください。
 そんな時に参考になるのが、書籍「あなたのチームは機能してますか?」です。ストーリー形式でチームがうまく機能する為に大切なこと、阻害する要因を教えてくれています。

チームがうまく機能する為に阻害する要因

①信頼の欠如
・心理的安全性がある状態が望ましいです。
・チームのメンバーが互いに理解し、心を開けている状態ですか?
・メンバー間だけでなく、マネージャー自身もメンバーに対して弱みを見せることができると、互いに心を開いていいんだという状況を作れると思います。
②衝突への恐怖(健全な衝突をできていますか?)
・アイデアをめぐって遠慮なく衝突をできてますか?
・あくまでも仕事上でのアイデアに対する意見ですので、個人の攻撃、人格否定は行なってはいけません。
・互いに信頼をしている状態で、腹を割って前向きに考えをぶつけ合おうとしているかどうかをよく観察してください。
・議論に迷った際、判断する際はミッションにつながるジャッジかどうか?会社の価値基準(バリュー)に沿っているかどうか?をよく観察してください。バリューについての議論、衝突は大歓迎です。議論をし、賞賛する文化があります。
・意見や不安はmtgの場で出すこと。
・会議に意味があるみんなが感じられているかどうか?を定期的に確認しましょう。意味の無いと感じている会議は一度やめてみることをオススメします。マネージャーが自ら状況を把握したい為だけの会議はすべきではありません。
・マネージャー自身が自身の上司、経営に対して健全な衝突をしている姿をメンバーに見せることで、メンバーも自らの意見を言ってくれると思います。
③責任感の不足
・決定したことをメンバーが支持できていますか?
・決定した事を自分ごととしてとらえ、実行できていますか?決まったことはつべこべ言わず、みんなでやる。
・他部署や上司などの責任にしていませんか?経営とメンバー、他部門との間立って、気持ちや背景とともに伝えていくのがマネージャーの役割です。
・マネージャーが「経営/他の部門がやっていることだからー」と言ったら終わりです。経営/他部門の取り組みも自らが考えて、主導している心意気で。
・同僚(他チーム)がどんな仕事をしているか、会社/チーム全体にどのような貢献をしているか知っている状態が望ましいです。定期的に確認し合う時間を持ちましょう。マネージャー自身もどんなことをしているか、共有をしましょう。孤独になることを防げます。
・多数決による決定を行うと、自らの意見ではないと受け取られることがあります。多数決ではなく、皆の意見を聞き、答えを出しましょう。まとまらない時のみマネージャーが意思決定をしましょう。
・自分たちが信じて決めた結論、方法が正解です。。信じて進めることが大切であり、推進力が増します。
④説明責任の回避
・やると約束したことについて、水準の高い仕事をして、行動をとるよう、互いに説明責任を求めていますか?
・他者や他部門の仕事や態度に対して賞賛や注意を行うことができていることが望ましいです。
・会社のMVPなどを決める時や評価を決める時は、マネージャーは自らの部門のメンバーのアピールをしましょう。
・また、チームのメンバーが互いの欠点やよくない態度を指摘し合っている状態が望ましいです。直接言い合える人間関係がチーム、会社全体でできるようにしましょう。(マネージャーに他のメンバーとの人間関係の相談受ける事があると思います。そうした場合は本人同士で解決できるように促せると望ましいです)
・人事に仲裁を求めて相談をする前に、できる限り当事者同士での解決にチャレンジしましょう。
・人は基本的には嫌われたく無いので、逃げたくなりますが、組織としての成果を達成する為には説明を求め、また説明責任を果たす必要があります。
⑤結果への無関心
・チームのメンバーが個人として認められ、注目されることを求めている状態はよくありません。個人の成長、成果ばかりを重視するメンバーには注意をしましょう。
・個人が優れていても、チームとして結果が出なければ意味がないことをマネージャーは理解しましょう。
・マネージャーはミッション達成へのコミットを最大限尊重すべきです。
・マネージャーは自部門の成果、評価のみを求めず、会社全体の結果に対して喜びを感じて欲しいと思います。

チーム・経営の課題解決のためにマネージャーができること

①信頼の欠如
・様々な情報をオープンにする
・オープンな場で議論をし、決定をおこなう
・相互理解、チームビルディング
 チービルの方法は色々ありますが、自身の歴史を話したり、MBTIやストレングスファインダーなどを用いるなど
・360度評価の実施
 自らの事をわかってくれている人、仕事上の関わりが強い人を自らが指定し、よいところ、さらなるチャレンジのために取り組むべきところをあげてもらう
・身体をつかったワークショップ(ブラインドサッカーなど)

②衝突への恐怖
・自身の得意なコミュニケーションスタイルを理解する
 アサーションなど
・トーマス-キルマン 衝突モデル法による計測(衝突は測れるらしい)

③責任感の不足、④説明責任の回避
・期限を明確に決める
・OKRの運用を徹底する
 全社OKRの進捗を週次で確認する
・会社の主要KPIについて全メンバーが理解し、進捗を把握している=自分ごと化が進んでいる状態をつくる
・チーム表彰を実施
 自部門だけでなく、他部門の役割、成果に対して興味を持つ

⑤結果への無関心
・個人の成長を促進しつつも、評価と直接的に結び付けない
・スキルがあるだけで評価をしない。スキルが使われていて、評価する
 あくまでも個人の成長が会社の成果もしくはその可能性につながっている場合に評価をする(けっこう難しそう)

最後に

 みなさんと経営、人事は一体となって組織を創っていきたいと思っています。また、マネージャーじゃないとやってはいけないというものでもありません。
 自らの居場所を創るのは一人ひとりです。そして、今の状態を創り出しているのもみなさんの意志です。チーム、会社を良くする為に一緒に考えてみませんか?
 

参考

 私が書いていることと矛盾もあるかもしれないですが、参考までにいくつかの記事を


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