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リアルタイムレコーディング/ショパン :ワルツ18番 変ホ長調 KK.IVb-10

ショパンのワルツをリアルタイムレコーディングしました。
(リアルタイムレコーディングというのは、DAWにて実際にキーボード(電子ピアノ)を弾いてデータを入力する手法です。)

最初、この曲を譜読みしたときは、もう少し軽やかな音をイメージしたのですが、「Sostenuto(ソステヌート)」の指定があり、別名「ソステヌートワルツ」とも呼ばれています。

sostenuto(伊)
ソステヌート=音の長さを充分に保って。下から上を支える、下から支えられた、助けられたというニュアンスがある。その音を指示するテヌートに対し、ソステヌートは長い小節や曲全体に対して使われ、速度を抑え気味に演奏することを意味することが多い。

 ソステヌートの意味を鑑みると、あまり軽々しい感じではなく、しっかりとした支えの上に成り立っている音楽(曲)であるように感じるし、またエディットしながら再生チェックすると、あまり快活な雰囲気はないように思われます。
 また変ホ長調という調は調号が3箇所 (♭=B, E, A) であることから、古くから三位一体につながるとされていて、厳しさ、悲愴、真面目で、しかも訴えかけるような性質を持つ、とされています。調からも、ソステヌートなのが伺えます。
 かといって、一応ワルツに分類されているので(ショパンの自筆譜にはワルツという題名は無く、ただ「ソステヌート (Sostenuto)」と書かれているのみなのですが)あまりテンポが遅いと、曲の雰囲気にそぐわないようにも思います。

ショパンはどのようなことを想い、この曲を作ったのでしょうか?私には、華やかな社交界を離れ、静かに故郷で余生を送れたなら、どんなに心静かなことだろうと、憂いを感じながら目の前のピアノで、独り楽譜を記すショパンの姿が浮かんできます。

プラグインピアノ音源はいつものように「Native Instruments/The Grandeur」を使いました。素直な癖のない音色がお気に入りですが、こういった憂いを含んだ曲にも、よく合う音源だと、あらためて思います。
スタインウェイ系はキラキラとした音が特徴でもありますが、どっこい低音のしっかりとしたダイナミクスにも定評があります。ショパンはイメージに反して?至極男性的な作曲家なのです。


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